キャンプの経験は、そのまま防災力になる

電気、ガス、水道が使えない環境で過ごすキャンプは、災害時の生活と驚くほど共通点が多いものです。東京都が運営する「東京備蓄ナビ」でも、キャンプギアを防災備蓄に活用する方法が紹介されています。ふだんのキャンプで使い慣れた道具なら、いざというときも迷わず手が動くのではないでしょうか。
この記事では、照明、給水、防寒、調理の4つの分野で役立つキャンプ道具を紹介していきます。「備えなきゃ」と構える必要はありません。「次のキャンプで使ってみよう」くらいの気持ちで読み進めてください。
停電対策の要!LEDランタンを使い分ける
長時間照らせるCOBランタンは災害時の主力になる

災害時に最初に困るのは、やはり「あかり」の確保でしょう。停電が長引けば、夜の暗闇は想像以上に心細くなります。
私が愛用しているのはCOBランタンです(COBとはチップ・オン・ボード=複数のLEDチップをひとつの基板に密集させて配置することで、広範囲を均一に照らせるのが特徴)。COBモードで約12時間、SMDライトモード(SMDとはサーフェス・マウント・デバイス=LED素子を含めた電子部品を基板に実装したもの。面積あたりのLED素子を多くでき、明るく照らせる)なら約48時間の連続点灯が可能です。
本体上部のフックを開けばテント内やクローゼットの取っ手にぶら下げられますし、先端のSMDライトで足元を照らす懐中電灯としても機能します。1台で「広く照らす」と「ピンポイントで照らす」を切り替えられるのが心強いところ。
テーブルランタンとLEDキャンドルで安心空間をつくる

停電時は、メインのランタンだけでなくサブの照明もあると安心感が違います。テーブルランタンを食卓や枕元に1台ずつ置いておけば、暗がりの中でも落ち着いて食事や移動ができるでしょう。明るさの切り替え機能があるタイプなら、就寝前は弱モードにして電池の消耗を抑えるといった工夫も利きます。
火を使わないLEDキャンドルは、子どもや高齢者がいる環境でも安全に灯せるのが魅力。ボタン電池(LR44)で動くため本体も軽く、持ち運びの負担になりません。カラータイプとクリアフレームタイプを使い分ければ、避難生活の中にもささやかな彩りが生まれます。
断水に備える!水タンクは「1人1日3L」で計算しよう

首相官邸ウェブサイトの「防災の手引き」では、飲料水の備蓄量として「1人1日3L、最低3日分」が推奨されています。4人家族なら3日間で36L。この数字を把握しておくだけでも、備えの計画はぐっと立てやすくなるものです。
私が愛用している折りたたみ式のコック水タンクは容量12Lで、4人家族の約1日分をまかなえます(上の写真)。JIS規格の引張強度試験と耐候性試験をクリアした製品で、食品衛生にも適合しているため飲料水の保管にも安心です。コック付きで手を汚さずに注水でき、キャンプ場の共用炊事場でも重宝しています。
ふだんのキャンプで「水を運ぶ・貯める・注ぐ」という動作に慣れておけば、断水時にも戸惑わずに済みます。使わないときは薄くたためるため、収納場所にも困りません。
体温を守る防寒ギアは命を守る装備になる

災害時に見落とされがちなのが防寒対策です。国の科学研究費による研究でも、避難時に着ている衣類の防寒性能が体温維持を大きく左右すると報告されています。特に夜間の冷え込みは体力を奪いやすく、低体温症のリスクも一気に高まります。
3wayアルミブランケット(100×130cm)は、肩掛け、腰巻き、ひざ掛けの3通りに使え、面ファスナーで固定できるため動きやすいのが特徴。パッケージごとポケットに入るほどコンパクトなので、キャンプの予備防寒具としても出番が多くなるでしょう。

もう1枚あると安心なのが、ボア素材のひざかけです。70×100cmとコンパクトながら、膝元や肩を包むには十分なサイズ。330円で手に入る手軽さも見逃せません。アルミブランケットで体温を閉じ込め、ボアひざかけで保温を補う。この組み合わせなら、避難所でも車中泊でも冷えから身を守れます。
固形燃料があれば温かい食事をあきらめずに済む

農林水産省のウェブサイトにある「災害時に備えた食品ストックガイド」では、温かい食事が心身の緊張をやわらげる効果があると紹介されています。冷たい非常食ばかりが続くと、体だけでなく気持ちまで沈んでしまうものです。
固形燃料はライターひとつで着火でき、風にも比較的強いのが利点。ポケットストーブなどの専用コンロにのせれば、お湯を沸かしたりメスティンで米を炊いたりと、簡単な調理がこなせます。アルファ米やフリーズドライのスープと組み合わせれば、避難生活でも温かい一食が手に入るでしょう。
ただし、固形燃料の上に食材を直接のせて焼くのは避けてください。必ず専用のコンロやクッカーを介して使うのが鉄則です。
まとめ
今回は、照明、給水、防寒、調理の4つの分野で災害時に頼れるキャンプ道具を紹介しました。LEDランタンで暗闇の不安をやわらげ、水タンクで飲料水を確保し、アルミブランケットで体温を守り、固形燃料で温かい食事をとる。どれもキャンプで日常的に使えるギアばかりです。
次のキャンプでは、「これは災害時にも使えるか?」という視点でギアを選んでみてはいかがでしょうか。山梨総合研究所の研究コラムでも、キャンプの経験が有事の対応力を高めると指摘されています。楽しみながら備える。その積み重ねが、もしものときに家族を守る力になるはずです。





