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まずはハチの生態を知ろう

ハチ対策をするには、まずハチの生態を知ることが重要です。ハチが好む色や香りを知り、効果的な対策を立てる準備をしましょう。
ハチが好む色
アウトドアでは、ハチの好む色の服や小物を身に付けないようにしましょう。ハチは、以下のような色に引き寄せられる傾向があります。
- 黒
- 青
- 紫
- 濃いグレー
- 鮮やかなオレンジ
- ビビッドなピンク
ハチが黒に反応する理由には諸説ありますが、一説によると天敵である熊に対抗するためといわれています。また、ハチは花を識別するために紫外線を感知するとされており、青や紫、花の色に似た鮮やかな色に強く反応するのも特徴です。
ただし、上記の色の服を避ければ絶対安全というわけではないので、別の対策も必要です。
ハチが好む香り
ハチは花の蜜や、コミュニケーションツールであるフェロモンをかぎ分けるため、においには敏感です。具体的には、以下のような香りに寄ってくる習性があります。
- 甘いお菓子や飲み物
- 香水
- 制汗剤
- はちみつ
- フローラル系の柔軟剤
花の蜜に似た甘い香りや、香水や制汗剤などの人工的な強いにおいは、ハチを刺激しかねません。ハチが寄ってくる原因になるため、できるだけ抑える必要があります。
特にバラやジャスミン、ラベンダーはハチを引き寄せやすいといわれます。アウトドアの際は、これらの香りのする香水や柔軟剤を避け、花がある場所には近づかない方がよいでしょう。
ハチを寄せ付けないための対策

ハチに遭遇しないための原則は、ハチが好む色やにおいを避け、そもそもハチがいそうな場所に近寄らないことです。ここでは、キャンプでできるハチ対策を四つ紹介します。
気を付けるべき服装
ハチを寄せ付けないためには、ハチが好む色を避け、白を基調とした服装を心掛けます。熱中症対策も兼ねて、淡い色の帽子をかぶるのもポイントです。日本人の黒い髪も、ハチが近寄ってくる原因になりやすいからです。
ハチの攻撃から身を守るためには、長袖・長ズボンなどを着用して肌の露出も避けます。長袖・長ズボンは、ハチだけでなく他の害虫対策にも有効です。
香水や整髪料など、強いにおいを発するアイテムも付けない方がよいでしょう。服装について気を付ける点は、ハチが好むものを身に付けないことです。
巣に近づかない
ハチは防衛手段として相手を襲う習性があるため、巣を見つけたら近づかないのが基本的な対策です。くれぐれも巣をつついたり、振動を与えたりする行動は避けましょう。
ハチは、無差別に人を攻撃するわけではありません。例えば、スズメバチは危険を感じると、攻撃前に人の周りを飛び回る、顎をカチカチと鳴らすなどの警告や威嚇をします。
このサインを無視して巣に近づいたり振り払ったりすると、かえってハチを刺激してしまいます。刺激しなければ攻撃されずに済む可能性があるため、ハチを見たら慌てず速やかにその場を離れましょう。
食事が終わったら速やかに片付ける
食事が終わったら放置して遊びに行くのではなく、速やかに片付けをしましょう。食べ物のにおいに釣られて、ハチが寄ってくる恐れがあります。
特にバーベキューをすると、砂糖・みりんが入ったソースや、缶ジュースを用意するケースも珍しくありません。これらの甘い香りは、ハチを引き寄せやすいので気を付けましょう。
特に9月ごろは、ハチが子育てのために飢えている傾向にあるので注意が必要です。生ごみは袋を縛り、においが出ないように車の中で保管するのがおすすめです。
水辺や花が少ないキャンプ場を選ぶ
そもそもハチが少ないキャンプ場を選ぶのも有効な対策です。ハチは花が多い場所や水辺に集まるので、そのような場所を避けるのがおすすめです。
種類にもよるものの、スズメバチが特に攻撃的になる7~10月ごろを避けることや、スズメバチの駆除対策をしているキャンプ場を選ぶこともポイントになります。
また、標高が600~700m以上になると、ハチの数も少なくなる傾向があります。避暑もできて一石二鳥なので、山間部のキャンプ場を選ぶのもよいでしょう。
アウトドアでのハチの撃退方法

