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ダウンジャケットが暖かい理由と素材の違い

ダウンジャケットの効果を引き出すには、ダウンジャケットがなぜ暖かいのかや素材の違いを理解することが重要です。まずは、ダウンジャケットが保温性を発揮する仕組みや、ダウン・フェザーと中綿それぞれの特徴を解説します。
空気を多くため込み断熱性が高い
ダウンジャケットが暖かい理由は、空気の層を作り、ウエア内外を断熱するためです。中でもダウンは毛同士が絡みにくく、ふんわりと膨らみやすいのでかさ高が大きいのが特徴です。
そのため、ダウンジャケットは多くの空気をためられ、アウターの中でも高い保温力を誇ります。圧縮するとコンパクトにまとまるだけでなく、元の形に戻る復元力も高いので、持ち運びやすいモデルも存在します。
さらに、天然素材であるダウンは、吸湿性・放湿性に優れているのも魅力の一つです。ウエア内をしっかりと保温しながら、汗による蒸れは外に逃がしてくれるため、快適な着心地がキープできます。
ダウン・フェザーの特徴
ダウンジャケットの商品説明には、多くの場合『ダウン○○%・フェザー○○%』と書かれています。ダウンとフェザーはどちらも水鳥から取れる羽毛ですが、部位が違います。
ダウンは水鳥の胸から取れる毛で、タンポポの綿毛のようにふわふわとしているのが特徴です。フェザーはその名の通り、羽から取れる毛です。両者は強みとする特徴や、ジャケットでの役割も異なります。
ダウンは羽軸がなく軽量で、保温性に優れています。一方、フェザーは保温性でダウンに劣るものの、羽軸があり弾力に優れているのが強みです。ジャケットの形状をキープする役割を果たします。
中綿の特徴
中綿とは、ポリエステル・コットンなどを加工して人工的に作った素材です。ダウンと同じく保温性を追求した素材であり、化学繊維ならではのメリットも多くあります。
ダウンは1羽の水鳥から取れる量が少ないため、ダウンを多く使用したジャケットは価格が高くなりがちです。しかし、中綿は大量生産が可能なので、比較的安価に手に入れられます。
また、天然素材であるダウンは水に弱いですが、中綿は水にぬれても乾きやすく、自宅での洗濯も可能です。保温性はダウンの方が高い傾向にあるものの、近年はダウンと遜色ない保温性を持った中綿ジャケットも登場しています。
リーズナブルな価格で保温性の高いジャケットを探しているなら、中綿を選ぶのもおすすめです。
ダウンジャケットの暖かい着方

ダウンジャケットの暖かい着方は、通常の発想と反対なので、知らないとなかなか思いつかないかもしれません。ここでは、ダウンジャケットの性能を引き出す着方のコツを紹介します。
中は薄着かつジャストサイズで着る
ダウンジャケットを暖かく着るには、インナーを薄着にするのがポイントです。ダウンジャケットが暖かいのは、空気の層によってウエア内外を断熱するためです。
そのため、ウエア内には体温から発する暖かい空気を閉じ込める必要があります。しかし、インナーを着込みすぎると、ダウンジャケットまで暖かい空気が届きません。インナーを厚着するほど、ダウンの性能を生かせなくなってしまいます。
ダウンジャケットを着る際のインナーは、ロングTシャツや薄手のスウェットが適しています。より肌との密着度を高めるために、オーバーサイズよりもジャストサイズで着るのがおすすめです。
ジャケットをぬらさない
ダウンは水に弱い素材です。水にぬれるとダウンが水を吸ってしまい、かさ高が減って空気の層をうまく作れなくなります。
従って、ダウンジャケットを暖かく着るもう一つのコツは、水にぬらさないことです。ダウンをぬらさない工夫には、表地にはっ水加工が施されたジャケットを選んだり、はっ水スプレーをかけたりすることが挙げられます。
薄手のダウンジャケットであれば、ミドルレイヤーとして着用し、はっ水性のあるアウターを上から着るのもよいでしょう。
暖かいダウンジャケットの選び方

ダウンジャケットは安価なものから、10万円を超える高級モデルまでさまざまです。ここからは、暖かくてコストパフォーマンスのよい1着を見つけるために、注目したいポイントを解説します。
暖かさはフィルパワーに注目
ダウンジャケットの暖かさを判断する指標に、フィルパワー(FP)があります。フィルパワーとは、ダウンの膨らみ具合を表す数値で、数字が大きいほど膨らみ具合が大きく保温性が高くなります。
