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なぜキャンプ道具は増えてしまうのか

キャンプは一年中楽しめるアクティビティですが、季節ごとに必要な道具が変わります。真夏のキャンプなら通気性の優れたテントや開放感のあるタープ、保冷力の高いクーラーボックス、薄くコンパクトな寝袋などが重要になります。
一方、冬キャンプでは、降雪にも耐えられるテント、氷点下でも使える寝袋、保温性の高いウェアなど、暖かく過ごすためのギアが欠かせません。シーズンごとに快適性を追求していくと、必然的に道具の種類が増えていきます。夏用の道具と冬用の道具を兼用することもできますが、それでは快適さがイマイチになってしまうことも。
以前、「冬でも夏のシュラフでいけるかな」と、氷点下のなか夏用の寝袋で山中で一泊したことがあります。もちろん、寒さで凍えて満足に眠れないという事態になりました。このように無理せずシーズンごとのキャンプを楽しもうとすると、必然的に道具は増えていくものです。
キャンプ道具が増える原因
1 万能的な道具から特化した道具への移行

キャンプを始めたばかりの頃は、ひとつの道具で多くの状況に対応できる、万能的な道具を選びたくなります。万能な道具は「これさえあれば大丈夫」という安心感がありますが、コンロであればより火力のあるもの、ウェアであればより軽く保温性や防水性の高いもの、といったように、キャンプに慣れてきてより快適に過ごしたくなれば、必然的に万能的より特化した道具を求めるようになります。
やはり、特定の用途に特化した道具は、機能性や使い勝手が格段に良いものです。「もっと快適に」「もっと美味しく」「もっと便利に」という気持ちを抑えるのは難しく、万能的な道具が押し入れに溜まっていく原因となります。
2 見ていると欲しくなるから

洗練されたデザイン、所有欲を満たすブランドロゴ、使い込まれた道具が醸し出す雰囲気。キャンプ道具は見ているだけでワクワクします。暇な時はキャンプ関連のウェブサイトを眺めることで、キャンプに行ったら行ったで新しい道具が次々と目に飛び込んでくるもの。アウトドアショップに行けば、ひとつの道具が目に留まり、いつまでも眺めてしまう人もいるのではないでしょうか。(私のことです)
「今買わないと二度と手に入らないかも」という心理も働き、衝動買いをしてしまうのも、道具が増える原因です。
3 苦楽を共にした道具だから

道具は単なるモノではなく、思い出と結びついています。使うほどに増えていく傷や凹みは唯一無二の証となり、既に機能性が著しく低下したウェアも、なんだか破棄できずに残っていることもあります。不思議なもので、キャンプ道具は使わなくなったからといって簡単に手放すことができません。「いつかまた使うかも」「思い出が詰まっているから」という気持ちが、道具を増やし続けてしまう原因になっているのです。
キャンプ以外の使い道
調理器具を自宅で使う

キャンプで使う調理器具は、当然ながら自宅でも使うことができます。鉄で作られているスキレットを使えば、自宅でも驚くほど美味しい肉料理などが楽しめたり、ひとり暮らしなら炊飯器がなくてもメスティンやアルミ製の鍋があれば十分です。私の知り合いには、アパートにコンロがないのでアウトドア用のシングルバーナーで調理している人もいました。
アウトドア用から街着へ

フィールドほど厳しい環境ではない街であれば、機能性が落ちたウェアでも十分に対応できます。また、デザインも秀逸なモデルが多く、アウトドアブランドのウェアをタウンユースで着るのは特段珍しいことでもないので、気にすることなく街着にできます。こうしてキャンプを始めて数年経つと、気がつくとプライベートウェアがアウトドアブランドで埋め尽くされていきます。
修理時の予備として

愛用しているキャンプ道具も、長年使っていると部品が劣化したり、破損したりすることがあります。そんなときに備え、増えすぎた道具を「予備」としてストックしておくのも一つの手です。テントは一度修理や部品を注文すると日数が必要になるので、以前頻繁に使っていたテントを保管していれば、修理から戻るまでの間も問題なくキャンプに行けます。
このほか、私はコンロやヘッドライドなどの道具をストックしており、修理で予備機を使用するたびに「取っておいてよかった」と思います。
デイキャンプや宿泊用のセットを作る

すべての道具を整理し、テーマごとにセットアップしておくのもおすすめです。日帰りで気軽に楽しめるように、小型のテーブル、チェア、バーナー、クッカーなど必要最低限の道具をコンパクトにまとめておいたり。1泊用でテント、シュラフ、調理器具などを一式揃えておけば、思い立ったときにすぐにソロキャンプに出発できます。
このように、目的別にセットを組んでおくと、毎回道具を探す手間が省けて、よりスムーズにキャンプの準備ができます。私はデイキャンプから1泊できる程度の道具を常にまとめており、思い立ったら家族でフィールドに出かけられるよう準備しています。
大切な道具を末永く使おう

自宅にある増えすぎたキャンプ道具は、まだまだ使えるものが多くあるかと思います。機能性が落ちていても自宅やタウンユースで十分対応できたり、かつて頻繁に使っていたからこそ使い勝手がよく分かっているので、予備機として活躍できます。
苦楽を共にしてきた道具を、末永く大切に使っていきましょう。