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缶の固形燃料!すぐに使えるニチネン「トップ丸缶」
ニチネン
屋外用トップ丸缶
ニチネンは1984年からコンロや燃料を販売するメーカー。缶タイプ固形燃料である屋外用トップ丸缶は、これひとつで調理にすぐ使えるのがなんといっても魅力。大きな鍋には向かないが、デイキャンプでは大活躍するサイズだ。
●主成分:メタノール
●内容量:250g
●燃焼時間:約150分
毎月の夫婦キャンプが楽しみな転勤妻。かっこよくてお得なものが大好きで、頑張りすぎないキャンプがモットー!コスパ重視のキャンプギアレビューなど多数のアウトドア関連の記事を執筆。現在は南の島でフリーライターとして活動中。
火を点けたら放置でご飯が美味しく炊ける“放ったらかし炊飯”でも使える固形燃料は、だれでも簡単に着火できる便利なアイテム。固形燃料といえば鍋などにも使われる水色の500円玉サイズのイメージが強いが、缶タイプのものがある。
それがこのニチネンの缶タイプ固形燃料「屋外用トップ丸缶」だ。
ニチネンの固形燃料「屋外用トップ丸缶」の特徴
ゴトク付きで簡単に着火できる
屋外用トップ丸缶はゴトク付きの固形燃料でライターなどで着火でき、特別な技術も不要。キャンプ場についてすぐお湯を沸かしたいときやご飯を炊くときにも便利だ。
ホームセンターでも入手しやすく、お値段ものでコスパがいいアイテムといえる。ちなみに筆者はホームセンターで600円程度で購入した。
繰り返し使える
屋外用トップ丸缶は固形燃料がなくなるまで繰り返し使うことができる。
火を点けるためのライターなどを用意する必要はあるが、その他の道具を用意することなく使えるため、キャンプはもちろん災害時の備えとしても便利なアイテムだ。
サイズは2種類
屋外用トップ丸缶には2種類のサイズがある。今回使っているのは250gのもので、その燃焼時間は最大で約150分。大きいサイズは600gで、燃焼時間は最大約110分。容量が多いほうが燃焼時間が短いのには疑問が湧くかもしれないが、2つの違いは時間ではなく火力だ。600gのほうが火力が強く、燃焼時間は短くなっている。
筆者のようにカップ麺のお湯を沸かす程度の火力であれば、250gで十分。屋外でちょっとした小料理を作りたいときなどに強い火力をお求めの場合は600g、などと用途に合わせて選んでみよう。
「屋外用トップ丸缶」でお湯を沸かしてみた
野外用トップ丸缶は、準備不要ですぐに着火できるアイテム。まずはニチネントップの便利さがわかる使い方から紹介しよう。今回はキャンプのカップ麺用にお湯を沸かしてみた。
1.防風ゴトクを直角に立ち上げる
一番上の風防ゴトクを指で押し上げて、直角に立ち上げ。ゴトク部分は固いわけではなく、指一本ですんなり持ち上げられる。
2.蓋を開けてライターやマッチなどで着火する
蓋を開けて、固形燃料部分にライターやマッチなどで着火する。
火力を弱くしたい場合は、中蓋をセットすると調節可能。強風でない限りはゴトク部分が風防代わりにもなるため、火が消えることはない。
気になる火力は、中火くらいで、300mlのお湯を沸かして火にかけてからは8分で沸騰した。ちなみに、250gの屋外用トップ丸缶で0.5合のお米が20~25分で炊きあがる(パッケージ表記より)。
3.蓋を逆にかぶせて消火
消火の際は、蓋を逆にしてかぶせると火が消える。火が消えたら通常どおり蓋でしっかり密閉して後片付け完了。火が消えたあとはしばらくは缶が熱くなっているため、やけどには要注意。当然だが、火を点けたまま持ち運ぶのも危険だ。
「屋外用トップ丸缶」を使うときの注意点
一方で、ニチネン「トップ」を使ってみてわかった注意点も紹介しよう。
ゴトクを安定させるならバーナーパッドを推奨
ゴトクはそのままクッカーを乗せることができたが、テーブルが揺れると落ちそうな感じがする。安定感を求める場合はバーナーパッドの上に鍋を乗せたほうがいいかもしれない。
火を吹き消さない
消火するときについ吹き消したくなるが、完全に鎮火しない可能性もある。消火するときはパッケージに表記してあるように、必ず蓋を逆にかぶせて火を消そう。
