秋の夜空と黄道光 【武井伸吾の星空写真館】 | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2016.11.11

秋の夜空と黄道光 【武井伸吾の星空写真館】

冬の天の川と黄道光、そしてISS / 長野県

冬の天の川と黄道光、そしてISS / 長野県

秋といえば「黄道光」の季節。
黄道光とは、夜間に黄道(天球における太陽の見かけ上の通り道)に沿って帯状に見える淡い光芒のこと。日本では、1~3月の夕方と9~11月の明け方に観測しやすくなる天文現象だ。

9年ほど前になるが、イギリスのロックバンド「クイーン」(先日来日しましたね!)のギタリスト、ブライアン・メイ氏の博士号論文が発表され話題になった。氏がロックミュージックで成功する以前に、大学で天体物理学を専攻していたという話はファンの間では有名だったが、まさか36年もの歳月を経て、再び博士号論文に着手するとは思ってもみなかった。と同時に、時を経ても尚、彼が宇宙への憧れやロマンを失っていなかったということに、同じ天文ファンとしてとても嬉しく思ったものだった。
論文テーマは「黄道塵の中の視線速度」。黄道塵とは地球軌道付近に散らばっている塵のことで、その塵が太陽光を散乱し黄道光として観測されるのだ。

そうそう、ブライアン・メイといえば、クイーンの名盤「オペラ座の夜」収録の「’39」はメイのペンによる曲で、なんと恒星間航行の“ウラシマ効果”を題材にした曲。カントリー調の佳曲で、一聴して好きになった曲なのだが、よくよく歌詞を読み返すと実に興味深い。まさか特殊相対性理論を歌っているとは思わなかった。さすが、天体物理学を学んだ者が書く曲である。

閑話休題。そんな黄道光だが、淡い光なので、観測は空のコンディションに大きく左右される。ぜひ星空のきれいな場所で見てほしい。
そして、この時期の黄道光は冬の天の川と対で楽しみたい。東の地平線から立ち上がる光芒は、天の川に届かんばかりで、その光景は神々しいという形容がぴったりだと思う。

一晩の撮影を終える頃、東空を見やると、この光芒が黎明を知らせてくれる。その時間は、秋らしく清々しいひと時だ。
僕にとって、黄道光は秋の星空散歩に欠かせないものとなっている。

冬の天の川に届かんばかりに輝く黄道光。ISS(国際宇宙ステーション)が静かに光跡を描いていった。

冬の天の川に届かんばかりに輝く黄道光。ISS(国際宇宙ステーション)が静かに光跡を描いていった。

星景写真家・武井伸吾
「星と人とのつながり」をテーマに、星景写真(星空のある風景写真)を撮影。著書に写真集『星空を見上げて』(ピエ・ブックス)など。http://takeishingo.com/
2017年カレンダー「星空散歩」が発売中です。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4777941892/

武井さんの以前のお話はこちら。
桜と星空鑑賞のススメ。~夜桜礼賛~
満天の星の下、お気に入りの樹々と過ごす時間。
星降る夜に、カメラを構えながら思うこと。
僕を夜空の世界へいざなってくれた星。
空からラッキーが降ってくる。~流れ星の話~
昇るオリオン座に夏を想う。~清涼のオリオン~
夜空にあるもうひとつのカレンダー

NEW ARTICLES

『 自然観察・昆虫 』新着編集部記事

身近なツユクサがみせる不思議な現象とは? タネを集めて確かめよう!

2026.09.07

日本一笑える水族館! 愛知県蒲郡・竹島水族館(タケスイ)の、偏愛過ぎるパネル解説を語りたい!

2026.09.06

夏から初秋に伸びるモンスター!ツル性雑草の正体は?見分け方と対策を解説

2026.09.04

自然と触れ合う虫好き・植物好きの楽園7選!

2026.09.02

千葉県勝浦市にある「海の博物館」。磯遊びの基本を学べるイベントに家族で参加!

2026.09.01

夜の展示は別の顔!? 魅惑のナイトミュージアム4選

2026.08.30

この世からコウモリがいなくなれば、人類も滅ぶ!?コウモリの知られざる役目とは?

2026.08.30

100種のクラゲに出会える世界一の水族館「ことはちゃん」、クラゲ博士になれるかな!?

2026.08.28