今回は、関東でトレイルランニングをする人なら一度は行ってみたい外輪山のトレイル、約50kmを周回する箱根ガイリーンに挑戦。
その難易度と達成感についてご紹介します。
- Text
箱根は関東のトレランスポット

箱根は標高1,000m前後の山が連なる、ハイカーに人気の山域です。
観光地としても知られる芦ノ湖や大涌谷を囲む外輪山が有名で、金太郎伝説の金時山・明神ヶ岳・三国山など、それぞれに個性がある山頂が魅力です。
多くは登山道が整備され、マイカーや路線バスなどのアクセスも良好で、どの山も日帰りで楽しめます。
トレランスポットとしても人気があり、金時山周辺や一部のポイントでスピードが乗りづらい場所があるものの、凹凸が少なく見事な眺望を楽しみながら走れるコースが続きます。
トレランのために出来たのかと思うトレイルは、関東に来たら一度は訪れてほしいおすすめエリアです。
箱根ガイリーンとは
箱根外輪山をぐるりと一周するコースのことは、箱根ガイリーンと呼ばれています。
金時山・明神ヶ岳・丸岳・三国山・屏風山などの山頂を通過し、箱根エリアの魅力である、自然が作り出した造形美に、人との永い歴史を体感できるなどが凝縮されたコースです。
歩行をメインとした登山であれば1泊程度を要しますが、トレイルランニングであれば日帰りが可能です。
主たるスタート地点は箱根の玄関口である箱根湯本駅ですが、通過ポイントやスタート地点に明確な定めはなく、様々な記録がオンラインなどで共有されています。
箱根ガイリーンの難易度
距離と所要時間

箱根ガイリーンを走り切るために最も知っておきたいのは、その距離と所要時間です。
若干の前後はありますが、距離は概ね50kmで、所要時間は8時間台から12時間程度と幅があります。
筆者の肌感ですが、8時間台を狙うとなると、日頃から練習を積んでいたり、長距離コースの踏破などのキャリアが求められます。
電車で箱根湯本駅にアクセスすると、朝早い時間で6時40分から7時前後にスタートします。
そこから12時間以内を目標にすれば、終盤でヘッドライトを使用することになりますが、電車の本数があるうちに下山することが可能です。
標高差
距離と所要時間と合わせて気になるのが標高差です。
概ね3,000mの標高差が待ち受けており、「またか…」と細かなアップダウンが続いたかと思えば、金時山や屏風山では、意表を突くようなキツイ勾配がランナーを苦しめます。
基本的なことではありますが、初めて走る際はコースレイアウトを入念に入れておいて、ペース配分を意識して走ることが大切です。
コースのポイント
序盤はペースは上げやすく、中盤はペースを意識しながらアップダウンを攻略し、終盤は下り基調でラストスパートをかけていくのが筆者のイメージです。
コース上には休憩ポイントがあり、トイレ休憩や脚を休めるなら序盤の金時山・芦ノ湖スカイラインレストハウスレイクビューでは軽食や水分補給でしっかりめの休憩、芦ノ湖付近まで降りれば道の駅などもあります。
この休憩ポイントを念頭に入れながら、行動食や飲料の消費を計算、パフォーマンス低下を最小限に抑えて走ることができます。
箱根ガイリーンに挑戦
序盤:箱根湯本駅から金時山

箱根湯本駅に到着、いよいよ箱根ガイリーンのスタートです。

金時山のひとつ前、明神ヶ岳までは急勾配は少なくペースを上げやすい区間です。

朝早いこともあり陽光が気持ちよく「走るぞぉ」とテンションも上がります。

明星ヶ岳を過ぎ、明神ヶ岳に登頂したら呼吸を整えます。

ここから見晴らしが最高のトレイルです。
最高の景色の中で走れる喜びを噛み締めながら、金時山へ。

金時山を目前に捉えると、これまでのハイスピード区間から一変、屹立とした岩峰である金時山の急勾配。この急勾配を終えると、ハイカーの人達で賑わう金時山山頂です。
中盤:金時山から芦ノ湖
金時山を後にしたら、乙女峠・丸岳・三国山などを経て芦ノ湖へ向かいます。

随所で見れる芦ノ湖や大涌谷・駿河湾など、箱根ならではの景色が脚の疲れを忘れさせてくれます。

急勾配こそありませんが細かなアップダウンが続くため、一喜一憂することなく冷静にペースを維持していきます。

レストハウスにたどり着くと「ここまで来たぞ」と安心感がドッと押し寄せます。
レストハウスでしっかり休憩を取ったら、ペースを少し上げて芦ノ湖まで降ります。
芦ノ湖から箱根湯本駅
大詰めとなる芦ノ湖から箱根湯本駅までの終盤区間に入ります。

実は筆者、初めて箱根ガイリーンに挑戦した時は関所付近にあるバス停で誘惑に負け、リタイアしたという過去があります。
箱根ガイリーンは幾つかエスケープできるポイントがあり、終盤でリタイアする場合は芦ノ湖がおすすめです。

芦ノ湖を過ぎると、箱根ガイリーンで最も急勾配な登りが待ち受ける屏風山に突入。「終盤でこれか」と脚が拒否したくなるキツイ登りですが、ここを登りきればその後の難所はほとんどありません。
屏風山を過ぎると一旦舗装路に出て、甘酒茶屋に出ます。ここで畑宿方面に走り箱根湯本駅に至るか、浅間山方面に向かい箱根湯本駅に下るかを選択できます。
今回は畑宿方面を選択し、ラストスパートです。

屏風山あたりからヘッドライトを点けてひたすら走り続け、寒さと孤独がピークに達したこともあってか、畑宿を過ぎると温泉宿の光と、温泉の匂いが汗まみれの身体と疲労感に精神的ダメージを与えてきます。

最後の力を振り絞って下ると、小田急線の線路と箱根湯本駅の明かりが見え「戻ってきた!」と、安堵や達成感など、たくさんの感情が溢れ出てきました。

朝と同じ場所で写真を撮り、無事に箱根ガイリーンを走り切りました。
箱根ガイリーンで大きな達成感を

いかがでしたか。
箱根ガイリーンは関東近郊のトレイルランニングコースの中でも、十分な準備と練習を経て臨む、非常に走りごたえのあるコースです。
完走には概ね1日を要しますが、自分を追い込み、全てを出し切ってゴールする達成感はなかなか味わえない貴重な体験です。
トレイルランニングの魅力と、観光だけでは見えない箱根の奥深さを体感できる箱根ガイリーン。ぜひ挑戦してみてください。







