アゲハチョウを見つけるならトゲのある「カラタチ」の木をチェック!花の写真もあり | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.04.18

    アゲハチョウを見つけるならトゲのある「カラタチ」の木をチェック!花の写真もあり

    ナチュラリストのおくやまひさし氏が、植物の生態を美しいイラストと写真で紹介。今回はアゲハチョウの幼虫が葉を食べることで知られるカラタチについて。

    カラタチの若葉には、アゲハチョウが卵を産みつける

    学名:Citrus trifoliata
    ミカン科の落葉低木。名は唐橘(からたちばな)の略。高さ2〜3m。緑色の枝は扁平で大きなトゲがある。4〜5月ころ、葉の展開に先だって径3〜4㎝の白い花を付ける。果実は球形で10〜11月に黄色に熟すが酸味・苦味が強くて食べられない。

    イラスト

    カラタチはミカン科の落葉低木で、中国が原産の木だ。鋭いトゲのあるカラタチは、忍び返しも兼ねて生け垣に利用するが、剪定しないと4~6mほどに伸びる。
     
    白い花は、4~5月ころ、葉よりも先に芽吹いて咲く。雄花と雌花があり、雌花には初めからふくらんだ子房がある。
     
    大正14年(1925年)に発表された北原白秋作詞の童謡「からたちの花」の5番に

    《からたちのそばで泣いたよ みんなみんなやさしかったよ》という歌詞があるが、なんだか白秋のやさしさが感じられる、すてきな歌詞だ。

    カラタチの花の形は?実は食べられる?

    カラタチの実は3㎝ほどで、黄色に熟れるが、残念なことに酸味・苦味が強く、苦くて食べられない。だが、未成熟果(枳実)や成熟果(枳穀)は輪切りにして天日乾燥させ、食べすぎによる腹痛や便秘、お腹の張りなどの薬にされる。また、カラタチの木は柑橘類の台木に利用される。
     
    私が通う歯医者さんのとなりの畑にはカラタチの生け垣があり、私にとっては大切なアゲハチョウ観察の場所だったのだが、いつのまにか宅地に変わって消えてしまった。カラタチはサンショウなどと同じように、アゲハチョウやクロアゲハなどの大切な食樹なのだから、子どもたちの自然学習のためにもぜひ残しておいてほしいのだが。
     
    春から秋までたくさんのアゲハを育てたカラタチも、冬にはすっかり葉を落としてトゲだらけの枝だけが残る。よく見ると、「いたいた!」越冬するアゲハチョウの蛹がいる。昆虫が身を守るために擬態することはよく知られているが、枝に張り付いた蛹は、トゲに擬態したのだろうか?

    雄花

    白い5弁の雄花。

    雌花

    雌花には丸くふくらんだ子房がある。

    実

    白秋が《金のたま》と詠った秋の果実。

    アゲハチョウ

    アゲハチョウの春の羽化。

    おくやまひさし プロフィール

    画家・写真家・ナチュラリスト。 
    1937年、秋田県横手市生まれ。自然や植物に親しむ幼少期を過ごす。写真技術を独学で学んだのち、日本各地で撮影や自然の観察を開始。以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、書籍を数多く出版。

    イラスト・写真・文 おくやまひさし

    (BE-PAL 2024年5月号より)

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