豪州・ホバートで出会った「5時半の朝焼け」はプロジェクションマッピングを超える美しさだった | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2023.08.16

豪州・ホバートで出会った「5時半の朝焼け」はプロジェクションマッピングを超える美しさだった

神秘的な空に出会った、豪州でのとある1日。

出張などの旅行先で「わずかな隙間時間でも少しは観光したい」という方も多いと思います。

私が好きなのは「その街を歩いてみること」。アウトドア好きのBE-PAL読者のみなさんの中にも、そういう方が多いのではないでしょうか。

そして、今回はそんな「隙間時間ウォーキング」の中でも特に感動を覚えた体験をお伝えします。

場所はオーストラリア・タスマニア州の州都ホバート。でも今回紹介するのは「ホバートおすすめスポット○選」的なまとめ記事にはたぶんほとんど紹介されていない場所です。

ある日のタクシー運転手との会話

ある日、ホバート空港に降り立った私。ホテルに向かうタクシーの中、運転手さんにこんな質問をしました。

「ホバートで短時間ちょこっとウォーキングするならどこがいい?」

地元のB級グルメはタクシーの運転手さんに訊け、という鉄則と同じです。

「早起きは得意かい?」運転手さんは質問で返してきました。

「もちろん!自慢じゃないけど僕に対抗できるのはニワトリかフクロウくらいだよ」

「フクロウは…早起きじゃなくて夜更かしなんじゃないかな?」…ごもっとも。

「ホバートで絶対におすすめなのが朝早く、日の出前からホバートセノタフに行くことだね」

「セノタフ?」

聞いたことがない言葉です。

「ホバートウォーメモリアルとも言うんだけどね」

セノタフとはつまり、戦没者慰霊塔のことでした。

15分間でいくつもの表情を見せる朝焼けに出会った瞬間

まあ、そんなこんなで翌朝を迎えました。5時半に目覚ましをかけ、ソッコーで着替え。街の中心部にあるホテルの表玄関から出ると、ひんやりとした空気に包まれました。

「う~っ、寒い。でもこの寒さがいいんだよね~」

96パーセントくらいは強がりでそんなことを思いながら、まだ暗い街の中を歩きます。慰霊塔までの距離は約1.5キロメートル。20分弱の道のりです。

そして、ようやく塔の間近まで来ました。最後に幹線道路をまたぐ長さ200メートルほどの歩道橋があるのですが、その途中で遠くに塔が見えてきました。ちなみに歩道橋の名称は「ブリッジオブリメンブランス」。つまり「追悼の橋」です。

真正面の高い塔とこの橋を一直線でつなぐ配置も見事です。

さらに近づき、まずは塔に向かって頭を下げ、鎮魂の祈りを捧げます。

塔はホバート中心部を流れるダーウェント川沿いの小高い丘の上にあるため、周辺は視界をさえぎるものが何もありません。

橋を渡った先の光景を見て、私は運転手さんの「行くなら絶対に朝いちばん、できれば日の出前に到着」の真の意味を悟ったのです。

そこに広がっていたのは、15分くらいの間に様々な表情と色を見せてくれた空でした。その日はいい具合の雲に恵まれ、まぶしいほどの朝焼けが楽しめました。

最初は紫がかったピンク色をしていた東の空。

すぐに燃えるようなオレンジになったかと思ったら…。

またすぐにあたたかな黄色に変わってきました。

刻一刻と変わる空の色。それは人の手によるプロジェクションマッピングなどでは見られない神の業です。

先ほども書いたように、ここは丘の上にある眺めのいい場所。でも早朝に来なければここまで芸術的な空を見ることはできなかったでしょう。やはり「早起きは三文の徳」ですね。

そしてタクシーの運転手さんと親しく会話をしなければ、この場所・この時間を知ることはなかったはず。「旅は道連れ」と言いますが、「現地の人とおしゃべり」も欠かせない楽しみの一つですね。

今回はまさにそんな「ビーパル(友だちになろう)」精神が出会わせてくれた絶景でした。

私が書きました!

オーストラリア在住ライター(海外書き人クラブ)
柳沢有紀夫

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブのお世話係https://www.kaigaikakibito.com/

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