巨大公園「大ティーアガルテン」のためにベルリンに行く価値あり!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2025.10.15

巨大公園「大ティーアガルテン」のためにベルリンに行く価値あり!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】



巨大公園「大ティーアガルテン」のためにベルリンに行く価値あり!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
東京の中心部にもかなり広い公園がありますよね。たとえば新宿御苑が約58ヘクタール、代々木公園が約54ヘクタール。美術館や博物館や動物園があるので緑地スペースは少ないですが上野恩賜公園も約53ヘクタール。東京ドームが約4.7ヘクタールなのでいずれもその10倍以上!

でも人口386万人のドイツの首都ベルリンの中心部には、もっと巨大な都市公園があるんです。

どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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なんと新宿御苑の約4倍の広さです!(ドイツ・ベルリン旅その2)

その名は「大ティーアガルテン」で、総面積は約210ヘクタール。上記の東京の巨大公園たちの約4倍の広さです。

とはいえ上には上がいて、ニューヨークのセントラルパークは約341ヘクタール、ロンドンのハイドパークとケンジントンガーデンズをあわせたものは約253ヘクタール。とはいえ大都市のど真ん中にある公園としては「大ティーアガルテン」も有数の広さです。

完全な長方形ではないですが南北約700メートル、東西約3キロメートルほど。そこに無数の遊歩道が張りめぐらされているのですべてを踏破するのは当然無理です。というわけで動物園などの施設がある西側ではなく東側を歩いてみました。

気温30度C越えの前日と打って変わって天気が悪く、この日は6月の終わりの午後4時で気温が19度、体感気温は16度くらいで寒いです。2日で真夏と晩秋の両方が楽しめました。

…と思ったら日が出てきたら暑くなってきたりします。ヨーロッパの北のほうの都市はみんなそうなのかもしれないですが、服装がむずかしいです。

ウォーキングはベルリン中心部を流れるシュプレー川南岸からスタートしました。

まずは国会議事堂の前を通ります。

なかなか荘厳な建物なのですが…足元がなんの変哲もない土。笑
そして反対側を見ると「まだ開発が始まっていない埋立地」のような雰囲気。

国会議事堂の前でアウトドア感が楽しめるのは妙な感じです。

「大ティーアガルテン」から道を隔てたところに有名なブランデンブルク門があるのでサクッと見るのもおすすめです。

まあこの迫力なので、サクッとのつもりがつい吸い寄せられてしまいますが。
自転車で漕いで観光案内してくれる軽車両がたくさん客待ちをしていました。

いよいよ「大ティーアガルテン」へ

「大ティーアガルテン」は以前紹介した同じドイツにあるシュトゥットガルトの「ヘーエンパーク・キレスベルク」やミュンヘンの「オリンピック公園」と比べてかなりフラットです。

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すうっと続くメインの通りのはずなのに人の数も少ないです。

カップルと家族連れとかが集う「市民の憩いの場」もいいですが、こういう静かな公園を歩くのもなかなかです。

この「大ティーアガルテン」で特にいいなと思った場所が「グローバルストーンプロジェクト」というエリア。

あちこちに大きな石が配置されているのがわかるでしょうか。

世界5大陸の石を集めたプロジェクトだそうです。

私は元気に駆け回ったり、石に乗ったりバドミントンやフリスビーをしたくなったのですが…どう考えても一人じゃつまらないですよね。特にバドミントンやフリスビーは。誰かが見るに見かねて「いっしょにやろう」と救いの手を差し伸べてくれるかもしれませんが。笑