固形燃料が熱いうちは蓋が完全に閉まらず少し浮いてしまうため、消火の際は逆にして裏返すとしっかり鎮火できる。
耐熱グローブは必須
使用するときは必ず耐熱グローブを着用しよう。消火の際も素手ではやけどをする危険性があるため、耐熱グローブやプライヤーを使用すると安全。
2回目以降の使用は表面を削ってから
一度使用すると表面が固まってしまう。2回目以降に使うときは表面をナイフなどで削ってから着火しよう。筆者も表面を削ってみたが、マカロンのような柔らかさで簡単に取り除けた。
保管方法
屋外用トップ丸缶を保管するときは、必ず蓋をしっかり閉めて密閉しよう。蓋が少しでも空いていると燃料が蒸発する可能性がある。
置き場所は直射日光を避けた冷暗所での保管が推奨されているため、ガス缶同様、車内に放置しないように。使用期限は明記されていないが、保管状態が悪かったり前回の使用から長い期間が経過していると使えなくなることがあるようだ。
繰り返し使えるとはいえ、開封後は早めに使い切ったほうが良さそうだ。
▼参考記事
缶の固形燃料!すぐに使えるニチネンの「トップ丸缶」がレトロでエモすぎる
超軽量なエスビット「固形燃料」
Esbit(エスビット)
固形燃料
ドイツのアウトドア製品会社であるエスビット社の固形燃料で、角型の形状が特徴。マッチやライターで火をつければ発火し、専用の五徳の上で火を点け、その上にクッカーを置いて使用する。火力や燃焼時間が限られるため、お湯を沸かしたりスープを温めたりする程度の簡単な調理に適した燃料だ。
エスビット「固形燃料」の特徴
行く先のあてもないバックパッキング、ソロキャンプ、登山が大好物です。とはいえフラフラは出来ず、最近は子供とのキャンプと自宅に並べたギアを眺めての想像の旅に夢中です。千葉の最南端在住。田舎暮らし満喫中。
1.燃料の調節ができる
固形燃料は、一度火をつけると消すのが難しい燃料。ガス缶を使用する火器のように、簡単に点けたり消したりはできない。
その点、エスビットは手で割ることで、好きなサイズにして使用ができる。これは、100円ショップなどで販売されている固形燃料にはあまりないメリットだ。
調理途中にエスビットが燃え尽きそうな場合、適切な大きさに割ったエスビットを追加すれば、燃焼時間を引き延ばせる。また、一度に数個のエスビットを使用すれば、火力を強火にすることも可能。
2.引火点が高く安全な燃料
エスビットは引火点が高い(=引火しにくい)ため、安全な燃料だ。アルコールストーブの燃料となるアルコール(エタノール)の引火点が約12~13℃なのに対し、エスビットは約400℃。つまり、エスビットはライターの炎などを直接当てない限り、発火することはまずないということ。
エスビット以外の固形燃料では、主な材料にアルコールが使われていることがある。その点においても、エスビットは他の固形燃料よりも安全であると言えるだろう。
OD缶に入ったガスのように容器の破損に気を使う必要もなく、一般的な固形燃料よりも安全にアウトドアに持ち出せるのがエスビットの特徴だ。
エスビット「固形燃料」の使い方
一例として、筆者のクッキングセットを紹介し、エスビットを使った組み方のコツをお伝えしよう。
燃料
今回用意した燃料は、エスビットの「固形燃料ミリタリー」。
エスビットの固形燃料にはいくつか種類あり、燃焼時間が異なる。「ミリタリー」という種類は1個で12分ほど燃えるため、1食分のお湯を沸かすのには十分な量だ。そのため、筆者は基本「ミリタリー」を1つ持って行っていく。
五徳
クッカーを乗せる五徳はエスビットの「チタニュームストーブ」。チタン製のため、同社の「ポケットストーブ」よりも軽量。したがって、究極の軽量化を目指したい人には特におすすめだ。
折りたためばコンパクトになり、開くとクッカーを乗せる五徳になる。
風防
エスビットの固形燃料には、風防の併用が欠かせない。筆者が使用しているのは、チタン製の軽量な薄いホイルからできている風防。円形にした後、クリップで端を止め、ストーブとクッカーの周りに巻いて風を防ぐ。
クッカー
クッカーは、500mlほどの容量のものを筆者はおすすめしている。というのも、フリーズドライの味噌汁(製品によるが必要湯量160ml)とアルファ米(必要湯量160ml)、食後のインスタントコーヒー(必要湯量140mlほど)に必要なお湯が一度に沸かせるからだ。
