
アイスランドが「火と氷の国」と呼ばれるのは、たくさんの火山と氷河が共存するからです。そんなニックネームを体現する、氷河の下の火山にある氷の洞窟、「カトラアイスケーブ」をご紹介します!
夏でも訪問可能な氷の洞窟
アイスランド観光ハイライトのひとつが氷の洞窟。ヨーロッパ最大の氷河、ヴァトナヨークトル(Vatnajökull)にある青い氷の洞窟を訪れられるのは、通常10月中旬から3月までですが、実は1年中訪問可能な氷の洞窟もあるんです。
そのひとつが今回ご紹介する「カトラアイスケーブ」。
首都、レイキャビクから車で南東に約190km、3時間弱で到着する南海岸の街、ヴィーク(Vik)がカトラ洞窟観光の起点となります。
全ての氷の洞窟は、安全面から個人での訪問は禁止されており、プロのガイドが率いるツアーに参加する必要があります。レイキャビク発のツアーもありますが、私たちは、ヴィークからのツアーに参加しました。
モノクロームの世界へ
9時半の待ち合わせは、ショッピングセンターの駐車場。ガイドさんが運転するスーパージープ(改造四駆車)に乗り込みます。

しばらく道路を走った後、通常のクルマでは進めない凸凹や水たまりのあるオフロードに入り、洞窟を目指します。幸運なことに雨は上がっていたのですが、前日の大雨により、砂原には小川もできていました。そんな中、運転手さんはタイヤの空気を抜いて、器用にジープを操り、かなりのスピードで走っていきます。

45分ほどのドライブで目的地のミールダルス氷河(Mýrdalsjökull)のふもとに到着。いつの間にか周囲は真っ黒な火山灰と氷河に覆われたモノクロームの世界になっています。

この氷河は、アイスランドで4番目に大きい氷冠で、面積は約600平方キロメートル。その最高峰は標高約1,500メートルに達するそうです。この氷河の下にカトラ火山があるのです。
カトラ火山は930年以降、平均して50年に1回の割合で噴火しているアイスランドで最も活発な火山のひとつで、最後の大規模な噴火が起きたのは1918年のこと。その時は、巨大な火山泥流により南海岸線が5キロメートルも外側に拡大したんだとか。

この黒い火山灰に覆われた砂原は、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」に登場する惑星、ラムーをはじめ、いくつものSF映画のロケ地としても使われています。
いざ、氷の洞窟へ

スーパージープを降りると、ガイドさんが準備してくれたヘルメットとアイゼンを装着。10分ほど歩いて氷の洞窟の入り口を目指します。道は平坦で、アイゼンのおかげで特に滑ることもなくスムーズに到着しました。

その後、ガイドさんがショベルで作ってくれた氷の階段を上り、洞窟内へと入ります。
洞窟内にランプを設置すると、氷が薄青く輝きました。

それほど大きな洞窟ではありませんが、真っ黒な火山灰と透き通った氷が美しく、これぞ「氷と火の国」ともいうべきスポットでした!

ここで写真を撮ったり、ガイドさんが渡してくれた硬くてキレイな氷河のかけらを食べたり、氷河水を飲んだりして小一時間を過ごし、ヴィークへと戻りました。

異世界感満載のブラックサンドビーチ

さて、氷の洞窟から戻ってからは、近くの真っ黒な砂浜、ブラックサンドビーチに出かけました。
ヴィークにあるブラックサンドビーチは、カトラ火山の噴火によって流出した玄武岩質のマグマが海の波で細かく砕かれてできたものです。
なかでも、六角柱が規則正しく並んだ不思議な崖のあるレイニスフィヤラ(Reynisfjara)海岸は、その美しさで知られていて、 先述のスターウォーズに加えて「スター・トレック /イントゥ・ダークネス」や「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン7などのロケ地にもなりました。
あいにく雨が降り出しましたが、それがさらに別の惑星にいるような雰囲気を盛り立てます。
ちなみにここでは、6月から9月の夏場は愛らしいパフィンを見ることができるそうです。
レストランでパフィン(ウミスズメ科の海鳥)の肉がメニューに並んでいるのを見た時は「国のマスコットじゃないんかい!?」と驚きましたが、パフィンは昔から食料として狩猟の対象になってきたんだとか。ただ、パフィンが絶滅の危機から回復するまでは、多くの人々がこの習慣の禁止を強く求めているそうです。

さて、ブラックビーチとしてはこのヴィークのレイニスフィヤラ海岸が最も有名ですが、実は、青い氷の洞窟のあるヴァトナヨークトル氷河の近くにも「ダイヤモンドビーチ」として知られるブラックビーチがあります。ここは、黒い砂浜に散らばる氷のかけらがダイヤモンドのようだ、ということから、この愛称で呼ばれています。レイキャビックからは約370㎞離れていて、車で4~5時間ほどかかるのですが、こちらも1年間を通して訪れられるスポットですよ。