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2025.06.18

台湾の都市公園の充実度すごし!台北のど真ん中にある「大安森林公園」で本格バードウォッチング

台湾の都市公園の充実度すごし!台北のど真ん中にある「大安森林公園」で本格バードウォッチング
台湾の経済と政治の中心地である台北市の東側に「大安(だいあん)区」「信義(しんぎ)区」と呼ばれるエリアがあります。通称「東(ひがし)区」とも言われるこの2つの区の所在地は、台北市内の中でも、とりわけ発展が際立っているエリア。かつては世界一の高さを誇った台北101を筆頭に、近代的なオフィスビルや外資系のホテルが林立しています。

そんな「東区」に、「大安森林公園(だいあんしんりんこうえん)」という、面積約26ヘクタールの公園があります。台北市内のど真ん中に位置し、台北市内最大級を誇る都市公園です。

この「大安森林公園」、都市公園でありながら、なかなかの本格派!今回はこの大安森林公園の魅力についてご紹介しましょう。
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もともとは「村」だった

公園入口にある平面図。園内の広さがわかります。

「大安森林公園」ができたのは、1994年のこと。この場所はもともと「眷村(けんそん)」という、1949年以降の国共内戦を経て大陸から移住してきた国民党軍人とその家族のために建設された集住地区でした。1992年に住居の撤去が始まり、1994年3月29日から公園として一般開放されています。

一般開放が始まってから、はや30年。大安森林公園は、台北市内のど真ん中にありながら「都市の肺」と讃えられるほどのゆたかな自然を維持してきました。園内にはさまざまな樹木が植えられ、春にはツツジの名所としても名を馳せる。そんな場所には人以外にも集まってくるものが…。そう、鳥です。

台湾に生息する野鳥は2022年時点で87科686種類と言われています。そのうち台湾の固有種は32種類、台湾固有亜種は52種類で、合計84種類。一方で日本に生息する野鳥は約600種類。つまり、九州ほどの大きさの台湾に、日本全土で見られるよりも多くの野鳥が生息していることになります。

台北随一の大都会エリアにある大安森林公園も例外にあらず。たくさんの野鳥を観察することができます。例えば台湾の「国鳥」とされている「台湾藍鵲(タイワンアオカササギ)」、通称「ヤマムスメ」。

ヤマムスメ。くっきりした青色の体と長い尾が美しい。(写真提供/蔡明汕)

台湾の固有種であるこの鳥は、大安森林公園の至るところで、ごく普通に生息しています。

あまりにもよく見かけるので、その貴重さを忘れてしまうほど。しかし、この鳥を一目見たくてわざわざ台湾まで足を運ぶバードウォッチャーもいるほどの人気の鳥なのです。

実はこの鳥、長い尾の美しい見た目とかわいらしい名前に反して、非常に気性が荒いことでも有名…。台湾の鳥類に詳しい友人は、昼行性猛禽類であるカンムリオオタカがヤマムスメから集団で攻撃されていた現場に出くわし、瀕死のカンムリオオタカを保護したことがあるそう。

ヤマムスメは4月から8月の繁殖期には特に攻撃的になるそうで、人にも容赦なく攻撃してきます。不用意に刺激しないように気をつけましょう。

ちなみにカンムリオオタカもヤマムスメと同じく台湾の固有種。そして同じく大安森林公園で見ることができます。

公園内に生息しているカンムリオオタカ。凛々しいお姿です。(写真提供/張宏銘)

毎年、公園内にある特定の木の上に巣を作っている模様。公園内のカンムリオオタカの子育ての様子は、台湾で猛禽類と人との共存に向けた研究を行っている非営利機関「台湾猛禽研究会」(RRGT)が、カメラを設置して記録しています。

雨の日に自らが傘となってヒナを守るカンムリオオタカの親鳥。(写真提供/台湾猛禽研究会)

ほかにも公園内で出会える鳥たちをご紹介しましょう。こちらはズグロミゾゴイ。台湾在住の日本人の間では「公園によくいる、動じないデカい鳥」と認識されている彼ら。

ズグロミゾゴイ。のっそりとした動きで、人が近づいても動じません。

台湾の固有種ではないものの、日本では主に沖縄の石垣島、西表島、黒島に留鳥として生息しています(徳島県などでも迷鳥として観測されたことがあるそうですが)。固有種ではないにしても、日本で見る機会が少ない鳥であることに変わりはありません。

