熊と猟師の死闘を描いた直木賞作家・河﨑秋子さんに「焚き火の前で読みたい本」を聞いてみた | 本 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

2024.12.17

熊と猟師の死闘を描いた直木賞作家・河﨑秋子さんに「焚き火の前で読みたい本」を聞いてみた

熊と猟師の死闘を描いた直木賞作家・河﨑秋子さんに「焚き火の前で読みたい本」を聞いてみた
熊と猟師の死闘を描いた新たな熊文学、『ともぐい』。主人公の感情を焚き火で表現し、生死の境を彷徨いながら“消えんな、消えんな”と火をつける描写があまりに仔細でリアルな一冊。つい主人公と作者を重ねてしまい、さぞかし熊のように豪腕で、焚き火名人なんだろうな、という思いを抱きつつ、北海道にて河﨑秋子さんにインタビューを敢行した。

直木賞作家 河﨑秋子

北海道別海町生まれ。道内の大学を卒業後、ニュージーランドへ留学。羊の飼育を学び、酪農を営む実家で働きながら執筆活動をはじめる。デビュー作『颶風の王』で三浦綾子文学賞を受賞するなど、受賞歴多数。七輪で肉を焼きつつソロキャンを楽しむのが趣味。

自称〝ホムセン好きな酪農家キャンパー〟は子牛のツノ焼きが焚き火のはじまり

「こんにちはぁ。遠路遥々ありがとうございます」
ニコニコと頭を下げる河﨑秋子さんに、腰が砕ける。こちらの気持ちを察したのか、

「まさか、熊とって食べたりしてませんよっ」と笑う。

――毎日焚き火なんて……

「していませんでした!」
なんと、ソロキャンプをはじめたのも昨年からだと話す。

――どうしてあの描写が?

「実家が酪農家で、雌の子牛が生まれると、ツノ焼きといってツノの生えてくる箇所を焼きゴテで焼くんです。そのときは必ずみんなで焼き肉を食べます。せっかく火をおこすなら何か焼かないともったいないって。だから焚き火のようなことは子供のころからしていたというか」
そのせいか、火をおこす=肉を焼く、と刷り込まれている。

「ソロキャンの楽しみは“食”。家の中で火はおこせないので」

――何を焼くんですか?

「肉を焼きます。羊肉の塊。なければステーキ肉。本を読みながら、じっくり焼きます。時間の潰し方としていいでしょ~」

――子供のころから読書家だったと伺いましたが。

「3人兄妹の末っ子で歳の離れた兄と姉がいたので、ファミコンもTVの主導権も奪えない。しょうがないから本を読む。黙って読んでいれば怒られない」
図書室で本を借りて、家に着くのが待ちきれずスクールバスの中で読み、気分が悪くなって寝る。それが日常だったとか。こども名作全集、シートン動物記などを次々と読破した。

――キャンプではどんな本を?

「キャンプはWi-Fiのつながっていないところに行って、強制的に仕事できないようにします。仕事を思い出さずに読書に没頭できますから。本も仕事と接続しない、なるべく距離の遠いものを選びます。外国文学やSFがいいですね。あ、農家の常でホムセンも大好きで、半日は潰せます。愛用のテントもDCMで勢いで買いました!」

河﨑秋子さんが焚き火の前で読みたい本は?

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㊨ 百年の孤独

作者:G. ガルシア=マルケス(著)、鼓 直 (訳) 
出版社:新潮社

㊧ エウロペアナ 
二〇世紀史概説

作者:パトリク・オウジェドニーク(著)、阿部賢一、篠原琢 (訳) 
出版社:白水社

 

第170回 直木賞受賞作品はこちら

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ともぐい

出版社:新潮社

 

\河﨑さんの最新刊/

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私の最後の羊が死んだ

出版社:小学館

※構成/大石裕美 撮影/二木亜矢子 協力/かなやま湖畔キャンプ場 TEL:0167(52)3132(キャンプ場管理棟)

(BE-PAL 2024年12月号より)

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