その他
その他に必要なものは、点火用のライターと食事用のスポーク。スポークは折りたたみ式ならば、クッカーの内側に収納できる。
また、筆者はシリコン製の持ち手を愛用。シリコン製の持ち手を使えば、高温になったクッカーを持ち上げられる。熱を通さない厚手の布や、革の切れ端などでも代用可能。
実際にクッカーセットを使用してみた
今回調理するのは、アルファ米とフリーズドライのスープ。以下が調理の手順だ。
【1】水平な場所に五徳を設置し、エスビットのミリタリーを1個置く。
【2】風防を設置し、エスビットにライターで火を点ける。その後クッカーに必要量の水を入れて五徳の上に乗せ、沸騰するのを待つ。
【3】あらかじめ「スクリューロック」の中にアルファ米を入れておき、お湯を注いだら蓋を閉めて、できあがるまで10分ほど放置。
【4】残ったお湯の中にフリーズドライの味噌汁を入れて溶かす。
保管方法
包装から一度取り出したエスビットは、ジップロック等に入れ、湿気を避けて保管しよう。エスビットが湿気を含んでしまうと火が点きにくくなってしまうためだ。
また、エスビットは白色のタブレット状で、見た目は大きいラムネのようだ。小さな子どもが勘違いして誤飲しないよう、必ず子どもの手の届かない場所に保管しよう。
▼参考記事
超軽量!エスビットの固形燃料の上手な使い方と保管方法
あわせて使いたいギアといえばエスビット「ポケットストーブ」
Esbit(エスビット)
ポケットストーブ スタンダード
エスビットの定番商品「ポケットストーブ スタンダード」の最大の魅力は、持ち運びのしやすさ。手のひらサイズなうえに約85gと非常に軽量なため、文字通りポケットに入れて持ち運べる。ソロキャンプとの相性がいいだけでなく、防災用としても活用できるアイテム。
ポケットストーブ スタンダードの魅力は持ち運びのしやすさ
秋田県南部の里山に生まれ、自然が身近に溢れる環境で育つ。釣り歴22年・キャンプ歴15年の生粋のアウトドア好き。過去には、アウトドア系の大手ECショップでバイヤーとして従事し、ルアー約10万点の販売管理を担当。現在は、アウトドア用品を実際に使ってレビューする専門ライターとして活動中。地元にキャンプ場と管理釣り場を作るために活動中。
固形燃料が付属しており、その固形燃料は本体の中にぴったり収納できるサイズ感なのも嬉しいところ。また、エスビットのポケットストーブは今回紹介しているスタンダードを含めて、4種類のラインナップがある。
- スタンダードと本体のサイズが同じで、付属される固形燃料のサイズが異なる「ミリタリー」
- ラージとスタンダードの中間にあたるサイズの「ミディアム」
- スタンダードよりもふた回り大きい「ラージ」
それぞれのサイズと重量は以下の表のとおり。いずれも携行性が高い商品なので、用途に応じたものを選ぶといいだろう。
ポケットストーブの使い方
使い方はとても簡単で、開いて燃料を置くだけ。本体上部にもイラストで使用手順が記されているため、誰でも迷わずに使える。
まず、安定した平らな場所で本体を開く。その後、固形燃料を所定の位置に置いて着火すれば完了。
ゴトクの角度は2段階に変えられるため、上にのせるもののサイズにあわせられる。
小型鉄板と相性が良い
ポケットストーブ スタンダードは、100円ショップで販売されている小型鉄板とあわせやすいサイズ。
付属している4gの固形燃料の燃焼時間は約5分とやや短いが、火力は強め。固形燃料を2つ並べて使用した場合、焼肉はもちろん、2人分程度のホルモン煮込みも可能だ。
小型鉄板とあわせれば軽く、収納スペースをとらないため、自転車や徒歩でキャンプをする人にも向いている。
▼参考記事
ソロキャンプのストーブはこれで決まり!迷わずに使えるエスビット「ポケットストーブ」
固形燃料を使ってメスティン炊飯!方法を解説
夫婦でデイキャンプをメインに外遊びを楽しんでいるフリーライター。茨城県在住。趣味は旅行やアウトドア、カメラ、バイク、手作りギア作り。持っている道具やその場にあるもので外遊びを楽しむ方法を模索中。はじめて買ったキャンプギア「チェアワン」がお気に入り。もっとアウトドアを楽しみたい!という人が「いいかも!」と思えるような情報を発信していきます。
