メダカの改良品種考【今週のメダカ Vol.4】

2018.12.24

新しい連載として、これまで3回、注目度の高い、比較的、新しい表現を持ったメダカを紹介してきた。そこで、今回から、改良メダカの原点に返って改良品種を見ていくことと、新しい品種を取り混ぜて進めていくことにした。
今日の改良メダカ人気を作った品種と言えば、全身が朱赤色をした楊貴妃メダカを紹介しない訳にはいかない。それまで、ヒメダカ、白メダカ、青メダカ、斑メダカしか知られていなかった観賞魚としてのメダカの世界に大きな衝撃を与えたメダカが“楊貴妃メダカ”であった。
 

2004年に広島県廿日市市にある『めだかの館』の大場幸雄氏が作出、命名された改良メダカを語る上ではなくてはならない、圧倒的な知名度と人気を持った品種である。この楊貴妃メダカの登場以降、改良メダカへの注目度を飛躍的に高めた品種で、今なお変わらぬ人気の高さを保っている美しい改良メダカである。2003年の夏に黄金系メダカを黒色の容器で飼っていた中に、変わった色をしたメダカがいることから、楊貴妃メダカの作出が始まったと言われる。その変わった色をした一匹のメス親を元に交配を始められ、それから採れた6匹のF1から何度も交配を繰り返し、楊貴妃メダカの元親が作られたと言われている。
 

これは2004年当時、『めだかの館』のカタログに掲載された楊貴妃メダカの写真である

楊貴妃メダカは黄金メダカ→琥珀メダカ→楊貴妃メダカという変化を見せて作られたもので、琥珀メダカが野生体色のメダカだとすると、楊貴妃メダカは野生体色のメダカに対するヒメダカの関係にあるのだと考えられる。楊貴妃メダカは体色の朱赤色が濃く、特に上から見た色合いはヒメダカとは異なり鮮やかで美しい。ヒメダカとの交配では楊貴妃メダカらしさがすぐに失われてしまうので、楊貴妃メダカとヒメダカは別系統だということが判る。良血統のものを選別して累代繁殖していきたい。楊貴妃メダカの美しさを保つためには、朱赤色の色の濃い種親を選び、累代繁殖させることである。その種魚選びは今でもベテランブリーダーを悩ませる難しさがある。だからこそ、いつでも挑戦できるところも楊貴妃メダカの魅力である。
 
『楊30』と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統である

『楊30』と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統は、島根県の寺井道典氏が純系をしっかりと累代繁殖されている『めだかの館』の大場幸雄氏の交配による楊貴妃メダカの一系統。楊30の素晴らしさは、純系をひと目見ていただければ判るほど、その独特な濃い朱赤色が美しい。是非とも楊貴妃メダカ好きの人には一度は飼育してもらいたい系統である。楊30の作出過程には、スモールアイの系統が交配されており、光体形やだるま体形も出現することがある。非常に朱赤色の濃さが目立つ、人気系統である。
 
『紅帝』と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統である
 
『紅帝』と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統の上見

『紅帝』と呼ばれる楊貴妃メダカの一系統は、広島県福山市在住の栗原親子、御兄弟が、福山起源の朱赤メダカを累代繁殖、飼育環境の違いから体色の赤味の異なるタイプを見つけられ、それを選抜交配して累代繁殖されたものである。楊貴妃系統と言えば楊貴妃系統なのだろうが、広島の『めだかの館』の楊貴妃の各型の血統は混ざっていない。その部分も興味深い。“紅帝”のルーツは福山市在住の瀬尾開三氏が作っていた系統と言われており、紅帝の見せる朱赤色は独特なものがあり、通常の楊貴妃メダカを室内で飼育していると朱赤色が黄色っぽくなっていくのだが、この“紅帝”は他の楊貴妃メダカの系統に比べ、室内でも朱赤色が濃くなる傾向があり、月齢が経つと室内でもより赤さを増していく。室内で飼育するとなかなか朱赤色が揚がらなかった楊貴妃メダカを、熱帯魚のように室内で楽しめる可能性を示してくれた系統とも言える。
 
今では、ホームセンターの観賞魚コーナーでも普通に見られるようになった楊貴妃メダカであるが、朱赤色の濃い個体が売られていたなら、その魚から、楊貴妃メダカの面白さを楽しまれると良いだろう。多くの改良品種がリリースされては消えていく中、この楊貴妃メダカは改良品種の中では、幹之メダカと並ぶ、“永遠のツートップ”と言える美しく、誰をも魅了するメダカなのである。
 
楊貴妃メダカの光体形、『東天光』と呼ばれる、体形の変化型である。
 
楊貴妃ダルマメダカと呼ばれる、体が短くなる体形の変化型である。
 
体形の変化系はほとんど全ての改良品種が持ち得るもので、この体形の変化については、またいずれ紹介しよう。
改良メダカを現在のように広く知らせることに功績を残し、今でも魅力的なメダカをリリースされておられる『めだかの館』のホームページは
写真・文/森 文俊
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