標高1100mの“空に一番近いフルマラソン”!? 過酷さで知られる「榛名湖マラソン」に挑戦 | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

日本の旅

2026.10.25

標高1100mの“空に一番近いフルマラソン”!? 過酷さで知られる「榛名湖マラソン」に挑戦

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(写真提供:榛名湖マラソン実行委員会)

去る9月27日、群馬県高崎市で第14回榛名湖マラソンが開催されました。

この大会、日本陸連公認の大会としては最も標高が高いコースが舞台。なおかつ、高低差が大きいので国内で最も過酷なマラソンの一つと言われています。

この大会にマラソン初挑戦の私も参加してみました!

美味しいワカサギと温泉でエネルギー充電

晴れていれば美しい光景が広がっている。(写真提供:榛名湖マラソン実行委員会)

せっかくの機会なので、前日に榛名湖へ移動し観光をすることにしました。ところがあいにくの雨、ホテルで借りた自転車で湖畔を走り始めましたが、小富士という別名を持つ榛名富士の頂上も霞んでいます。ロープウエイに乗って山頂へ行きたかったのですが断念。

前日はあいにくの雨、翌日の天気が気になる…。

翌日のマラソン大会のため、主会場で人々が小雨の中で準備作業を続けています。

「ありがとうございます!明日は頑張ります!」

「は~い、応援しているからね」

霧が濃くなり、山が見えなくなって来ました。時刻はお昼過ぎ、榛名湖名物のワカサギが食べられるロマンス亭という食堂にお邪魔しました。明日を控えてお腹の調子を整えないといけないので、ワカサギ丼のミニを注文。これがたったの600円とリーズナブル!

「はい、お待ちどうさま~」

10分も経たずに注文の品が着丼。サクサクと上がったワカサギを頂くと、

「美味しい!」

ぜんぜん臭みがなくて上品な味。かかっているタレも良い味付けです。

抜群の味で癖になるワカサギ丼。

そしてお会計。

「すごく美味しかったです、ごちそうさまでした」

「明日、マラソンに出られる方?商品券使えますよ」

と、お店の方。今回、実行委員会からエントリー者に送られたきたゼッケンやランナーズチップなど一式に、地元の商店で使える商品券も含まれていました。デイパックから券を出して渡します。

「じゃあ、400円割り引かせていただきますね」

「えっ、じゃあ200円に?いいんですか?」

「大丈夫ですよ~(笑)」

こんな美味しい物が200円なんて、申し訳なさ過ぎる!ぜったい、また食べてみたいワカサギ丼でした。

今宵の宿は大会の協賛もしているゆうすげ元湯。館内にはランナーの方々が一杯いました。内湯の他、露店風呂もあります。ここでゆっくり身体を温め翌日に備えます。神経痛や筋肉痛に効くということでマラソンの前後にピッタリ。ちなみに日帰り入浴もできます。

温泉でゆっくりとエネルギーチャージ。

スタート前の緊張がほぐれたもてなし

大会当日の朝、ホテルの送迎バスで主会場へと向かいました。心配していた雨は止み、曇り空でマラソンには絶好の天気となりました。

霧が出ているもの雨は止んだ。

今回のコース、スタート地点から4キロをまず一周、そこから榛名富士と榛名湖をグルっとする約7.8キロを5周します。最低地点が1086メートル、最高地点が1164メートル、つまり標高差78メートル。コースでの合計の高低差が約583メートル!国内で最も過酷なレースと言われるのがよく分かります。

「頑張るぞ」という意気込みだけは人一倍ある筆者。

手荷物預かり所でデイパックを預かってもらいます。

「とりあえず晴れて良かったですね~」と係の方が声をかけてくれました。

「はい。でも完走は無理でしょうね…」

「そんなこと言わないでファイト!」

主会場をぶらついていて、無料のケアブースを発見しました。群馬県伊勢崎市にある上武大学のトレーナー部のボランティア活動。問診で気になる箇所などを丁寧に聞いてくれた後、マッサージやストレッチ、テーピングなどをしてくれました。

マラソン前に嬉しすぎるブース。
身体がほぐれてベストコンディションに。

「ブースは大会が終わるまで開いているので、走り終わった後も良かったらどうぞ」

スタートに向けて準備万端の状態になりました!

完走は無理でもやるだけやる!

午前8時45分、ランナーたちが待機するスタート地点で開会式が行われ、今回のマラソン大会の名誉会長である高崎市長の富岡賢治さんが挨拶。今回、ソロ(1412人)とペアマラソン(50組100人)と合わせて1512人が参加ということでした。

スタート前の緊張のひと時。(写真提供:榛名湖マラソン実行委員会)

午前9時、大会会長の号砲と共に一斉にスタート。みんな勢いよく進んで行きます。私もいつもジョギングしている時より速めのペースで走ります。何故なら『足きり』が怖いからです。5.5周のコースですが、午後1時45分(スタートから4時間45分)の時点で5周目に入れない場合、自動的にそこでストップとなります。そして、競技の終了時間は6時間。

初めに書いたように、私がフルマラソンの大会に参加するのは初。しかし、2週間前に在住する草津温泉の遊歩道で“一人フルマラソン”を走っていました。結果のタイムは6時間15分。今回の大会の終了時間にはぜんぜん間に合いません。

“完走は出来ないだろうが、できるだけやってみよう!”