撮影のために公園を訪れたこの日も出くわしたので(というか、大安森林公園に行くとほぼ100%の確率で遭遇するので)、そーっと近づいて写真を撮ってみたのですが、やはり、動じない。全く動きません。

こちらはバードウォッチャーに人気のカワセミ。

カワセミ。水のきれいな環境を好みます。(写真提供/張宏銘)

「空飛ぶ宝石」とも言われる彼らも、ここ大安森林公園なら高い確率でお目に掛かれます。

そして、台湾の固有種であるタイワンゴシキドリ。

タイワンゴシキドリ。繁殖期に柔らかい枯れ木に穴を開けて巣を作ります。(写真提供/張宏銘)

体の大部分は翠緑色をしていますが、頭部には青、黄、赤、黒の4色が見られるため、「ゴシキドリ」という名前がつけられています。ゴシキドリは世界で様々な種がいますが、このタイワンゴシキドリは台湾の固有種なので、世界中で台湾でしか見ることができません。カワセミと同じく、大安森林公園なら高確率で出会えます。

公園の中央にあるのは本気の「ビオトープ」

公園の中央には「生態池」、つまりビオトープが設けられています。初めて公園を訪れたとき、「生態池(ビオトープ)」という看板を見て、「あ~、都市公園によくあるアレね~。メダカとかいるやつでしょ?」というノリで見に行くと…

「ビオトープ」に近づくと、鳥類の独特のにおいが蔓延していることに気付きます。まるで動物園の巨大バードパークのような…。

思ってたのと違った…。

そして中央の小島では、100羽、いや、200羽はゆうに超えているのでは?というおびただしい数の鳥たちが、思い思いに過ごしています。大安森林公園、実は「ビオトープ」だけで0.7ヘクタールの広さがあるとか。

ゴイサギ、アマサギ、コサギなどの姿が。

夕暮れの時間帯、ゴイサギやアマサギがエサを求めて空を飛び交う。ビオトープ付近には、鳥類の鑑賞場所を兼ねたテラスがあり、この日も近隣住民とおぼしき方々が家族で夕涼みに来ていました。

ビオトープ上空を、さまざまな種類の鳥が飛び交います。
ビオトープ付近には、夕涼みにぴったりなテラス。

さらには、ビオトープ付近には蛍鑑賞エリアもあります。大安森林公園での蛍観測シーズンは4月中旬から5月上旬。ただ、この公園に蛍が戻ってきたのはここ10年ほどのこと。台北市政府と大学と民間団体が協力して、ホタル再生プロジェクトを推進した結果だそうです。

台湾大学昆虫学科の楊平世名誉教授の監督のもとで、有志計3000人が半年かけて公園を整備した結果、数十年ぶりに蛍が戻ってきたのだとか。蛍の鑑賞時には先人たちの苦労と努力に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

公園内の蛍観賞エリア。蛍が見られるのは先人たちの努力の賜物。
蛍鑑賞エリアの内部。この公園内で主にみられるのはキブチボタル。

アクセスの良さも魅力

自然ゆたかな環境にも関わらず台北市内のど真ん中にあるため、台北市内の主要地下鉄路線である淡水信義(たんすいしんぎ)線に直結というアクセスの良さ。駅の名前もそのまま「大安森林公園」。

公園内にはランニングコースも整備されていて、早朝や夕方などの涼しい時間帯は、多くのランナーを見かけます。

整備されたランニングコース。走りやすそう。

台北への旅行や出張時にも自然と触れ合いたい!という人は是非、本気の都市公園「大安森林公園」を訪れてみては。

写真提供/張宏銘、蔡明汕、台湾猛禽研究会

市川美奈子さん

台湾在住ライター

静岡県出身。一児の母。民間企業を経て2013年から行政機関で勤務、2023年4月から台湾に駐在。夫を日本に残し、「ワーママ駐在員」として小学生の息子と共に台湾で暮らしている。旅行好き。離島を含む台湾各地を旅して、その土地の歴史と文化とアウトドアを楽しんでいる。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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