巨岩の上の展望スポットも!修道士が守ってきた原生林と礼拝堂を訪ねて | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.10.09

巨岩の上の展望スポットも!修道士が守ってきた原生林と礼拝堂を訪ねて

巨岩の上の展望スポットも!修道士が守ってきた原生林と礼拝堂を訪ねて
みなさま、こんにちは。ポルトガル在住の東リカです。

首都リスボンからも行きやすい世界遺産の街、シントラには魅力的な宮殿やトレイルがたくさんあります。これまでもいくつか紹介してきましたが、今回は、自然と同化する神秘的な「カプーショス修道院(Convento dos Capuchos)」を紹介します!

「神の造形」を活かした16世紀の修道院

capuchos入口
コルク樹皮で覆われたカプーショス修道院のチケット売り場。

1560年に建造されたカプーショス修道院は、フランシスコ会系の修道士たちが暮らし、修行した場所です。「世俗から離れ、物質的な快楽を捨てることによって精神的完成を求める」という修道士たちの姿勢を反映した簡素な建築物で、以前こちらで紹介した豪華なペーナ宮殿やモンセラート宮殿とは対照的です。

教会
巨岩の奥にある教会。

これらの有名な宮殿では、自然が作り手のロマン主義的な美意識に沿って演出されているのに対し、カプーショス修道院では、そこにある自然をそのまま「神の造形」として捉え、人間の方が自然に従う形で建造されています。

例えば、自生する植物はもちろん、花崗岩の岩塊が取り除かれず、建物の一部になっていることにもその思想が現れています。

capuchos
正面から見ると巨岩の陰に隠れている階段。

チケット売り場を過ぎて修道院へと向かっていくと、入り口への階段が大きな岩の裏に隠れていたり、噴水の庭へとつながるゲートが巨岩でできていたりと、最初から発見の喜びと驚きが続き、冒険心がチリチリとくすぐられます!

capuchos gate
修道院への入口。

ゲートをくぐれば、何百年も前から修道士に来場を告げるために使われてきた岩の上のベルを鳴らすことができます!

bell
ロープを引くと、巨岩の上にあるベルがいい音を響かせ、嬉しくなります。

教会から台所、バスルームまで、あちこちで巨岩が存在感を放っています。その合間を縫うように走る狭い通路、細い階段、小さなドアをくぐって修道士の寝室やチャペルを訪れるのは、なんだか秘密基地を巡るような楽しみがあります。

個室
修道士たちの居住エリア。

また、この修道院でもうひとつユニークなところは、ポルトガルの名産品でもあるコルク。天井、壁、窓、また椅子の上のクッションなど、修道院内のあちこちにコルク樹皮が使われていることから、「コルク修道院」とも呼ばれていたそうです。

cork
コルクのベンチに腰掛けることもできます。

ポルトガルが誇るコルクには、保温、防音、緩衝材などさまざまな特性があります。例えば、コルクで囲まれた会議室では小さな声で話してもよく聞こえたそうです。また、コルク樹皮で覆われたベンチは、直接石に座るのに比べて、柔らかくて温かく、かなり快適でした。

原生林と祈りのための空間

capuchos
岩の上を苔むした木の根がめぐる原生林の道。

建物を取り囲む森は、ここで暮らしていた修道士たちによって手つかずの状態で守られてきました。現在では、シントラに残る原生林の姿を伝える最も貴重な例のひとつなんだそうです。

どんぐり
どんぐりがたくさん落ちていました。

この原生林には、古いオーク類(carvalhos)、コルクガシ(sobreiros)、セイヨウヒイラギ(azevinho)、ツゲ(buxos)、イチゴノキ(medronheiros)、クリ(castanheiros)、ハシバミ(aveleiras)をはじめ、数多くの在来植物が残っているそうです。

階段
修道院の中庭から原生林へと続く階段。

回廊に囲まれた中庭から階段を上り、「シントラの原生林の面影を今に伝える森」へと入ることができます。

くり
栗もたくさんありました。

私が訪れた9月後半は、たくさんの栗やどんぐりが落ちていました。

さらなる清貧を求めたオノリオ修道士が、修道院の独房さえ捨てて、暮らしたという「フレイ・オノリオの岩窟」。

苔むした岩の階段を歩いていくと、「エッケ・ホモの庵(Ermida do Ecce Homo)」、「磔刑の主の庵(Ermida do Senhor Crucificado)」、「フレイ・オノリオの岩窟(Cova do Frei Honório)」など、修道士たちが祈りを捧げた空間が現れます。

capucho
巨岩の中にある「磔刑の主の庵」。

なかでも注目したいのが、「磔刑の主の庵(Ermida do Senhor Crucificado)」。この庵を構成する巨岩が実は展望台になっているのです!

岩
よく見ると窪みのある岩壁。

オーディオガイドで「瞑想にぴったりの岩の上の展望台を訪ねてみて」と案内があるものの、原生林の中に看板は出ていません。けれども、巨岩をよく見ると、先人が上ったと分かる、手や足をかけるくぼみがありました。

「馬鹿と煙はなんとやら」なんていうことわざもありますが、絶景が待っているかもしれないと思うと、登らずにはいられません……!

展望台
岩の上からの眺め。

独り、巨岩にへばりつくように上っていくと、一気に視界が開けて、原生林の先に海まで見渡せるのです!風も気持ちがいいです。

岩に横たわると、空には飛行機雲が。

しばし、静かに修道士たちに想いを馳せました。

horta
菜園にも見どころが満載。

原生林から戻ったあとは、この場所で発掘されたアイテムを展示する資料館や今もコミュニティが野菜を育てている菜園をのぞいて帰路につきました。

当時の面影を残しつつ、今もひっそりと原生林の奥に佇む修道院。シントラでぜひ訪れてほしい穴場です!

著者画像

東 リカさん

フリーライター

アウトドアが盛んなオレゴン州ポートランドからポルトガル・リスボン近郊へ移住したフリーライター。著書に「好きなことして、いい顔で生きていく ~風変わりな街ポートランドで、自分らしさを貫く15の物語~ 」(イカロス出版)など。旅行、お酒、食事、キノコ狩り、カヌーなどが大好きです。

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