キャンプでごはんを炊くのに重宝するメスティン。メスティン炊飯には、固形燃料による調理と、ガスバーナーによる調理があるが、今回は固形燃料を使った炊飯のやり方とコツをお伝えする。
固形燃料を使ってメスティン炊飯する方法
じつは、固形燃料を使った炊飯はいたって簡単。火を付けてからほとんどほったらかしでごはんが炊ける。さっそく準備するものや、調理の手順を、1合の場合を例に詳しく解説していこう。
準備するもの(1合の場合)
以下は、1合のごはんを炊く場合の道具や材料。
- メスティン
- お米(1合=約150g)
- 水(180ml程度)
- 固形燃料(1~3個)
- ポケットストーブ
今回使用する固形燃料は、ドイツ製のアウトドアブランド、Esbit(エスビット)のもの。「エスビットミリタリー」という1個14gの固形燃料で、14gで12分ほど持続して燃焼する。
一般的に、15g程度の固形燃料が1~2個あれば1合炊飯ができると言われている。
手順(1合の場合)
それでは、実際に1合のごはんを炊く手順を紹介しよう。これを読めば「なるほど!これはほったらかしで簡単だ!」と実感できることだろう。
ステップ1:お米を研ぐ
家庭で炊飯するときと同様、まずはお米を研ごう。お米を研ぐ工程はキャンプ場で行ってもいいが、事前に自宅で済ませておいても大丈夫。
キャンプ場でお米をこぼさずに研ぐことが難しそうだと感じる場合や、水場まで移動する手間をなくしたい場合は、自宅で研いで持って行くのがおすすめだ。
ステップ2:浸水させる
メスティン炊飯で大事な工程が、この「浸水」。お米の中心部まで吸水させることで、お米がふっくら炊き上がる。また、しっかり吸水させないと芯が残ってしまう可能性があるため、メスティンを使った炊飯では必ず浸水させよう。
目安の浸水時間は30分~1時間。夏は30分前後で充分だが、春・秋は45分程度、冬は1時間以上浸水させよう。なお、アウトドアシーンで水を計量するのは面倒な場合が多いため、メスティンのどの位置まで水を入れるといいか、あらかじめ自宅で試しておくと便利。
メスティンの内側には持ち手の金具を固定するリベットがあるため、その位置を参考にして水位を覚えよう。
ステップ3:炊飯する
浸水が完了したら炊飯しよう。ポケットストーブに固形燃料を投入し、メスティンを五徳の上に乗せる。固形燃料がすべてなくなるまで、30分程度そのままにしておけばOK。いたって簡単だ。
ちなみに、複数の固形燃料を使う場合は、前の燃料が燃え尽きたあとに次の燃料に着火するようにしよう。今回試したのは風が強い日で、計3個の固形燃料を使用。最初の燃料に着火してから30分弱でメスティンの鍋とフタの間から水が滴りはじめた。
その後、数分間燃焼し、合計30分程度で炊飯工程が完了した。
ステップ4:蒸らす
炊飯後の蒸らしも、重要な工程のひとつ。タオルで包んで15分ほど蒸らす。炊飯が終わった直後のメスティンは全体が高温になっているため、扱いに注意しよう。
固形燃料を使った炊飯で失敗しないコツ
固形燃料を使えばほったらかしで簡単に炊飯ができる、と言われても、初心者の方は失敗しないかどうか心配になるだろう。
固形燃料はガスよりも風に弱いのがデメリット。風の強い日には、いつもより多くの燃料が必要になる場合がある。そのため、炊飯が失敗に終わることのないよう、予備の燃料を持って行ったり、風防を使ったりして工夫すると◎。
また、ポケットストーブを使うときには、ストーブの底にも炎がまわりこむ。ストーブを置いた場所に焦げ跡が付いてしまったり、最悪の場合火災の原因になってしまったりする恐れがあるため、置き場所には十分気を配ろう。
▼参考記事
固形燃料を使ってメスティン炊飯するには?1合・2合・3合に分けてやり方を解説
エスビットの固形燃料とポケットストーブを雪中キャンプでレビュー!
キャンプに関する記事を中心に執筆しているアウトドアライター。趣味はキャンプ・国内旅行・バイク・スキューバダイビング。温泉や神社を巡るのも好きで、そこそこ詳しい自信あり。どこにも定住しない自由気ままな生活を目指すため、ライターとして活動している。
エスビットは雪中キャンプでもお湯を沸かせるのか?