一般的に高級品と見なされるのは、700~800フィルパワーのダウンからです。タウンユースであれば、600フィルパワーもあれば十分冬を乗り切れるでしょう。アウトドアで冬に登山をする場合には、700フィルパワー以上あると安心です。
800フィルパワー以上になると、厳冬期の雪山でも活躍するくらい高品質になります。ハイエンドモデルの中には、1,000フィルパワーのジャケットもあります。
ダウンの割合が多いほど暖かい
ダウンジャケットのスペックは、『ダウン○%・フェザー○%』などと表記されます。ダウンの方が軽量で暖かいので、ダウンの割合が大きいほど性能が高くなります。
ただし、フェザーがないと形状を保ちにくくなるため、フェザーが含まれているからといって品質が低くなるわけではありません。上記を踏まえると、ダウンの割合は70~90%を目安にするとよいでしょう。
モデルによっては価格を抑えるために、ダウン・フェザーに加え化繊の中綿が封入されているケースもあります。価格と性能のバランスを見るには、素材の割合にも注目しましょう。
目的に合わせて選ぶ
ダウンジャケットの選び方は、タウンユース用かアウトドア用かで大きく変わります。タウンユースでは、保温性をあまり追求しすぎないのがポイントです。
タウンでは、屋外と屋内を頻繁に出入りすることが想定されます。保温性が高すぎると、暖房の効いた屋内や電車で暑すぎたり、着ぶくれして動きにくかったりするデメリットが生まれます。
アウトドア用なら保温性はもちろん、表面の耐水性の高さにも注目しましょう。耐水性は、主に耐水圧で表示され、登山で使用するなら20,000mm以上あると安心です。
暖かいおすすめダウンジャケット【アウトドア】

ここでは、アウトドアにおすすめのダウンジャケットを三つ紹介します。保温性をはじめ、登山をサポートする機能性にも注目です。
ナンガ「オーロラテックス ダウンジャケット」
ダックダウン90%・760フィルパワーの、高品質なナンガの定番ダウンジャケットです。
表地には、耐水圧約20,000mm、透湿性6,000g/平方m/24hrsの『オーロラテックス』が採用されています。高い保温性を保ちながら、ウエア内の蒸れは逃がして快適な着心地をキープします。
ナンガのダウンは、日本国内で4回にわたり洗浄して特有の臭いを抑え、きれいで保温性の高いダウンに仕上げられているのが特徴です。腕の部分は立体的にデザインされ、動いてもダウンがつぶれにくく保温性をキープできるのもポイントです。
ナンガ オーロラテックス ダウンジャケット
サイズ:S〜XXL
ナンガ オーロラテックス ダウンジャケット
サイズ:WS〜WXL
モンベル「プラズマ1000 アルパインダウン パーカ」
一般的なダウンよりもダウンボールが大きい、モンベル独自の『EXダウン』を使用し、1,000フィルパワーを誇るハイエンドモデルです。圧倒的な保温性を誇りながら、7デニールの極薄素材でカバーすることで、平均重量約236g(メンズ)と軽量化も両立しています。
意匠登録済みのキルティングパターンは、縫い目を最小限に減らしつつ中綿の片寄りを防ぐ独自のデザインで、軽量化に貢献しています。細身のシルエットながらしっかりと保温性があるので、ハードな登山でも動きを邪魔しません。
モンベル プラズマ1000 アルパインダウン パーカ
サイズ:S〜XL
モンベル プラズマ1000 アルパイン ダウンパーカ Women’s
サイズ:XS〜XL
パタゴニア「ダウン・セーター・フーディ」
800フィルパワーのダウンを100%使用したハイエンドモデルです。すっきりとしたシルエットで、前面にある風の侵入を防ぐストームフラップが保温力を高めます。ジッパーの上部にはジッパーガレージを設け、冷えた金具が当たる不快感を軽減しています。
ポケットは手を温められる仕様となっており、暖かい空気を逃がさない伸縮性のある袖口で腕回りの保温もばっちりです。内側のチェストポケットに本体を収納できるパッカブル仕様で、体温調節アイテムとして持ち運びもできます。
パタゴニア ダウン・セーター・フーディ
サイズ:XS〜XL
パタゴニア ウィメンズ・ダウン・セーター・フーディ
サイズ:XS〜XL
暖かいおすすめダウンジャケット【タウンユース】
