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BOOK 01
みんな43歳で逝った……ジンクスではない本当の理由
『43歳頂点論』
角幡唯介著
新潮社
¥1,034

誰しもが若々しくありたいと願いつつも、加齢は容赦なくやってくる。変化というよりは衰退、体力の低下などだ。しかし、精神面は逆で経験を重ねたことで若いころにはない余裕が生まれていく。本書は〈人間の総合的な力は四十三歳で頂点をむかえる〉と考える著者の年齢論。著者はちょうど50歳になる(執筆時は48〜49歳)。大学探検部時代から様々な野外経験を積み、現在も継続的に活動を続けている探検家だ。そんな著者が自らの経験や内面の変化、さらに夭折した冒険家や作家たちの心模様を探りながら持論を展開する。
実践者である著者の考察は深く、万人が漠然と感じていた加齢の実態が言語化された。著者と同世代であるならば一層心に染みるだろう。なぜ43歳で逝ってしまう人が多かったのか……そこにひとつの答えが出された気がした。そして、〈人生の下り坂〉って、あながち悪くはないかもしれないなぁ、そんなふうにも思えた。
BOOK 02
シカじゃなくウシ科! カモシカの知られざる姿
『カモシカと進化をめぐる冒険 山の上の生存戦略』
髙田隼人著
文一総合出版
¥2,200

山でカモシカに出会えると、少しうれしい気持ちになる。ニホンカモシカは本州、四国、九州に分布する日本固有の哺乳類動物だ。「シカ」とは名が付くもののじつはウシ科で、ヤギやヒツジに近縁のヤギ亜科というグループに属している。そのグループの中でも特に原始性を持つ姿なのだとか。本書はカモシカの研究者である著者のフィールドワークの実態やカモシカの生態、そして、研究者になるまでの半生を振り返るもの。著者が世界で初めて明らかにした事実(すでに論文発表されている)をはじめ、実地で自分の目で見ることの大切さを教えてくれる。
著者は行動観察という根気と体力が要る調査方法を信条とする。群れを作らず生きるカモシカの姿。調査で観察している著者を警戒して2時間以上も微動だにしないところ(著者が寒さに耐えきれず退散している)など、カモシカってかっこいいな! と、その生き様にすっかり魅了された。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2026年2月号より)







