ユニクロで北極点に!? 早稲田大学に通う20歳の冒険家・南谷真鈴さんが「7大陸+北極南極」を達成 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 海外の旅

    2017.05.17

    ユニクロで北極点に!? 早稲田大学に通う20歳の冒険家・南谷真鈴さんが「7大陸+北極南極」を達成

    早稲田大学に通う20歳の冒険家・南谷真鈴(みなみや・まりん)さんが、4月13日、北極点に人力で到達した。

    2015年以降、7大陸最高峰(セブン・サミット)への登頂、南極点踏破を果たしているため、今回の北極点踏破で、7大陸最高峰と北極・南極の両極点の完全制覇となる。

    7大陸最高峰と北極・南極完全制覇は「エクスポローラーズ・グランドスラム」と呼ばれており、南谷さんは史上最年少での達成となった。

    今回の北極点への旅は、約60kgのソリをひきながら8日間かけて極点に到達した。

    最初は6名でのスタートだったが、途中で凍傷や疲労のため、ベルギー人とフランス人のメンバーが脱落。最終的に、南谷さんを含む4名での極点到達となった。

    南谷さんによると、今シーズンは例年より寒気が強く、氷と氷の間の亀裂が凍り付いていた。そのため、14日間で計画していた行程を一日7~10時間行動で一直線で進むことができ、予定よりも大幅に早い8日間で極点に到着することができたという。

    「北極は、とにかくものすごーく寒いんです。3枚のライナーを着ていても寒くて、太ももがジンジンするくらいで。テントの中でも、吐く息の蒸気が、すぐに凍ってしまうくらいの寒さでした。
    一日の行動が終わると、テントの中で濡れた衣類を乾かすんですが、寝袋にくるまって白い息をはきながら、まるでアザラシみたいになってしまって……。私、もともとアザラシみたいな体をしているのに(笑)」(南谷さん)

     

    進むペースは順調だったが、事件もあった。

    1時間歩いては、3分休憩するというリズムで進み、ちょうど休憩中のこと。南谷さんが別のメンバーの手伝いでソリを離れ、もどってきた、そのときだった。

    「もう、ほんとうに驚きました。シロクマが私のソリにのってる! って。なんと、私のソリから、サラミを食べはじめたんです」

    すぐにリーダーに報告。一時は4人ともうろたえる状況に陥ったが、銃で威嚇して、無事に追い払うことができた。

    「もちろん、シロクマは怖いです。氷の上にもたくさん足跡が残っていますから。テントの中で寝るときも、銃を抱えたまま寝袋に入って眠るんです」

    マイナス35度Cを下回る極度の低温と、シロクマの恐怖をのりこえてたどりついた極点で、南谷さんが感じたのは「地球って、なんて美しい場所なのだろう!」という思いと、「これでやっと、テントで眠るときにリラックスできるな」という安堵だったという。

    今回の旅を支えた衣類は、ユニクロの提供。行動用に着用したウェア『ノースポール・ジャケット』『ノースポール・パンツ』や、休憩時に着用した完全防水・防風の『ノースポール・ダウンパーカ』と『ノースポール・ダウンパンツ』は、南谷さんの意見を取り入れて開発された特注品。素材選びからユニクロの技術スタッフと検討を重ね、着脱しやすく機能的で快適なウェアに仕上がった。

    その一方で、既製品の「ウルトラライトダウンジャケット」を、テント内や、南極点に到達したときの休憩用防寒着として活用したという。

    たった4000~5000円程度で買えるユニクロのダウンが、北極の極寒の中でも活躍するとは、かなり驚きの事実ではないだろうか。

    7大陸の山を登頂してきた経験から、ユニクロの既製品でも冒険はできる、と南谷さん。

    「標高6000mくらいの山なら『ウルトラライトダウン』で行けるんじゃないかと思います」

     

    南谷さんの強さは、「負けず嫌い力」かもしれない。

    数年前に7大陸最高峰登頂をめざして登山のトレーニングをはじめたころ、「キミみたいな小娘に七大陸最高峰なんて登れるわけがない」と山のベテランにいわれたこともあった。

    「自分の可能性を、ほかの人に決めつけられたくない、とそのときに思いました。自分の可能性は無限大なんだと信じたい」

    ウルトラライトな感覚で周囲の予測をひょうひょうと裏切っていく、新しいタイプの冒険家は、まだ20歳。次回の旅は「海」。ヨットでの世界一周にチャレンジするそうだ。

     

     

    南谷真鈴(みなみや まりん)

    1996年12月生まれ。2015年のアコンカグア(アルゼンチン)を皮切りに現在までに、キリマンジャロ(タンザニア)、モンブラン(フランス)、マナスル(ネパール)、コジオスコ(オーストラリア)、ヴィンソン・マシフ(南極大陸)、南極点到達、カルステンツ・ピラミッド(インドネシア)、エルブルス(ロシア)、エベレスト(ネパール)、デナリ(アメリカ)を征覇。2016年5月23日にエベレストに登頂し日本人最年少記録を更新、そして2016年7月4日にデナリを登頂したことで7大陸最高峰(セブンサミッツ)の日本人最年少記録を更新。2017年4月13日に北極点に到達し、「エクスプローラーズ・グランドスラム」達成の世界最年少記録を樹立。趣味は山岳活動、料理、スキー、マリンスポーツ全般。早稲田大学 政治経済学部 国際政治経済学科在籍中。http://marinminamiya.com/

    NEW ARTICLES

    『 海外の旅 』新着編集部記事

    北極圏の旅行にはこれがあると便利!スウェーデンのアウトドアガールが教えます

    2024.03.27

    ロサンゼルス一望の丘を一気に登る!手軽な観光スポット「カルバー・シティ・ステアーズ」をご紹介

    2024.03.27

    まるで「天空の城ラピュタ」のよう! ポルトガルのムーア城は、ロマンチックが止まらないぞ

    2024.03.19

    スウェーデンのアウトドアガールが実践!サウナの楽しみ方、トナカイそり…心身を癒すアウトドア遊び

    2024.03.14

    歴史的建物やコウモリ保護区…フィリピンのイロイロ市は色々楽しい!

    2024.03.11

    キャンピングカーで北ノルウェーなど北極圏の旅へ!雪山を見ながらサーフィンも楽しめちゃうんです

    2024.03.09

    上からみると世界地図!ドバイの海で「世界一周」SUPに行ってみたら…

    2024.03.08

    「ロスからサンフランシスコへ続くフリーウェイ」をあえて外れて訪れたいセントラル・コーストとは

    2024.03.07