遠見岬神社、お守り作り…海と森に包まれた千葉県勝浦で、麻と神聖な時間にふれる体験 | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

日本の旅

2025.06.02

遠見岬神社、お守り作り…海と森に包まれた千葉県勝浦で、麻と神聖な時間にふれる体験

遠見岬神社、お守り作り…海と森に包まれた千葉県勝浦で、麻と神聖な時間にふれる体験
旅エッセイストの国井律子です。親の仕事の都合で1989年から通っている千葉県勝浦市。青い海と豊かな森が広がる港町の自然に抱かれながら、古くから日本人の暮らしに寄り添ってきた“麻”を体験できるイベントが、今年のGWに開催されました。

自然と文化に触れる癒しの時間。麻を使った「お守り作り」と、遠見岬神社の「トワイライトツアー」を楽しんできたよーというレポートです。
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千葉県に伝わる麻のお話

麻縄の材料
千葉県と麻の関わりは古く、約8千年前の館山市の沖之島遺跡から麻の種が出土しているそう。

昔から勝浦や房総エリアでは、縄や漁網、衣類などに活用されてきた麻(あさ)は生活に欠かせない存在だったといわれています。それは縄文時代からと歴史は古く、神様とつながる神聖な植物として、しめ縄やお守りにも使われてきたとか。

房総の多くの神社ではその伝統が今でも残っていると、勝浦を代表する神社、遠見岬(とみさき)神社の宮司、小林悠紀(こばやしゆうき)さんが教えてくれました。実は、千葉県の旧国名「総国(ふさのくに)」の「総」は、「麻」に由来する古語ともいわれているそうです。

遠見岬神社の神紋「麻」
遠見岬神社の神紋も「麻」。

ずいぶん長くこの港町に通ってきた私ですが、麻と勝浦の関係を聞いたのは初めて。なんだか勝浦での視線の先が変わりそうだと思ったおもしろい体験でしたよ。

とはいえ、麻に触れる機会ってなかなかないですよね。この素材の魅力を再発見するワークショップには、麻護人(あさもりびと)=麻のプロが登壇しました。

無心になれた麻飾りワークショップ

ワークショップをする講師
講師は麻護人の總總代表、南井一夫(みなみいかづお)さん。
ワークショップの様子
ワークショップは、観光交流施設のKAPPYビジターセンターで行なわれました。

使う麻は栃木県鹿沼産だそうで、南井さんは麻にまつわるいろんな話を教えてくれました。「麻繊維には天然の抗菌性や防虫性がある」「天然繊維のなかで麻は比較的耐火性が高く、昔の農作業や野良着に使われていた」「通気性が高く湿気がこもらないので子育ての服として重宝された」などなど。日本人はほんとうに麻とともに暮らしてきたんだなぁ。

加工前の麻
「麻の服(リネン)」とか「麻袋」とか加工された麻製品は見ますが、元の素材の状態を見たのは初めて。

ちなみにこちらの麻は「麻薬成分は99.99%出ない…」そうです。また現在流通している麻は輸入品が多く、国産は貴重とか。

どちらのストラップを作る?

麻ストラップの見本
2種類から選べる。私たちは左側にしました。

麻は人の髪の毛と同じで、触ってみるとツルツルしたりギシギシしたりする方向があります。手触りに驚きながら麻を裂いていきます。

麻細工を楽しむ子ども
前日に12歳になった長男。わが家で一番手先が器用な彼をイベントに誘いました。

参加者は私たちのほか、若いカップルさん、私より少し年上の女性、遠見岬神社の宮司さんの小3になる次男さんも参加されていました。麻を編んでいく作業は、単純ながらなかなかおもしろい。静まり返った空間。自然素材にじかに触れながら、皆さんおのおの自分だけの麻のストラップ作りを無心で楽しんでいました。

麻を同じ方向によじりながら編む
麻を同じ方向によじりながら黙々と編んでいきます。

なんていうか、すごい「没入感」。久しぶりに味わったなぁ。気持ちいい!かくいう私は小学生時代は手芸部。中高と美術部に所属していました。なのでこういう集中する作業が大好きで、いろんな感覚を思い出しました。

麻を編んだ様子
一度編んだ麻は手を放してもほどけないんです!

