先日訪れた新潟県妙高市で、ある"赤い調味料"にすっかり心を奪われました。その名も「かんずり」。
きっかけは、滞在先で出会った一皿のステーキ。横にちょこんと添えられた赤いペーストを、試しに肉にのせてひと口。次の瞬間、脂の甘みがふわっと広がり、あとからやってくる発酵のコクと柚子の香り。
「なにこれ、おいしすぎる!」
その旅の帰り道に、現地のスーパーでさっそくゲット。以来、わが家は"かんずり祭り"な日々。今回は、妙高の冬が生む発酵調味料の魅力と、キャンプでも楽しめる簡単レシピをご紹介します。
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妙高の冬が作る、赤い宝石を見つけた

「かんずり」は、新潟県妙高市に伝わる唐辛子の発酵調味料。製造元である「かんずり」が守り続ける伝統製法は、なんと300年以上の歴史を持ちます。
最大の特徴は、真冬に行なわれる「雪さらし」。塩漬けにした唐辛子を数日間雪の上にさらすことで、余分な塩気や苦味が抜け、角の取れたまろやかな辛味へと変化します。雪国・妙高ならではの知恵ですね。
原材料は、唐辛子、米麹、柚子、塩のみ。
それを樽でじっくり3年間熟成させることで、ツンと刺さる辛さではなく、じんわり広がる旨味へ。柚子の爽やかな香りも相まって、「辛い」より先に「おいしい」がくるのが、かんずりの魅力です。

辛すぎず、しょっぱすぎず、丁度いい。まさに、辛味+旨味の万能調味料です。
衝撃の出会いはステーキから

これまでステーキには、わさび、マスタード、あるいは塩が定番でした。ところが、肉にほんの少しかんずりをのせてみると、脂の重たさがすっと消え、代わりに肉本来の旨味がくっきり。柚子の香りがふわりと抜け、あと味は驚くほど軽やか。辛味というより、旨味のブースター。そんな表現がぴったりです。
試してみたメニューをご紹介します。
やっぱり王道、肉×かんずり
かんずりの実力をもっとも感じられるのは、脂のある肉料理。
グリルチキン

フライパンならキッチンペーパーで脂を拭き取りながら、キャンプなら炭火でじっくり。落ちた脂とともに、旨味だけが残ります。
焼き鳥


ホットプレートで温め直し、各自かんずりをのせていただくのも楽しいスタイル。電源付きキャンプサイトなら、この方法もおすすめです。
生姜焼き

市販の焼肉のタレにかんずりと生姜を少し足すだけで、ぐっと奥行きのある味に。お好みでマヨネーズをかけてもおいしいですね。
しゃぶしゃぶ

大根おろしにかんずりを混ぜて即席もみじおろしに。これを肉で巻き、ポン酢でさっぱりといただくのが、最近のわが家のブームです。

もみじおろしは、焼いた餅にのせても絶品で、お酒が止まりませんでした。

魚とも好相性。発酵×オイルの魔法
お肉以外でも、うれしい発見がありました。 それが、お魚との相性。
鯛のカルパッチョ

オリーブオイルにかんずりを加えると、唐辛子の成分が油に溶け出し、きれいな赤いオイルに。レモンを搾り、塩胡椒を振るだけで、奥行きのあるドレッシングが完成しました。カルパッチョやサラダに和えれば、魚の繊細な旨味を引き立てつつ、後味は爽やか。
「かんずりは脂と仲良し」
この法則を覚えておいて損はありません。

今回は鯛で作りましたが、カンパチ、鰤、サーモン、ホタテ、タコも美味しそう。
次のメニューは大胆にオリーブオイルを使います。
かんずりアラビアータ

刻んだニンニク2かけとベーコンを弱火で炒め、かんずりを投入。

トマト缶と白ワインを加え、仕上げにパスタの茹で汁を少し。茹で汁はやや塩気を強めにしておくと、味がぐっと締まります。
別に揚げ焼きしたナスをトマトソースで合わせれば、かんずりアラビアータの完成。タバスコのような直線的な辛さではなく、じわじわ広がる深い辛味。思わず「私、天才かも!?」と、自画自賛したくなる仕上がりに。
塩ラーメンの味変にもおすすめ。一瓶でどれだけ楽しめるの?かんずりの可能性は無限大です。

この気候、この雪景色があってこそ生まれる味。かんずりは、まさに妙高の風土そのものなんですね。
旅の続きは、いつものスーパーで⁉

妙高のスーパーで手に入れたかんずり。
後日、近所のスーパーでも見つけて思わず苦笑い。でもそれだけ、多くの人に愛されている証拠ですね。
雪国の知恵が生んだ、赤い発酵の魔法。焚き火のそばで、焼いた肉にちょこん。それだけで、いつものキャンプ飯がぐっと豊かになります。きっと皆さまの食卓でも、かんずり祭りが始まるはずです。