とにかく無理してでも走るしかありません。周囲のランナーの中から自分のペースより何割か速い方を選び、彼をペースメーカーにして付いていきます。

地元の人々が沿道で踊りで鼓舞してくれた。(写真提供:榛名湖マラソン実行委員会)

1周目のウオーミングアップを終え、本格的な周回が始まる4キロ地点に。榛名富士を左にみながら長いストレートが続いています。その先にこれまた長く急な上り坂が!この坂がコースの最初であり最大の難関。ここで、ペースメーカーに選んだ方に引き離されてしまいました。次のペースメーカーの方を選び追っていきます。

長いストレートと急坂が最大の難所。

長い上り坂を終えると今度は下り坂、ここでみんなペースを速めて行きます。ここでまたペースメーカーの方に引き離されました。

下り坂の後はまた上り坂、この繰り返し。

下り坂を終えると給水所、早めの水分補給でスポーツドリンクを頂きます。再び上り坂、このコースで2番目にキツイ場所です。それを終えて下ると、宿泊したゆうすげ元湯の脇に出てきました。ここのエイドステーションでは地元榛名産の梨が用意されていました。これは嬉しいおもてなしですね~。美味しくいただいて栄養補給。

みずみずしい梨が身体に染みる。

その後、緩やかながらも上がり下がりが続きます。そして、視界が開け、榛名湖を左に望みながらの進むと、昨日、ワカサギ丼を食べた食堂が並ぶ辺りへ来ました。お店の方々が沿道で手を振って応援してくれています。

「頑張れ~」

「ありがとうございます!」

天気が良くなり榛名湖が美しく輝く。

足きり時間に間に合うか?

やっと本格周回を終え、スタート地点へ。しばらく走ると、また先程の長いストレートと心臓破りの丘が見えてきます。

先はまだまだ長い。

“まだ1周目を終えたばかり。この坂をあと4回上るのか…”

そう、このメンタルをやられる周回が、高低差と共に、このコースの攻略ポイントだと言われているのです。

とにかく先のことは考えず、走り続けます。

一歩づつ前に進むしかない。

途中、ふくらはぎが一瞬吊ったりしたものの、何とか4周目を終えました。時刻は午後1時20分。足きりまでまだ25分残っています。

“間に合った!”

残りは1周。

人々の暖かさに支えられゴール!

でも気を緩めることはできません。“一人マラソン”を走った時、右膝がダメになり、最後はほとんど歩くスピードになったのです。同じことが起これば、競技終了の6時間内にゴールをするのは無理になるでしょう。

膝に爆弾を抱えながら、とにかく気力で歩を進めます。

「最後の1周、頑張れ!」

沿道に控えるスタッフの方々が声援を送ってくれます。

ついに残り1キロ地点に!

そして、ついにゴール。主会場まで何とか進んだものの、そこで足がヘニャヘニャになり崩れてしまいました。そして、まったく動くことができず、地べたにへばりついてしまいました。

タイムは5時間27分35秒、総合順位では1082人中851位でした。決して良い記録ではありませんが、完走できただけで大満足です!

10分ほど経ってやっと立ち上がることができましたが、足を引きずりながらの移動。朝お世話になったケアブースへ移動。上武大学の学生さんに再びマッサージをしてもらいます。

すると、

「お~、足が動く!」

痛みは残るものの、足がすごく軽くなりました。

「今日、完走できたのは皆さんのおかげです!ありがとうございました」と顧問の西川彰先生と学生さんたちにお礼。今回のトレーナー部は上武大学のスポーツ健康マネジメント学科柔道整復師コース所属の学生たちにより構成されているそうです。

「この部ができて今年13年目になります。外部実習の一環として、毎年、群馬県下の8大会ほどにご依頼を受けて参加しております。また、機会がありましたら、私たちのケアブースに立ち寄ってください」

「はい、是非!」

暖かく励ましてくれた荷物預り所のスタッフの方々。

過酷なマラソン大会でしたが、それを乗り越えさせてくれる人々の暖かさを強く感じました。また、参加してみたいです。榛名富士からの絶景もまだ見ていませんからね!

男性部門の1位の記録は2時間36分19秒。(写真提供:榛名湖マラソン実行委員会)

(取材協力:榛名湖マラソン実行委員会)

著者画像

梅本昌男さん

草津温泉在住ライター

JAL機内誌スカイワードなどに執筆。観光からビジネス、グルメ、エンタテインメントまで幅広く網羅。カナダ・タイ・エジプトなどでの約30年の海外生活を終え日本へ帰国。現在、群馬県草津温泉のホテルでフロントの仕事をしながら、休日にはインバウンド客のガイドをしている。著書「タイとビジネスをするための鉄則55 (アルク)」「極楽タイの暮らし方(山と渓谷社)」「猫とやせよう(双葉社)」。またモデルとしても活躍、グーグルやヤフーで“中年サラリーマン”や“中高年サラリーマン”と画像検索すると上位に出てくる。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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