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「Shell we clean?」が誕生したきっかけとは

「Shell we clean?」は、ホタテの加工工程で、毎年約7,000トンも発生する廃棄貝殻に対して、海からいただいた恵みを、ただ捨てるだけで終わらせていいものだろうかという強い問題意識を抱いたことからスタートしたブランドです。廃棄貝殻を資源としてとらえ直す『Shell Cycle Project』を発足し、最初に開発したのが、水性ネイル「CYAN」だったそうです。その後、さらに日常使いしやすく、より環境にいいものを届けたいという思いが深まり、洗剤のプロジェクトが本格的に動き出して、ようやく2026年3月に商品が発売されました。構想から約5年かけての商品化です。貝殻といえば、自然由来のものだし、そんなに環境に負担をかけないのではないかと思ってしまうのですが、そうではなかったのです。
「貝殻は、土に埋めて処分していたのですが、貝塚ってありますよね。あれって、縄文時代の人達が食べた貝殻が、長い年月をかけても分解されずに残っているからなんです。」(Shell we clean? 商品企画開発 相澤理恵さん)
言われてみれば、そうですよね。ということは、我々がホタテの貝殻を地層処分していくと、将来の貝塚となって、ずっとそこに残ってしまうわけです。自然界のものは、自然に還ることができるのだと漠然と思っていましたが、長年、分解されないものもあり、それらが再利用できるのなら、すばらしいことですよね。
ホタテ貝殻のポテンシャルはわかっていても異業種のため開発は苦労の連続

ホタテの貝殻を粉砕したパウダーが持つ優れた洗浄・除菌効果がわかっていたものの、「Shell we clean?」を手がけている「山神」は、食品事業が本業ということもあり、洗剤を製品化するための規制などの対応など、さまざまなハードルもあったといいます。
「野菜を洗うウォッシュパウダーも販売していますが、粉末のままでは、クリーナーとして一般的な使い勝手を考えるとむずかしいと思い、液体化に協力してくれるパートナー企業を探し出すことにも大変苦労しました。」(相澤さん)
確かに、毎日の暮らしの中で、粉末というのは使い慣れていないため、洗浄効果があることがわかっていても毎日のことですし、使うには躊躇してしまいそうです。そんな試行錯誤の末、陸奥湾産ホタテ貝殻を特殊技術によって、通常の水酸化カルシウム水溶液よりも3倍溶かすことに成功し、安定した強アルカリ性で除菌・消臭・油汚れも分解できる『ナチュラルクリーナー スプレータイプ』が誕生しました。
「強アルカリ性ですが、人体への影響がほとんどないことが証明されています。ペットや小さなお子さまのいるご家庭でも安心して使っていただけます。」(相澤さん)
重曹がpH8ということを考えるとpH12の「Shell we clean?」のナチュラルクリーナーの除菌力は頼もしく感じます。また、可燃性もなく、キッチン周りでも安心して使えるのがうれしいポイントです。
容器にも廃棄ホタテ貝殻を使用

界面活性剤も不使用のナチュラルクリーナーは、その容器にも廃棄されるホタテ貝殻を使用しています。貝殻にリサイクルプラスチックを組み合わせた新素材「SHELLTEC(シェルテック)」を扱う大阪の企業とタッグを組み、ホタテ貝殻パウダーを30%配合した環境配慮型ボトルを開発しています。
「貝殻パウダーの割合を増やすと成形が不安定になったり、目指す質感が出なかったりと、安定した品質に達するまで、かなりの苦難がありました。」(相澤さん)
艶消しの白いボトルは、プラスチック特有のつるつるした感じではなく、デザインの効果もあると思いますが、貝殻を触っている感覚に似ています。
「界面活性剤を一切使用していないにもかかわらず、消臭、除菌、さらには油汚れにまでしっかりと効果を発揮する商品が完成し、成分から汚れ落ちに至るまで、一切妥協のない、納得のいく洗剤を作り上げることができたという大きな達成感がありました。捨てられるはずだった貝殻に新たな命を吹き込み、『海の恵みを再び人の暮らしへと循環させる仕組み』をひとつ形にできたと手ごたえを感じています。」(相澤さん)
さらに、洗剤部門として日本初となるエコサート認証も取得しているクリーナーです。
マルチに使えるナチュラルクリーナー

テーブルやコンロ周り、床掃除の除菌にもなり、窓は、除菌だけでなくカビ防止としても活躍してくれます。子どものおもちゃの除菌や部屋干しの洗濯ものにも使えます。衣類の場合、シミなどにならないか目立たないところで念のため確認した方がいいですが、コットンのTシャツは、問題なく使えました。雨の日が続き、部屋干しが常態化していましたが、菌の繁殖を抑えられたのか、嫌な臭いは広がりませんでした。

キャンプのギアなどのお手入れにも使えますし、アルコールと違い、可燃性もないため、調理道具の除菌にもぴったりだと思っていたのですが、ひとつだけ落とし穴がありました。それは、強アルカリ性であるため、アルミ製品には使えないのです。ということは、一部のシェラカップやお鍋には使えないということです。ほかにも、アルカリ性に弱い銅、特定の塗装面、繊細な衣類などは、使用できません。シェラカップの素材を改めて確認してみたところ、本体に記されていないことに気づき、筆者は、メーカーのホームページで確認してみました。今、一番使っているシェラカップは、ステンレス製だったため使用できますが、もし、素材がはっきりしない場合は、念のため使わないほうが安心かもしれません。
「Shell we clean?」は、ボトルもスタイリッシュで、家のどこの置いていても邪魔にならないため、ちょっと使いたいなというときに便利な、手をのばしやすい場所においておけるのもうれしいクリーナーです。
「ホタテを育てる工程から加工、そして殻に至るまで、資源を一切無駄にせず活かしきる循環型モデルをさらに強固にし、社会に広げていきます。今後、世界市場に向けたアプローチも本格化させていきます。」(相澤さん)
ホタテを育てているからこそ、ただ廃棄されていた貝殻にも役割を与えることを考えて誕生した「Shell we clean?」は、排水溝もきれいにして海に還っていきます。ホタテの不漁のニュースがある中、海の環境を守るためのひとつのアクションとして、循環するアイテムを選びたいと改めて感じました。
Shell we clean?
https://shell-we-clean.com/




