エスビットは雪中キャンプでもお湯を沸かせるのか?【マイナス8度Cで検証】 | バーナー・燃焼器具 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.01.26

    エスビットは雪中キャンプでもお湯を沸かせるのか?【マイナス8度Cで検証】

    ポケットストーブと固形燃料を手に持っている

    筆者私物。

    エスビットのマスターピース

    エスビットが誇る傑作「ポケットストーブ」。

    エスビットの固形燃料の受け皿となり、さらにクッカーを乗せるゴトクとしても機能するアイテムです。

    今回はこのポケットストーブが、厳冬期の雪原でまともに使えるのかを検証してみました。

    温度計を手に持っている

    氷点下のなかで検証をおこないます。

    検証内容は、500mlの水を沸騰させられるかどうか。検証当日の気温は−8度Cで、使用する固形燃料は4gと14gの2種類です。

    コンパクトかつ高出力なガスバーナーがいくらでもある今、あえてポケットストーブを選ぶのは、もはやロマン以外の何ものでもない……ように感じます。

    しかし検証の結果次第では、ガスバーナーの故障やガス切れへの備えとして、十分役立つはずです。

    【テスト1】まずは4gの固形燃料で検証

    固形燃料を手に持っている

    4gの固形燃料。「スタンダード」とも呼ばれる製品です。

    まず検証するのは、4gの固形燃料。エスビットの固形燃料のなかで、もっとも小さい製品です。

    1箱20個入りで、価格は660円。1個あたりのコストは33円。1個あたり約5分間燃焼します。

    ポケットストーブにクッカーを乗せている

    風の影響を受けないように、雪で囲いを作っています。

    固形燃料をセットしたポケットストーブの上に、500mlの水を入れたクッカーを乗せ、着火。

    エスビットの固形燃料から出る炎は、日中は見えません。ですがしっかり燃えています。

    水温計が34度を示している

    1個目の燃焼が終了。

    約5分が経過し、1個目の固形燃料が燃え尽きました。この時点の水温は、34度C。

    食事にはまったく使えませんが、一時的に手足を温めるのには使えそうな水温です。

    続けて2個目をセットし、着火。2個目を使用し始めたあたりから、湯気の量がだいぶ多くなってきました。

    水温計が60度を示している

    2個目の燃焼が終了。

    2個目が燃え尽きたときの水温は、約60度C。この時点ではまだ、順調に上昇しています。

    水温が明らかに上がりにくくなったのが、3個目から。

    水温計が75度を示している

    3個目の燃焼が終了。

    3個目の燃焼が終わった時点の水温は75度C。2個目使用時から、15度Cしか上昇していません。

    水温計が87度を示している

    5個目の燃焼が終了。ここからなかなか上昇しない!