エスビットが誇る傑作「ポケットストーブ」。エスビットの固形燃料の受け皿となり、さらにクッカーを乗せるゴトクとしても機能するアイテムだ。このポケットストーブが、厳冬期の雪原でまともに使えるのかを検証してみよう。
検証内容は、500mlの水を沸騰させられるかどうか。検証当日の気温はマイナス8度Cで、使用する固形燃料は4gと14gの2種類。
コンパクトかつ高出力なガスバーナーがいくらでもある今、あえてポケットストーブを選ぶのは、もはやロマン以外の何ものでもない……ように感じる。しかし検証の結果次第では、ガスバーナーの故障やガス切れへの備えとして、十分役立つはずだ。
【テスト1】まずは4gの固形燃料で検証
まず検証するのは、4gの固形燃料。エスビットの固形燃料のなかで、もっとも小さい製品だ。1箱20個入りで、価格は660円。1個あたりのコストは33円。1個あたり約5分間燃焼する。
固形燃料をセットしたポケットストーブの上に、500mlの水を入れたクッカーを乗せ、着火。エスビットの固形燃料から出る炎は、日中は見えないが、しっかり燃えている。
約5分が経過し、1個目の固形燃料が燃え尽きた。この時点の水温は、34度C。食事にはまったく使えないが、一時的に手足を温めるのには使えそうな水温だ。
続けて2個目をセットし、着火。2個目を使用し始めたあたりから、湯気の量がだいぶ多くなってきた。
2個目が燃え尽きたときの水温は、約60度C。この時点ではまだ、順調に上昇している。水温が明らかに上がりにくくなったのが、3個目から。
3個目の燃焼が終わった時点の水温は75度C。2個目使用時から、15度Cしか上昇していない。このあとは4個目、5個目、6個目と使い続けるが、それぞれ82度C、88度C、90度Cとほぼ頭打ちの状態。
これ以上固形燃料を消費するのは現実的ではないと判断し、ここで1つ目の検証を終了した。結局沸騰することはなかったが、90度Cまで上がれば食事に使える。カップ麺をなんとか作れる水温であり、アルファ米を用いた食品を食べるのにも十分だ。
ただやはり、貴重な固形燃料をたくさん使ったこと、熱湯になるまで30分ほどかかったことが気になる。早くお湯を手に入れたいシチュエーションでは、少々厳しいように感じられる。
あわや転倒!ポケットストーブを雪の上で使用するとこうなる
4gの固形燃料での検証中、ポケットストーブ本体が、少しずつ雪に沈んでいっている様子が見られた。あえてそのまま検証を続けたが、最終的に3cmほど沈み、傾きも発生していた。あらかじめ十分に踏み固めていたつもりだったが、500mlの水が入ったクッカーの重さにくわえ、約30分間も燃焼させ続けたことが影響していると思われる。
場合によっては、雪の上で使わざるを得ないこともあるだろう。その際にはクッカーの重さや燃焼時間を考慮しつつ、万が一転倒した場合でも危険な状態にならないように配慮するべきといえる。
次の検証では雪に沈まないように、ステンレストレーの上に乗せて使用。
【テスト2】14gの燃料でトライ
続いての検証に用いるのは、14gの固形燃料。1個あたり約12分間燃焼する。1箱6個入りで、価格は同じく660円。1個あたりのコストは110円だ。
検証する内容は先ほどと同様、500mlの水を沸騰させられるかどうか。14gの固形燃料をポケットストーブに置き、水を入れたクッカーをセットし、着火。するとほどなくして、クッカーの底に小さな水泡ができ始めた。やはり炎は見えづらいものの、4gの固形燃料より明らかに火力が強いことがわかる。
約12分経過。固形燃料が燃え尽きた。水温はというと、73度C!4gの固形燃料を3個使い切った時点と、ほぼ同じ水温だ。4gの固形燃料の燃焼時間は5分なので、やはり水温の上昇も早いようだ。
続いて2個目の固形燃料を使用。このあたりから、小さな水泡が盛んに発生し始める。
そして2個目の固形燃料を使い始めて5分が経過した頃、ついに水はボコボコと沸騰を始めた。固形燃料の燃焼時間がまだ半分残っている状態だ。
沸騰するまでにかかった時間は、およそ17分。4gの固形燃料とくらべて、後半の温度上昇に明確な差が見られた。これであれば、ただお湯を沸かすだけでなく、簡単な鍋料理などもできそうだ。1個あたりのコストは少々高くつくが、気温が氷点下となる環境では、はじめから14gの固形燃料を使用するほうがよさそうだ。
ガスバーナーの故障やガス切れへの対策として、大いに役立ってくれるだろう。
厳冬期でも十分に使える
標高や風などの条件により、今回の検証とはちがった結果になるはずだ。今回は固形燃料を1個ずつ使ったが、同時に2個燃やしたり、半分に割って使用したりと、状況にあわせて工夫できる。
冬にメインとして用いるのは少々心もとないものの、ガスバーナーとあわせて装備すると、もしものときに活躍してくれるはず。キャンプ用に、登山用に、そして災害の備蓄用に。1つ持っておいて損はないアイテムだ。