
「ムーチョ・ルチア」とは?

「ムーチョ・ルチア」はヤマリアから発売されているメタルジグで、今ではすっかり定番となった歴史ある製品です。私が釣りを本格的に始めた2014年頃にはすでに販売されていました。次々と新製品が発売されるメタルジグですが、これほど長い間ラインアップされ続けている理由のひとつに、初心者でも扱いやすいことにあります。
初心者でも扱いやすい
①飛距離が出る
メタルジグにはシャクリ(ロッドの上下でメタルジグを跳ね上げる操作)のしやすさを重視したものや、フォール中(ルアーが沈むこと)にヒラヒラと動くような工夫されたものなど、あらゆる形状があります。
金属製のため比重が大きく、キャスト(ルアーを投げること)の飛距離を稼ぎやすいメリットがありますが、形状によってはキャスト時の空気抵抗が大きかったり飛行姿勢が崩れやすかったりして、重さの割に飛距離が出ない場合があります。
その点、「ムーチョ・ルチア」は形状がシンプルかつ小粒のため、空気抵抗の少なさから初心者でもキャストがしやすく、誰でも飛距離を伸ばしやすいという特徴があります。岸から行う釣りにおいてはルアーの飛距離は何よりも大事といっても過言ではなく、「ムーチョ・ルチア」のキャストのしやすさは初心者にとって大きなメリットといえるでしょう。
②投げて巻くだけで魚が釣れる

メタルジグの多くはその重さや飛距離を重視したシンプルな形状から、リールを巻くだけでは泳いでくれず、シャクる(ロッドを細かく煽る)などといった釣り人の手による操作で魚にアピールする必要があります。
「ムーチョ・ルチア」は、着水後はただリールを巻くだけでヒラヒラと弱った小魚のように泳ぎ、釣り人がロッドを操作することなく魚にアピールします。また、メタルジグを操作するとどうしてもレンジ(ルアーが泳ぐ水深の目安)が上下しやすいため、遠浅のサーフなどでは水面から飛び出したり海底に着いたりと少々扱いづらさを感じてしまいがちです。
ロッドの操作なしで泳ぐ「ムーチョ・ルチア」はレンジのコントロールが容易なため、遠浅サーフでもしっかり水中を泳がせることができます。
③トレブルフックを標準装備

多くのメタルジグはアシストフックという誘導式のフックがフロント側のアイ(ラインやフックを取り付けるリング)に標準装備されていることが多いのですが、リア側のアイには何もついていないものもあります。
「ムーチョ・ルチア」はフロント側のアシストフックに加え、リア側にもトレブルフック(3本をひとまとめにしたフック)が標準装備されています。これにより、獲物の頭部をめがけて捕食するイナダなどの青物に加えて、獲物をかじるように捕食するヒラメといった魚も、追加のフックを取り付けることなく釣りやすくできています。
豊富なサイズラインナップ

「ムーチョ・ルチア」のサイズラインナップは幅広いため、あらゆるタックルで快適に使用できます。最も重い60gは本格的なショアジギングタックルで扱いやすく、18gや25gのものはアオリイカを狙うエギングタックルや、アジやメバルを狙うライトソルトルアーでも強めのタックルであれば十分扱うことができます。
アオリイカやメバルなどを狙いつつも、突然始まる小型青物の回遊に備えてルアーケースに忍ばせておく使い方も大変有用でしょう。
小粒感の威力

ルアーフィッシングにおいて常に意識しておかなければならないのが、釣りの対象魚が何を捕食しているかなどを推察するベイトパターンです。ベイトとは、対象魚が捕食の対象としている小魚や甲殻類などの獲物のことです。
例えば、接岸したカタクチイワシを捕食している場合には、カタクチイワシに近いサイズや動きを再現できるルアーを使用すること(パターンに合わせる)で、釣果につながりやすくなります。
小型のカタクチイワシや稚鮎などの小さいベイトに合わせる場合、小さく軽いルアーを使いたくてもキャストの飛距離を出しづらく、釣りの難易度が上がる傾向にあります。そんなとき、小粒サイズの「ムーチョ・ルチア」であれば小型のベイトサイズに合わせられ、飛距離も出るため、難しい場面も切り抜けられる力を持っています。
これで釣りたいと思わせるかわいさがある
ルアーフィッシングの魅力のひとつに玩具のような釣り道具で魚を釣るといった点があります。本物の小魚と見紛う出来のルアーも多くありますが、「ムーチョ・ルチア」にはどこか玩具のようなかわいさがあります。
「こんなルアーで釣ってみたい」と思わせるその小ささゆえの実釣性能を備えた、まさにルアーの本質を体現するのが「ムーチョ・ルチア」なのです。