
透湿性と軽さの「断熱α」と断熱性と伸縮性の「断熱β」の2種類に

着る断熱材と呼ばれる「XShelter」は、断熱素材を採用することで、外部環境の影響を受けにくいウェアのシリーズです。普段着による厳暑や厳寒、雨対策を進めることで災害に備えることを目指し、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所とともに開発を行なっています。
昨年は初登場にもかかわらず、オンライン先行販売が4日で完売したという人気シリーズ。今年は、昨年登場した「XShelterシート」にプラスし、新たな断熱シートが登場しました。そのため、昨年登場した透湿性と軽さに優れた断熱シートを「断熱α」と名付け、新開発の断熱シートは、「断熱β」と名付けられています。
断熱βは、優れた断熱性と伸縮性がポイント。断熱αが、シートと発熱綿を重ねることで断熱層ができるのに対し、断熱βは、単体でも断熱層ができるとのこと。これまでより薄手のアウターが可能になり、ワークマン専務取締役の土屋さんが着用していた「XShelter」も、とても軽やかに見えました。
断熱αとβでは、基本的なシートの構造が違うため、一概にどちらが優れているというわけではなく、着用シーンに合わせて選ぶのがよさそうです。例えば、体を動かす場合、汗がこもらないことを優先するなら透湿度で優れているαを選び、より動きやすいストレッチ効果が欲しいならβにするなど、お好みを試してみてください。

これらの断熱シートが、どれくらい断熱できるのか、80度Cから100度Cの熱板に断熱シートαとβ、普通の生地に氷を乗せ、その変化を確認する実験が行なわれました。氷の大きさが少し違うため、断熱αとβの違いは大きくは変わりませんでしたが、普通の生地との差は一目瞭然でした。

体験コーナーでは、断熱αとβを使ったミトンがあり、氷に触れるなど断熱シートの効果を体感することもできました。驚くほど、熱さも冷たさも感じませんでした。
極寒・暖冬・豪雨での「XShelter」体験コーナー

「気候変動没入体験ゾーン」で、最新の「XShelter」を着用し、3つのシーンを体験してきました。

まずは、昨年も体験した「極寒」コーナーを体験。今回は、昨年よりも発熱綿を増量したという断熱αのアウターを着用して、「極寒」の室内に入ります。-25度Cの冷気が噴き出す部屋は、温度を確認すると-15度Cでした。ちょうど冷凍庫とほぼ同じ温度です。
「XShelter」を着用しているため寒さは感じなかったのですが、しばらくすると足元が冷えてきました。今回、トップスのみ「XShelter」を着用していたことをうっかりしていました。かなり足元は冷えましたが、上は快適だったので、改めて「XShelter」の効果が実感できました。

サーモメーターで計測すると、「XShelter」の外側は、冷えて青色になっていましたが、フロントを開けてみると、内側は緑色で、温度が下がっていないことがわかりました。

内側に搭載されたサーモメーターを確認しても、温度がキープされていることがわかりました。

「暖冬」コーナーでは、+30度Cの熱気という高温環境で、断熱ウェアが熱にも強いことを体験するというもの。暖冬とはいえ、暑すぎるのではないかと思いましたが、昨年の12月、東京都心の1日の気温差が10度以上の日が半分以上あり、毎朝着ていくものに迷う日が多くあるため、断熱ウェアが熱にも強いことを体験してもらうためだそう。
確かに、朝出かけるときは寒くてダウンを着ても、日中の暑さに脱いで手に持つことも多かった気がします。こちらは、断熱βの薄手の「XShelter」を着用して体験しました。

着用している部分だけ、青色で温度が低いことがわかります。これなら、日中、気温が上がってきても脱ぐ必要がありませんね。
「朝、なに着ていこうかと迷う時間がなくなります。また、お昼に暑くなると、今までは上着を脱いで手に持っていたと思いますが、そんなことをしなくてもよくなります。上着も荷物になりますから、着たままでいられるのは快適ですよ。」(土屋さん)
1日の寒暖差だけでなく、道を歩いているときは寒くても、電車に乗ると暑いなど、上着を脱ぎたくなるシーンは結構あるため、これはありがたいですね。

集中豪雨などにも備え、豪雨への対策も必要です。「豪雨」コーナーでは、「XShelter」のセットアップと防水シューズを着用しました。
降雨量は、130㎜/hを再現。降り始めは、それほどでもなかったのですが、徐々に雨が強くなり、これって横殴りの雨なのではないかと感じるほどの雨粒がたたきつけてきましたが、寒いと感じることはなく、内側も全く濡れていませんでした。断熱だけでなく、雨からもしっかり守ってくれました。

普段着を災害時にも役に立つようにと誕生した魅力的な「XShelter」シリーズですが、大人気のため買えなかったという声が多く聞かれました。そこで、今シーズンは、社運をかけて昨年の8倍から10倍の生産を行なうとのこと。
もともと「ワークマン」は、作業着を生産していることもあり、種類は多いけれど、1アイテムに対しての生産数が少ないというものづくりをしています。その生産体制は、一般アパレルでもかわらなかったことから、人気商品が品薄になっていたようです。
そこで、45年ぶりに本気を出して、人気アイテムの大量生産に踏み切りました。これで今シーズンは、購入できる人が増えますが、すでに予約終了のアイテムもあるため、気になるアイテムがある場合は、10月中旬の発売に向けて、こまめにチェックするのがよさそうです。
ワークマン
https://workman.jp/