どれだけ気を付けていても、知らない間にハチのテリトリーに入ってしまうことは十分あり得ます。ここでは、いざハチに遭遇してしまった場合の対処法を紹介します。
静かにその場を離れる
ハチ被害を回避する原則は、無理に戦おうとしないことです。まずは、静かにその場を離れることを考えましょう。手で振り払ったり、走って逃げたりするとハチを刺激してしまい、逆に攻撃される恐れがあります。
ハチは、20m程度追ってくるといわれています。襲われそうになったら身を低くし、少なくとも20m以上の距離を取るよう速やかにその場を立ち去りましょう。
ハチは攻撃のときに、仲間を呼んで応戦することもあるため非常に危険です。もしハチの集団に攻撃されたら、2回以上刺されないように走って逃げるのが優先です。
ハチよけグッズを使う
ハチよけグッズを使って、ハチを寄せ付けない工夫もできます。準備しやすいハチ対策グッズには、スプレーやハッカ油が挙げられます。
スプレーについては、ハチが嫌がるピレスロイド系成分が含まれている製品がおすすめです。ピレスロイド系成分は、害虫への効果が高い一方、哺乳類には毒性が低いため扱いやすいのがメリットです。
ハチに対して特に効果があるピレスロイド系の成分には、『プラレトリン』『トラロメトリン』があるため、スプレー選びの参考にしましょう。
ハッカ油にもハチが嫌がる成分が含まれており、体に塗ったり吹きかけたりすれば対策が可能です。ハッカ油は、天然成分で服へのにおい移りもあまりないため、薬の影響が心配な人でも安心です。
ハチに刺されてしまったときの応急処置

もしハチに刺されてしまったら、急いで病院に行く必要がありますが、キャンプ場では病院へ行くまでに時間がかかる場合もあるでしょう。最後に、病院へ行くまでにできる応急処置と、やってはいけない処置を解説します。
参照サイト:ハチに刺されたら? | いしわ内科皮フ科クリニック | 横浜市都筑区葛が谷 | 都筑ふれあいの丘駅前 | 内科、皮膚科、アレルギー科
参照サイト:川崎市 : ハチに刺されてしまったら
その場でできる応急処置
一般的な応急処置の流れは、次の通りです。
- 安全な場所に移動し、約10~30分以内に毒をポイズンリムーバーで吸い出すか洗い流す
- 患部に塗り薬(抗ヒスタミン・ステロイド配合)を塗る
- 患部を冷やす
まずは、毒の回りを防ぐのが優先です。ポイズンリムーバーで何度か毒を吸い出すか、水で洗い流しましょう。スズメバチは傷口に針を残さないため、針を抜こうとする必要はありません。
毒を吸い出した直後に薬を塗ると、毒を指で広げてしまう可能性があるので、腫れが出てきたタイミングで丁寧に塗るのがポイントです。処置の後は、傷口を冷やすと痛みなどの後遺症が和らぐといわれています。
過去にハチに刺された経験があり、息苦しさなどの異常を感じた場合は、アナフィラキシーショックの疑いがあるため、速やかに救急車を呼ぶ必要があります。
また、一度にたくさんのハチに刺された場合や、呼吸が苦しい、全身のじんましん、嘔吐、腹痛、下痢、めまい、動悸、意識がなくなるなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください(1時間程度あとに症状が出ることもあるので注意)。
やってはいけない処置
以下は昔からの迷信や、その場の判断でやってしまいがちな対処法ですが、逆効果のためやってはいけません。
- 残っている針を指でつまむ
- つばを付ける
- 傷口を吸う
- 尿をかける
指で無理に針を抜こうとすると、逆に傷口に押し込んでしまうかもしれません。また、ハチの毒は水溶性のため、吸い出すと毒が溶けて口から体内に入る可能性があるので危険です。
尿、つまりアンモニア水がハチの毒に効くという説もありますが、近年では効果がないといわれています。適切な治療を受けるためにも、医師の判断を仰ぎましょう。
まとめ

夏のキャンプは、アウトドアにおける楽しみの一つである半面、ハチが盛んに活動する時期と重なります。ハチに刺されないためには、ハチの生態を知り対策をしっかりと行うことが重要です。
ハチは色・においに反応して近づいてくるため、ハチが好む色の服は避け、食べ物は速やかに片付けます。ハチに遭遇しても慌てず、落ち着いてその場から離れましょう。スプレーなどで応戦するのは、最後の手段です。
複数回ハチに刺されると、アナフィラキシーショックによって死に至る危険性もあります。万が一ハチに刺されてしまったら、まずは病院に急ぐことを考え、できる範囲で応急処置をするのが得策です。