正しい過ごし方はこう。

こういうところで本を広げながらお菓子を食べたりすると、ちょっと地元の人気分を味わえます。
もちろん芝生に座るのもアリ。
誰かとしずかに語り合うのもいいです。

この場合は「恋人」ではなく、まだ「お互い気になる2人組」くらいの段階のほうが雰囲気はありそう。

ここは2人で片方に乗るのも、一人ずつ別々なのも、どちらも雰囲気は出そう。

もし私が映画監督なら両方のシーンを撮っておいて編集時に印象的に挿入するなんて考えてみたり。

ちょっと不思議な石の組み合わせ方だと思ったら…。
裏を見たらいろいろな言語で希望と書かれていました。

「グローバルストーンプロジェクト」から離れて散策を続けているとまた巨大なオブジェに遭遇。

今度は天然石ではなく高さ4メートル近いコンクリート製。
そのオブジェの中を覗き込む若いカップルがいました。

これは「ナチスにより迫害された同性愛者の追悼碑」というもので、私ものぞき込んでみると同性愛を扱った古い映画のようなものが流れていました。ナチスはユダヤ人だけでなく同性愛者も迫害したんですね。

導かれるように「ユダヤ人のための記念碑」へ

そのユダヤ人に関して、「大ティーアガルテン」から大通りを隔てたところに興味深い記念碑があります。

記念碑ってどこ? と言われそうですが…。

これ全部で一つの記念碑のようです。もしかしたら世界一記念碑に見えない記念碑かもしれませんね。

名称は「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」。ご覧のように大きな石碑とか塔のようなものがそびえ立っているわけではありません。高さがまちまちで「石碑」にも、「石棺」や「石櫃」や「墓石」にも見える長方形のコンクリートのオブジェが並べられているだけですが、その数は2710にのぼるのだとか。

向こうまで見えるように規則正しく並んでいますが…。
高さはまちまちで人の背丈を優に超えるものもあります。

ここを墓地散策のような気分で歩き始めたのですが…すぐに妙に悲しくなってきました。2710にのぼる長方形の物体が「無数の名もなき犠牲者たち」を表現しているようで…。高さがまちまちなのは「名のなき人たちだけどそれぞれ一人の人間として個性がある」ということを表しているようで…。

さらにこの「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」の地下にはそのインフォメーションセンターもあります。

コンクリートのオブジェが墓地のように並んでいる地上から地下に入っていくのはまるで黄泉の国に向かうかのような不思議な体験。
展示を見入る人たち。
黄色い点々は収容所やゲットー、悲しい歴史があった場所。

こんなに広範囲にわたっていたとは知らなかったです。この「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」とインフォメーションセンターは、「ベルリンの観光地○選」とかには入っていないことがほとんどですが、私は逆にここだけは訪れたほうがいい、いやここを訪れるためにベルリンに来る価値がある場所だと思います!

「ベルリンの壁」へ早朝ウォーキング

ちなみにベルリンでの「早朝ウォーキング」でオススメなのは東駅に近い「イーストサイドギャラリー」かなと思います。あの「ベルリンの壁」に様々なアーティストが作品を描いたパブリックアートのギャラリーなので、それらを眺めながら歩けます。気になる作品があれば立ち止まるのもいいでしょう。

ここでいちばん有名なのは「兄弟キス」または「独裁者のキス」と呼ばれる作品。

旧ソ連のブレジネフ書記長と旧東ドイツのホーネッカー書記長のキスシーンを描いています。他にも素晴らしい作品が多く個人的に気に入ったのは…。

この悲しみを描いた作品と…。
苦しみや魂の叫びににじみ出るものです。

もちろん昼間に見に来ることもできるんですが…。

有名な作品の前は人だかり。

また路上なので作品全体を眺めている最中に目の前を人々が歩いていくのでゆっくり鑑賞できません。ぜひ朝ウォークで楽しんでください!

今回紹介したウォーキングコース、小高い丘もスリリングな橋もないですが「ベルリンでしか味わえないルート」だと思います

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

ドイツ観光局
https://www.germany.travel/en/campaign/german-local-culture-jp/home.html

ベルリン市観光局
https://www.visitberlin.de/en

虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑(英語のサイト)
https://www.stiftung-denkmal.de/

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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