連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記Vol.43
真夏の炎天下でのカヤックフィッシングは、結構辛い。早朝だけちょっとやるならいいが、いつもロケでは粘ってしまうので(釣れないと特に)、出来れば曇の日にしたい。さらに海が穏やかな日でないといけないので、それらの条件が揃う日で、こちらも動ける日となると結構絞られる。そんなわけでしばらく海に出られなかったが、8月17日は条件に恵まれたので、朝6時からいざ出船。
この日は特にターゲットを決めず、ナブラ(小魚が大型魚に追われて水しぶきをあげて逃げている様子のこと)があればナブラ打ち、海底付近に反応があればジグ(またはインチク)を落とす、という状況次第の釣りをすることに。しばらく周囲を探索したが、ナブラらしきものは見つからない。
カヤックフィッシングをはじめてから知ったのだが、同じような気温でもそこら中にイワシの群れがわんさかいる日と、ほとんどいない日がある。彼らは、いったいどういう法則に基いて行動しているのだろうか。ちなみに、この日はイワシがあまりいなかった。
仕方がないので、魚探に少し反応のある根周りに「インチク」というルアーを落としてみる。するとほどなく、グググという感触と共に竿がしなった。何か来た。が、そんなに大物ではないっぽい。でもそれなりには引く。なんだろう。海面を見ながらリールを巻いてくると、ゆらゆらと青と緑に輝く魚体が見えてきた。
おー! 君はホウボウではないか。ホウボウは海底付近にいる、白身で食べるととても美味しい魚。しかし魚屋に並んでいるのとは違って、大きな胸ビレが光輝いている。ホウボウって、こんなに綺麗な魚だったの? と驚いてしまった。写真だとあまり伝わらないのが残念だが、海の中では本当に光り輝いているように見えるのだ。