
今回は東京都中央区の勝どき駅から築地駅まで歩く「勝どきGREEN-WAY」です。
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13th ルート:勝どきGREEN-WAY
前回はこちら↓
この連載のFILE.9「築地川GREEN-WAY」やFILE.10「墨田・月島GREEN-WAY」でも触れましたが、東京の臨海部は埋立地が多いエリアです。埋立地には、現役にしろ跡地にしろ、川や水路が多くあります。水辺に良いGREEN-WAYあり。これは、まず間違いのない定説です(※個人の考えです)。
そこで試しに、臨海エリアの勝どき周辺を歩いて見ることにしました。はたして、ひと続きの良さげなGREEN-WAYはあるのでしょうか。FILE.13は題して「勝どきGREEN-WAY」です。
勝どき
江戸時代後期の地図を見ると、勝どき一帯は完全に東京湾(江戸湾)の中です。現在の東京都中央区勝どき1丁目から4四丁目までの埋立地は、明治から大正期の「東京湾澪浚(みおさらい)工事」の月島2号埋立地として造成された場所。続いて、勝どき5・6丁目が明治から大正期の「東京湾澪浚工事」による月島3号埋立地・「隅田川口改良工事」の1号埋立地として造成されたそうです。
造成された当初は隅田川に橋がなく、築地との間の船による渡し(勝鬨の渡し)が交通の手段でした。1940年(昭和15年)に勝鬨橋が完成し、一気に地域が発展。当初は工場や倉庫が多かったそうですが、2000年に都営大江戸線の勝どき駅が開業して以降は、高層住宅が建ち並ぶようになったそうです。
早速、都営大江戸線の勝どき駅A4出口ターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)から出発します。地下の駅から地上に出ると、周辺は超高層のビルやマンションに囲まれた新しい街といった印象です。駅の近くの月島第2児童公園から、朝潮運河方向に歩いていきます。

このあたり、少し古めの建物もあります。でも、周辺に真新しいビルが多いからそう感じるだけで、そこまで古いわけではありません。これまでGREEN-WAYの連載で歩いてきた日本橋周辺などと街の様相が異なり、現在進行形で街がつくられている印象です。植樹されて日が浅そうな街路樹などから、そういった印象を受けるのかもしれません。
朝潮運河にかかる徒歩専用の黎明小橋(トップ画像参照)を横目に通り過ぎると、ヤシの木が植わった一角がありました。南国?と思いつつ、運河沿いにある朝潮運河親水公園を歩いていきます。緑も豊富だし、街並みもキレイだし、個人的に好きな雰囲気です。

そのまま進んでいくと、東中通りに出ます。すると、なんとも渋い店構えの「勝鬨珈琲」という喫茶店がありました。ただ、検索しても最近の情報は出てきません。「営業中」の札がかかっているので現役なのでしょうが、どんなメニューなのかなど、いろいろ気になります。と、「勝鬨珈琲」の真隣には神社がありました。
住吉神社勝どき御旅所
住吉神社勝どき御旅所は、中央区佃地区にある佃住吉神社の分社です。この御旅所(おたびじょ=神様や神体を乗せた神輿がが立ち寄る場所)は、1901年(明治34年)に現在の勝どき2丁目に建立され、1984年(昭和59年)に4丁目の現在地に移りました。
当時は月島地域の埋め立てが進み、氏子区域が拡大。もともと神社が少なかったこともあり、勝どきに御旅所が設置されたそうです。

住吉神社勝どき御旅所から清須通りに出ると、東陽院というお寺があり、その入り口には『東海道中膝栗毛』で有名な十返舎一九の墓がありました。
東陽院
元々は浅草永住町(現・東京都台東区東上野)にあった善立寺(現在は足立区に移転)の塔頭(たっちゅう=大きな寺院の周りに建てられた寺院や庵など)だったそうです。しかし、関東大震災によって善立寺もろとも焼失。1925年(大正14年)、善立寺から分離独立して、現在地に移転しました。十返舎一九の墓は浅草にあったころに建てられ、勝どきに移転したそうです。


東陽院から新島橋を渡り、ビル沿いに朝潮運河方面に進むと、朝潮小橋・豊海運動公園へと道は続きます。朝潮運河沿いのキレイな道を通りつつ、緑を楽しむ。新しい街ならではの道かもしれません。


公園を抜け、豊海埠頭方面に道はないかと歩いてみたのですが、どうもピンと来ません。そこで豊海埠頭方面には進まず、隅田川方面を目指すことにしました。
ところどころ工事中のエリアもあり、これから整備されていく様子です。通り沿いやマンションの周囲にも新しい植栽が植えられていて、何となくですが緑の線でつながっている感じです(やや強引ですが)。
勝どき見晴らし公園に入り、土手に上がると隅田川の対岸には、浜離宮恩賜庭園の木々の向こうに汐留のビル群が見えるのでした。なるほど、見晴らし公園の名にふさわしい、さすがの眺めです。しばし景色を楽しみ、そこから築地大橋を渡っていきます。

築地大橋の中央部まで来ると、左右には築地市場の跡地である空き地が広がっていました。築地市場跡地って、どうなるのでしょうか。

築地大橋を下り、少し歩くと築地駅に着きます。今回は、ここでフィニッシュです。
明治以降に埋め立てられ、現在も開発が進められている勝どきエリアをめぐった今回のGREEN-WAY。新しい街なので史跡や寺社は少ないですが、川風や潮風の感じられる緑道や公園の歩き心地は最高でした。今まで縁のなかった地域ですが、臨海エリアでのGREEN-WAYハイク、何だかハマりそうです。
■今回歩いたルートのデータ
|距離約3.7km
|累積標高差約1m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●勝どきGREEN-WAY