レクサスの新型ミニバン「LM」に乗ってみた!
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    2023.10.01

    レクサスの新型ミニバン「LM」に乗ってみた!

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が、レクサス初のミニバン「LX」をチェックしてきました。すでに海外では発売されていますが、この秋ようやく日本にお目見えする話題の高級ミニバン。その乗り心地はいかに? 発売前のプロトタイプに乗ってみたインプレッションをお届けします!

    レクサスのミニバン「LM」が満を持して日本上陸

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

     916日に富士スピードウェイ敷地内で行われたレクサスのメディアイベント「LEXUS SHOWCASE」では、今後のレクサスの方向性を示しながら、何台かのプロトタイプに敷地内で短時間の試乗を行なうことができました。

     中でも強く印象に残っているのが、ミニバンの「LM」です。初代のLMは中国とアジア地域でのみ販売されていて、彼の地で人気を博していると聞いていました。

     そのLM2代目にフルモデルチェンジしたのが発表されたのが、20234月の中国・上海モーターショー。そしていよいよ、2023年秋に日本市場にも投入されることになりました。

     新型LMのボディサイズは、全長5125㎜×全幅1890㎜×全高1955㎜、ホイールベース3000㎜という大型サイズ。7月にフルモデルチェンジしたばかりのトヨタの最上級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」よりも大きいです。2.4リッター4気筒ターボエンジンのハイブリッド+モーターの「DIRECT-44輪駆動システムを搭載。トランスミッションは6ATです

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

    国際線ファーストクラスのような室内

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

     試乗したのは24座席仕様。後席は、まるで国際線ファーストクラスの個室キャビンのようです。2人のためだけの空間なのに、とても広くて、シートや内装が上質で機能的です。

     他のミニバンのように、車内はガランとした大きなひとつの“箱”で、その空間内に同じような前席と後席が並んでいてという構成ではありません。空間は天井から床までのパーティション(壁)で前後に区切られているので、空間はふたつあります。

     パーティションには横に長い窓があり、スイッチで上下するガラスが組み込まれています。閉めている時には、透過させて見通すことも、曇らせて視界を遮ることもできます。

     その下には48インチ大型ディスプレイ、スピーカーや冷蔵庫、いくつもの収納スペース、乗り降り用アシストグリップ、左右のアームレストには折りたたみ式のテーブルなどが配されています。

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

     後席のサイドウインドウは広く大きなガラスが用いられていますが、内側には電動開閉式のシェードが備わっているので、これらを使えば、後席は外部からの視線を完全に遮断することができるのです。

     前席は運転のためだけ。後席は運転はドライバーに任せ切って、くつろぐなり、仕事をするなりして、運転にはまったく関知する必要もなく、目的地まで移動してしまいます。つまり、前席と後席は分断されているのです。

    乗り心地は抜群で後席はとても静か

     敷地内を短時間、試乗しました。最初は運転席で運転し、その後に後席に移ってスタッフに運転してもらいました。

     半ば予想していた通りでしたが、このクルマは完全に後席の乗員のためのクルマでした。後席は静かで、揺れや突き上げなども巧みに遮断され、乗り心地がとても良い。

     それに対して前席は、エンジンノイズも直接的に侵入してくるし、タイヤからのノイズも途切れることがありません。舗装が荒い路面では、ゴー、ザワザワという騒音が目立って入ってきます。後席では、それらがほとんど聞こえず、揺れや振動などが遮断されているのも、パーティションの効能なのでしょう。前席と後席とでは、まったく別のクルマです。

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

     ちなみに、試乗車に装着されていた19インチタイヤではなく、静音性に配慮した17インチタイヤとレゾネーター付きホイールの組み合わせも選択することも可能だそうです。

    荷室はさほど広くない

     少し気になったのは、トランクがそれほど広くないことです。トランク床の奥の左右の角がエアコンダクトのために丸められているので、スーツケースなど四角いものを置いた場合にデッドスペースが生じてしまって使いにくそうな感じでした。

    前後席は完全に別空間

     短時間の試乗でしたが、あらためてパーティションというものの効能に驚かされました。補強になるので、後席の静粛性と快適性を向上させます。

     マイクとスピーカーを使って前後席で会話できますが、同じ空間にいないので共通の話題も見付けにくくなります。これまでのミニバンやセダンあるいはSUVなどでは全員が同じ空間にいるので、車窓を流れる景色などについて話したり、カーオーディオから流れてくる音楽について一緒に口ずさんだりしていましたが、LMではそれは不可能ではありませんが、自然ではありません。前席には前席の、後席には後席の空間が広がっていて、それぞれ別々の時間が流れていきます。世界が違うのです。

     後席の無類の快適性を享受できるのは、それこそ国際線ファーストクラスと同じように後席に乗る人だけなのです。運転席と助手席に乗る人は、後席に乗る人に奉仕する立場に立つのです。

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)の後席にある冷蔵庫。

    「アルファード/ヴェルファイアの上」ではない

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

     LMは、VIPを送迎するハイヤーや企業などが所有し、専任のショーファーが運転するクルマとして用途が限られるのでしょう。高級旅館やホテルなどが顧客を乗せる場合なども同様です。

     それでも、中にはモノ好きな人も現れて、個人でLMを購入して、家族や友人を乗せて走るかもしれません。

    「レクサスのミニバンなのだから、アルファードとヴェルファイアのさらに上級のミニバンなのだろう」

     そう期待されてしまうかもしれませんが、LMはプライベートユースには向いているとは言えないでしょう。家族や友人などの同行者の誰かに、隔絶した前席での「運転役」を強いることになってしまうからです。もしくは反対に、自分が強いられることになってしまうかもしれません。どちらも想像したくありませんものね。

    新型LM(プロトタイプ)

    新型LM(プロトタイプ)

    金子浩久
    私が書きました!
    自動車ライター
    金子浩久
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。https://www.kaneko-hirohisa.com/

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