そこで、今回はスポーツカーでも楽しめるキャンプスタイルをご紹介します。
スポーツカーでキャンプという選択肢
スポーツカーは、物の運搬や移動手段といった実用性よりも、運転を楽しむことを主眼に設計されたクルマです。決まった形状や排気量などの定めはないものの、アクセルペダルを踏み込んだ際の加速や鋭敏な操縦性能が特徴です。
デザインも含めてスポーツカーの魅力は尽きませんが、車体が低いことによる乗り降りのしにくさ、底部から地面までの距離が短いこと、荷室が狭いといった特徴が、アウトドアでの実用性を損なう理由となっています。
路面のコンディションが悪い場所を走る場合は、SUVをはじめとしたタフなクルマが安心ですが、スポーツカーでもアクセスできるキャンプ場やフィールドはたくさんあります。フィールドに向かうまでのドライブも楽しめるのは、スポーツカーの醍醐味です。
荷物の軽量・コンパクト化が積載を可能に
ひと昔前のアウトドアギアといえば重く嵩張るものが多く、コンパクトカーや積載スペースが限られたクルマでキャンプに行く場合は、現地でレンタル用品を手配したり自前の道具を最小限に抑えるといた工夫が必要でした。しかし、近年は軽くコンパクトでも使いやすい道具が増えています。
それらを使うことで、スポーツカーでもキャンプを楽しむことは難しくなくなっています。
スポーツカーでデイキャンプに行ってみた
【トヨタ】86(ハチロク):GTグレード
今回デイキャンプに使用した車は、トヨタが2012年から2021年まで生産していたスポーツカー、86です(現在は後継モデルのGR86が発売中)。初代86は2L・200馬力を発揮するエンジンを搭載し、カスタマイズの幅が広くコスパの高さで人気です。
室内には後部座席があり、収納も後部座席の背もたれを前に倒せばタイヤ4本が積めるほどのスペースを確保できます。
今回は自宅から30分ほどの川でデイキャンプ。ただ、荷物は参考になるよう、テントや寝袋も積んでみました。上の写真は私と妻、7歳と1歳半の子供が1泊を想定した荷物を積み込んだところ。現地で荷物を運ぶためのキャリーワゴンも積んでいます。
キャンプでは川で遊んだり食事を楽しんだりと、とても充実。撤収する際は、来たときと同じ手順で苦労なく積み込めました。帰宅後は荷物を降ろして車内を清掃しましたが、大きいクルマではないので、すみやかに片付けやメンテナンスを終えることができました。
注意するポイント
未舗装路は極力避ける
今回行った川には十分な駐車スペースがありました。ただ、柔らかい砂地や凹凸がない場所をよく選びました。最低地上高(車体底部から地面までの距離)が低いスポーツカーでは、一度道から外れると抜け出すのはとても難しいからです。
また、実際この日は軽自動車が駐車スペースより先の砂地から抜け出せなくなっており、私も協力して脱出した、という場面がありました。
草地など不明瞭な道は避ける
SUVなどのオフロード走破性が高いクルマと違い、スポーツカーは路面のちょっとしたギャップが車体の損傷につながる可能性もあります。オートキャンプ場でも、草地などで路面の起伏がわかりにくい場所は避けたほうが安心です。
座席空間に荷物は置かない
これは以前から私が徹底していることなのですが、荷物はすべて荷室に収めています。スポーツカーに限らず、荷室に入り切らない荷物を後部座席に置くことは珍しくありません。
しかし、後部座席に人が乗っている場合、これをスポーツカーで行なってしまうと、ただでさえ狭いスペースをさらに圧迫してしまいます。同乗者にも快適な時間を楽しんでもらうために、荷物はすべて荷室に収納するよう努めましょう。
車中泊には向かない
当然ですが、走行性能に特化し、それ以外の機能が抑えられたスポーツカーでは車中泊は難しいです。かろうじて横になることはできても快適な車内泊とは程遠いので、スポーツカーで泊まりの旅に行く場合はあくまで移動だけを楽しみ、車外で野営するにかぎります。
スポーツカーでもキャンプを楽しめる!
今回はアウトドアとは一見して相反するスポーツカーでキャンプを楽しめるかについて紹介しました。考え方は人それぞれですが、現地までのドライブ、洗練されたデザインの愛車を眺めながらのオートキャンプなど、スポーツカーでしか味わえない楽しみはたくさんあります。走りを満喫してアウトドアも楽しむ、という贅沢な時間、いかがですか?