次に、タウンユースにおすすめのダウンジャケットを三つ紹介します。デザイン性に優れ、冬のコーディネートの主役になれるアイテムをピックアップしました。
ザ・ノース・フェイス「ヌプシジャケット」
1992年に開発されて以来、アウトドア・街着を問わず根強い人気を誇るザ・ノース・フェイスの定番モデルです。
ダウンの割合は約80%と高品質で、表地にははっ水加工を施したナイロン生地を採用し、アウトドアでも使えるよう仕上げています。フードはビルトイン仕様で、パーカーとの重ね着もしやすくなっています。
ブラック以外は、ザ・ノース・フェイスおなじみの切り替えデザインです。カラー展開も6色と幅広いので、家族やカップルでおそろいにするのも楽しいでしょう。
ザ・ノース・フェイス ヌプシジャケット
サイズ:S〜XXL
モンクレール「Montbrocq ショートダウンジャケット」
街着でもすっきりと着られる、無駄のない洗練されたデザインのモデルです。ダウンの割合は90%と高品質なのはいうまでもなく、左腕に施されたロゴワッペンにより、モンクレールを着ていると一目で分かります。
フードは、スナップボタンで簡単に取り外しができ、気分によってシルエットを変えられるため着回し力も高まります。丈感もトレンドのショート丈となっており、ミニマルで大人っぽいコーディネートができるでしょう。
モンクレール Montbrocq ショートダウンジャケット
サイズ:0〜4
マーモット「マンモスダウンパーカ」
2000年代に、ニューヨークの若者の間で流行したモデルのアーカイブモデルです。750フィルパワーのダウンを90%の割合で封入し、タウンだけでなくアウトドアでも十分に活躍します。
80デニールのなめらかなナイロンの表地に、防水透湿性のあるメンブレンを貼り合わせて、着心地をさらにアップさせています。
腰回りにはドローコードが付いており、気分によってシルエット変形が楽しめ、コーディネートの幅が広がるでしょう。落ち着いた4色のカラー展開で、着る人を選びません。
マーモット マンモスダウンパーカ
サイズ:XS〜2XL
暖かいおすすめダウンジャケット【化繊】
ダウンの手入れが面倒に感じる人や、悪天候下でも気にせず着用したい人には、化繊の中綿を使ったジャケットがおすすめです。最後に、保温性と機能性を兼ね備えたおすすめモデルを二つ紹介します。
パタゴニア「マイクロ・パフ・ジャケット」
防風性と軽量性を両立した『パーテックス・クアンタム』を表地に採用した、重量約295g(メンズ)のジャケットです。
中綿はダウンの構造を模しており、ダウンのような暖かさと、ぬれても保温性能が落ちない化繊のメリットを合わせた素材です。左のポケットに本体を収納できるパッカブル仕様で、街中でも寒いときにサッと羽織れるので使い勝手がよいでしょう。
袖口や裾から入る冷気を、効果的に防ぐ工夫も施されています。全体的にすっきりとしたシルエットに仕上がっており、インナー使いにもおすすめです。
パタゴニア マイクロ・パフ・ジャケット
サイズ:XS〜XL
パタゴニア ウィメンズ・マイクロ・パフ・ジャケット
サイズ:XS〜XL
アークテリクス「アトム フーディ」
『Coreloftコンパクト60』を中綿として採用し、小雨でも暖かさをキープできるダウンジャケットです。
秋や春には1枚で肌寒さから体を守り、冬場ではミドルレイヤーとしてアウターをサポートする、長いシーズンで使えるアイテムです。表地は通気性のあるナイロン素材を使用し、なめらかな肌触りと体温調節のしやすさを両立しています。
小さく折り畳みやすく、リュックの中に忍ばせても邪魔になりません。気温が低くなったら1枚あるとうれしい、体温調節に便利なアイテムです。
アークテリクス アトム フーディ
サイズ:XS〜XL
アークテリクス アトム フーディ ウィメンズ
サイズ:XS〜XL
まとめ
ダウンジャケットは、ダウンが空気の層を作り、外気を遮断することで保温性を発揮します。ダウンの性能を引き出すには、インナーを薄着にして体温をダウンに伝えることが重要です。
また、ダウンは水に弱いため、はっ水性を持った表地を選んだり、ミドルレイヤーとして使ったりといった工夫が求められます。化繊タイプの中には、安価ながらダウンに劣らない保温性を発揮する商品もあるため、コストパフォーマンスを重視する人におすすめです。




















