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トレイルランニング

2025.01.05

プロスキーヤー・三浦豪太さん、トレランを通じて人生を学ぶ!?

プロスキーヤー・三浦豪太さん、トレランを通じて人生を学ぶ!?
長年住み慣れた神奈川の逗子を離れ、両親が暮らす札幌に移住した三浦豪太氏。連載第3回はプロのトレイルランナー・タンナカくんとのトレイルランニング挑戦について。

三浦豪太の朝メシ前 第3回 新たなメンバー増員!?

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プロスキーヤー、冒険家 三浦豪太 (みうらごうた)

1969年神奈川県鎌倉市生まれ。祖父に三浦敬三、父に三浦雄一郎を持つ。父とともに最年少(11歳)でキリマンジャロを登頂。さまざまな海外遠征に同行し現在も続く。モーグルスキー選手として活躍し長野五輪13位、ワールドカップ5位入賞など日本モーグル界を牽引。医学博士の顔も持つ。

「トレイルランは人生と同じ」と、岐路でタンナカ君がのたまった……

プロのトレイルランナー、反中祐介(以下タンナカ君)と知り合った僕は後日、一緒に藻岩(もいわ)山でトレイルランニングをすることにした。藻岩山は札幌市民にとって馴染み深い山で、街に近く、バスや市電からのアクセスが良い。山頂からは札幌市全体を見渡せるほど眺望が良く、北海道三大夜景のひとつにも数えられている。

タンナカ君もさすがプロのトレイルランナーだけあって、札幌周辺の山道をよく知っている。僕は実家がこの近くだったので藻岩山周辺は詳しいつもりだったが、タンナカ君が紹介してくれた、「札幌もいわ山ロープウェイ山麓駅」の乗り場の脇から「平和記念塔」を目指すトレイル(山道)ははじめてのコースだった。

僕が山を登る理由は、登山、あるいはスキーをするためであった。もちろん、その過程で走ることもあるけれど、本格的なトレイルランニングはあまり経験がない。

トレイルランニング──略してトレランは1970年代アメリカで始まったとされ、僕が知ったのは1980年代のスキー留学中のころだった。日本でも古くは富士登山競走、さらに東京の山岳地帯を走るハセツネカップなど山岳レースがある。こうしたなか、ランニングと登山ブームが合わさり、山々を自在に走るトレランが人気を博してきたのは必然ともいえる。

トレランの最大の特徴は、おそらく〝山の中を走る距離〟であろう。なかでもウルトラ・トレイルマラソンは160キロもの距離を走り、その競技時間は速い人で20時間〜30時間で、制限時間は48時間というから、聞くだけで疲れる競技である。

タンナカ君のトレラン指導

タンナカ君から「山を走るときはなるべく接地時間を短く、ちょんちょんと跳ねるように。そして、ひとつひとつのステップは短くして登ってください」と教えてもらう。プロのトレイルランナーからトレランの走り方について聞くのははじめてだった。

トレランは山道を走る競技だ。走ることと歩くこととの大きな違いは、両足が地面から離れるか離れないかの違いにある。なるほど、確かにこれはランニングだ。

登山では急斜面を登るとき、斜面に対して前足側に体重をしっかり乗せて、後ろ足はほぼ蹴らないように登る。こうすることで、後ろ足が滑るリスクやロス、また落石を起こすリスクも少なくなる。ペース配分はあくまでもゆっくりと動くことで調整する。

一方、トレランは急斜面を登るとき、ちょんちょんと跳ねるように登り、そしてそのときのペース配分は主にストライド(歩幅)で調整する。つまり、平地を走るときは一歩の幅は広いが、急斜面では一歩の幅を細かくして登るスピードを調整、しかしリズムを一定に保つことによって、心肺負荷を常に一定に保つようにする。これは面白い違いだなと思った。

タンナカ君の指導に感心していると、彼がおもむろに

「豪太さん、トレイルランは人生と同じっす」

と言い出す。なんの禅問答かと思いきょとんとしていると、

「ここに分岐があります。ひとつの道は長いけど緩い斜面、もうひとつは急斜面だけど道は短い、どっちを選びましょうか?」

ああ。ジグザクの山道をショートカットして直登する道を選ぶか、そのままジグザクに登るのか、ということを訊いてきたのだった。その大袈裟な物言いに吹き出しそうになりながら、「じゃあ直登しよう」と答えると

「さすがっすね、太く短く生きるタイプっすね」という。

トレラン指導が細かい割にはアバウトな人生観を持つタンナカ君であった。

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タンナカ君との"はじめて"のトレラン。険しく短いルートを選ぶか、緩い斜面で長いルートを選ぶか。「そりゃあ、直登一択でしょ」と豪太さん。

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雪山に限らず、登山とトレランとでは、足の運びも、ペース配分、リズムもまったく違う。

新たなメンバー参入

数日後、タンナカ君から、「豪太さんに紹介したい人がいるっす」と電話が入り、札幌の大通りにある『大衆酒場 俺流』で待ち合わせをすることに。

そこには某スポーツショップで働く、自称〝プレオニア〟というS氏がいた。プレオニアとは、プレイヤー+パイオニアの造語で〝プレイしながら新しいフィールドを開拓する〟という意味だという。S氏はまったくそのとおりの人物で、サーファーでありながらスケートボーダーであり、スノーボーダー、スキーヤー、そしてランナーとして、リアルタイムであれこれ掛け持ちしながら仕事にもしている。

S氏本人の希望で某ショップとしかいえないが、全国展開のメジャーなスポーツ店の、北海道から東北のマネージャーであり、業界ではかなりの地位の人物である。穏やかな笑顔のウラには……かなり圧のある目力を感じた。

この日、初対面での、われわれの議題は「A to Z」について。「A to Z」とは、ふたりによると、「一大、人力エンタテインメントスペクタクル!」だという。なんでも、北海道には寒冷地ながらいくつかのいいサーフポイントがあるらしい。

そのひとつが太平洋側の厚真(あつま)町、もうひとつが日本海側の銭函(ぜにばこ)。すなわち、「A to Z」のAは厚真、Zは小樽市の銭函である。

厚真と銭函、距離にして約100キロを24時間以内に、サーフとランでつなげる計画を練っているのだ。

「やっぱり波がいい日を選びたいよね」とS氏がいえば、

「では、厚真で波が入る日を選びましょう」とタンナカ君が答える。

「いや、厚真に波が入っても銭函がいいとは限らないんだよね」とS氏。

「うーん、決行する日を選ぶのが難しいよね」とタンナカ君がボヤき……。

(次号に続く)

(BE-PAL 2025年1月号より)

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