    このあとは4個目、5個目、6個目と使い続けますが、それぞれ82度C、88度C、90度Cとほぼ頭打ちの状態。

    これ以上固形燃料を消費するのは現実的ではないと判断し、ここで1つ目の検証を終了しました。

    結局沸騰することはありませんでしたが、90度Cまで上がれば食事に使えます。

    カップ麺をなんとか作れる水温であり、アルファ米を用いた食品を食べるのにも十分です。

    ただやはり、貴重な固形燃料をたくさん使ったこと、熱湯になるまで30分ほどかかったことが気になります。

    早くお湯を手に入れたいシチュエーションでは、少々厳しいように感じられました。

    あわや転倒!ポケットストーブを雪の上で使用するとこうなる

    ポケットストーブが雪に埋まっている

    約30分間燃焼させたあとの状態。

    4gの固形燃料での検証中、ポケットストーブ本体が、少しずつ雪に沈んでいっている様子が見られました。

    あえてそのまま検証を続けましたが、最終的に3cmほど沈み、傾きも発生していました。

    あらかじめ十分に踏み固めていたつもりでしたが、500mlの水が入ったクッカーの重さにくわえ、約30分間も燃焼させ続けたことが影響していると思われます。

    場合によっては、雪の上で使わざるを得ないこともあるでしょう。

    その際にはクッカーの重さや燃焼時間を考慮しつつ、万が一転倒した場合でも危険な状態にならないように配慮するべきといえます。

    次の検証では雪に沈まないように、ステンレストレーの上に乗せて使用します。

    【テスト2】14gの燃料でトライ

    14gの固形燃料を手に持っている

    14gの固形燃料。「ミリタリー」とも呼ばれる製品です。

    続いての検証に用いるのは、14gの固形燃料。1個あたり約12分間燃焼します。

    1箱6個入りで、価格は同じく660円。1個あたりのコストは110円です。

    検証する内容は先ほどと同様、500mlの水を沸騰させられるかどうか。

    14gの固形燃料をポケットストーブに置き、水を入れたクッカーをセットし、着火。

    するとほどなくして、クッカーの底に小さな水泡ができ始めました。

    やはり炎は見えづらいものの、4gの固形燃料より明らかに火力が強いことがわかります。

    水温計が73度を示している

    1個目の燃焼が終了。すでにお湯ができています。

    約12分経過。固形燃料が燃え尽きました。水温はというと、73度C!

    4gの固形燃料を3個使い切った時点と、ほぼ同じ水温です。4gの固形燃料の燃焼時間は5分なので、やはり水温の上昇も早いようです。

    続いて2個目の固形燃料を使用。このあたりから、小さな水泡が盛んに発生し始めます。

    水が沸騰している

    湯気のせいで見えにくいですが、水が沸騰しています。

    そして2個目の固形燃料を使い始めて5分が経過した頃、ついに水はボコボコと沸騰を始めました。固形燃料の燃焼時間がまだ半分残っている状態です。

    沸騰するまでにかかった時間は、およそ17分。4gの固形燃料とくらべて、後半の温度上昇に明確な差が見られました。

    これであれば、ただお湯を沸かすだけでなく、簡単な鍋料理などもできそうです。

    1個あたりのコストは少々高くつきますが、気温が氷点下となる環境では、はじめから14gの固形燃料を使用するほうがよさそうです。

    ガスバーナーの故障やガス切れへの対策として、大いに役立ってくれるでしょう!

    “もしも”のときの備えとして頼れるヤツ

    カップ麺にお湯を注いでいる

    真冬でもポケットストーブを使ってカップ麺を食べられる!

    エスビットのポケットストーブは、厳冬期でも十分に使えることがわかりました。

    ただし、4gの固形燃料だと火力が不足気味。14g以上の固形燃料を装備しておくと安心です。

    また、標高や風などの条件により、今回の検証とはちがった結果になるはずです。

    今回は固形燃料を1個ずつ使いましたが、同時に2個燃やしたり、半分に割って使用したりと、状況にあわせて工夫できます。

    冬にメインとして用いるのは少々心もとないものの、ガスバーナーとあわせて装備すると、もしものときに活躍してくれるはず。

    キャンプ用に、登山用に、そして災害の備蓄用に。1つ持っておいて損はないアイテムです。

    エスビット ポケットストーブ

    サイズ:98×77×23mm(収納時)
    重量:85g(固形燃料を除く)
    価格:1,870円

    エスビット 固形燃料 スタンダード

    内容量:4g×20個
    燃焼時間:約5分
    価格:660円

    エスビット 固形燃料 ミリタリー

    内容量:14g×6個
    燃焼時間:約12分
    価格:660円

    私が書きました!
    アウトドアライター
    斎藤純平
    キャンプに関する記事を中心に執筆しているアウトドアライター。趣味はキャンプ・国内旅行・バイク・スキューバダイビング。温泉や神社を巡るのも好きで、そこそこ詳しい自信あり。どこにも定住しない自由気ままな生活を目指すため、ライターとして活動している。

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