編んだヒモに、さらに麻を巻き付けていきます。

麻のロープができあがる
ずいぶん立派になりました。

一見難しそうだけど単純作業なので、小さなお子さんでも楽しめます。カップルの男性がとても上手で、「シロウトじゃないね!」とみんなで言い合いました。初めての人同士でもうち解けられる不思議な時間。

端は細い麻ひもでまとめる
細い麻ひもでぐるぐるとまとめます。

だんだん形になってきました。ここからの作業は麻護人の南井講師がやってくださいました。

麻ストラップの完成
というわけで完成。

「ランドセルにぶら下げるんだ」と長男もうれしそう。お守りにも思い出にもぴったりの体験でした。日暮れまでちょっと時間が余ったので、宮司の小林さんが神社にまつわる裏話を教えてくれました。

宮司さん
「これ、なんでしょう?」と宮司さん。「お払いのときにファサファサするやつー」と長男が答えました。

神道の儀式で使われるお払いの道具。これは「大麻(おおぬさ)」というそうです。おお、ここにも麻の字が!現在使われているものは和紙ですが、もともとは麻の繊維を使っていたことからそう呼ばれていたとか。

また、神棚に飾られているお札は「神宮大麻(じんぐうたいま)」というそう。お払いの道具もお札も神聖な麻(清めの象徴)に由来するそうで、もちろん薬物としての大麻とはまったく無関係。

紙垂(しで)
神社でよく見かける稲妻模様のこちらは「紙垂(しで)」といいます。

紙垂は神主さんや神社関係者が手作業で丁寧に折るそう。宮司さんは慣れた手つきでその場でサササと作ってくれました。あちこちから「へぇ~!」という声が聞こえます。

ワークショップを体験したあとはトワイライトツアーへ

宮司さんが案内するツア-
勝浦の街中を歩きながら、宮司さんの案内で遠見岬神社までご案内してもらいました。

生まれも育ちも勝浦という小林宮司さん。勝浦の歴史はもちろん、雰囲気のいいBARやレストランを教えてもらえたり、生きた情報をゲットできるなかなか貴重な体験。

遠見岬神社
気持ちのよい夕ぐれの神社に到着。

毎年2月下旬から3月にかけて開催される「かつうらビッグひな祭り」。こちらの石段には約1,800体の雛人形が飾られ、壮観な光景が楽しめます。

勝浦のおみくじ
勝浦のおみくじはユニーク。勝浦市の名産であるカツオとキンメダイを模した2種類。

鰹をモチーフにした勝男(カツオ)みくじと、金目鯛をモチーフにした金女(キンメ)みくじ。見た目もかわいらしく参拝の記念やお土産としても人気があるそう。勝浦一のパワースポットなんて呼ばれている遠見岬神社は、「縁結びに御利益がある」として願って訪れる参拝者も多いそうです。

神社からの風景
この日はGWでしたが、夕方ということもあり人もまばら。とても静かで神聖な空気が漂っていました。
お神輿が保管されている場所
例年9月に開催される「勝浦大漁まつり」で担がれるお神輿が境内に保管されています。

宮司さんの案内で普段立ち入れない社殿内や展望広場を巡ったり、参拝やお神酒をいただける体験型ツアーは、たびたび開催されています。急で長い石段を上るので、参加する際には歩きやすい靴で。

勝浦湾が見渡せる展望広場
勝浦湾が見渡せる「展望広場」。

広場につながる階段などは宮司さんとお仲間さんたちのDIYだそう!「ぜひカフェなど出店していただきたいですね」とリクエストしておきました(笑)。

お神酒
参拝後、20歳以上の参加者にはお神酒が授与されました。

私も大好きな勝浦の地酒、腰古井(こしごい)です。魚料理とのペアリングが最高!

おまもり
勝浦の海水から作られた「勝浦塩」と新月のエネルギーを取り込んだお守りもいただきました。

今回は行けなかったのですが、希望者は翌朝の清々しい空気のなか宮司さんによる朝拝(ちょうはい)にも参加できます。

ライトアップされた幻想的な境内
日没から20時まで、ライトアップされた幻想的な境内を自由に参拝できます。

自然と文化、そして”祈り”が心地よく交差する時間。潮風とともに神聖なひとときを味わえました。

勝浦の町を一望に
こちらの紙垂(しで)も宮司さんの手作りなのかーと、今までと違う目線になりました。

通いなれた勝浦の歴史や文化を、麻を通して感じられた、とっておきのイベントでした。

勝浦で遊ぶなら、こちらを頼りに!

KAPPYビジターセンターでは、勝浦市内の観光地や飲食店の情報を案内してもらえたり、レンタサイクルも借りられます。ご当地グルメとして大人気の「勝浦タンタンメン」関連商品の食品やお菓子、勝浦市のマスコットキャラクター「勝浦カッピー」のグッズなどのお土産物も販売。今回のような体験教室も多数開催しているので、勝浦に行った際にはぜひ立ち寄ってみては。

KAPPYビジターセンター
今回のワークショップが行なわれたKAPPYビジターセンター。勝浦駅から徒歩約5分。勝浦港の真ん前にある観光交流施設です。

一般社団法人 勝浦市観光協会 KAPPYビジターセンター

  • 所在地:千葉県勝浦市墨名815-56
  • 電話番号:0470-73-2500
  • 営業時間:8時30分~17時15分(年末年始休業)
  • ホームページ:https://www.katsuura-kankou.net

国井律子さん

エッセイスト

国内外を問わず、数多くの旅を続けてきたエッセイスト。2人の男児と共にキャンピングカー旅や山登りなども楽しんでいる。

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