東京からナンとも遠い「熊野古道」
私が暮らす東京・世田谷から、和歌山県「那智勝浦」まではクルマで約550km(東名高速道路と第二東海自動車道を経由した場合)。以前より自動車道は延びたといえ、それでも7時間以上かかります。新幹線を利用した電車の旅でも同様。まぁ、遠いですよね。沖縄に飛行機でバイーンと行く方がよっぽど近いです。
そんな熊野古道、まとまった休みがないと、なかなか行けない場所。先日のこと。「子どもの春休みにどこ行くー、何するー」と夫と晩酌会議(私たちは毎晩夕飯中にダラダラ呑みながらアレコレ決めます)。伊豆? 外房? 最後の雪山? ふっと「熊野古道」に行きたいなと思ったのでした。なんでかよくわからないけど、こういうときって土地に呼ばれている。そう思うようにしています(笑)。
「熊野古道」とは
全国に約3,000社ある「熊野神社」の総本山「熊野三山」。熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社に通じる「参詣道」の総称を「熊野古道」と呼びます。三重・奈良・和歌山の3県にまたがる紀伊半島の険しい自然と歴史的背景があり、「紀伊山地にある3つの霊場と、そこを結ぶ参詣道」は、2004年ユネスコの「世界文化遺産」に登録されました。
あたり前ですが、すべての道を制覇するのは大変なこと。今回は世界遺産としての雰囲気が「わかりやすく」、9歳と4歳の息子たちと10歳のボストンテリアが「歩きやすく楽しめる」場所をピックアップして旅しました。
とはいえ先ほども述べたように熊野古道は遠い。一気には行かず、まずは東京から三重県伊勢でワンクッション。その後、県をまたいで和歌山県「那智勝浦」へと向かったのでした。
熊野古道「大門坂」を歩く
熊野那智大社のすぐ傍までクルマでアプローチできますが、せっかくなら「熊野古道」を歩きたい。世界のお宝を味わいたい。ということで訪れた「大門坂」でした。
熊野那智大社への参道、大門坂の入り口は「無料駐車場」から2分ほど歩いた場所にあります。
このあたりにある「大門坂茶屋」では、平安時代の衣装の貸し出しも行なれていました。撮影できたり、熊野那智大社までの散策ができるプランもあるそうです。旅の記念におもしろいですね。
鬱蒼とした森。立派な老杉に囲まれた石段・石畳の参道は「熊野那智大社」まで約1km続きます。この日は日曜でしたが、長男の朝勉強に手間取ったのがよかったのか(笑)、駐車場に着いたのが10時半過ぎ。早起き組はすでに出発してしまったのでしょう。ほぼ貸し切り状態でのんびり歩くことができました。
よく申し上げていることですが、私は歴史や宗教に疎く、「熊野古道」に関して詳しく書くことはできないのですが、もしこの参道が家の傍にあったら、毎日でも歩きたくなるくらい清々しいステキな道でした。ゆっくり登っても40分ほどで、心地よい負荷を感じました。
参道には、たくさんのおみやげ屋さんがありました。疲れたら一休みするのにちょうどいいですね。
地図を見ると、目にも鮮やかな朱色の「熊野那智大社」。その真横には対照的な質素な「那智山青岸渡寺」がお互いの屋根がくっつきそうなほど隣接して建っているのが印象的でした。
樹高27m、幹回り約8.5mもあるこの立派なクスノキは、平重盛の御手植と伝えられているそうです。願い事を書いた「護摩木」(300円)を持ってくぐりました。
熊野那智大社
- 所在地:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
- 電話番号:0735-55-0321
- 参拝時間:7:00~16:30
- ホームページ:https://kumanonachitaisha.or.jp
「那智大滝」に向かいましょう!
熊野那智大社のある那智山には、栃木は日光の「華厳滝」、茨城県の「袋田の滝」とともに日本三大瀑布に数えられる「那智滝」があります。熊野那智大社の「御神体」であり、もちろん「世界遺産」です。
滝に近づくにつれ、森に漂う湿気がより濃くなっていきました。やがて切り立った崖から水のカタマリが垂直に落下する那智の滝が現われました。
全体的に「ドッグフレンドリー」な熊野那智大社。私たちのほかにも何人ものイヌ連れが楽しんでいました。だけど「御滝拝所舞台」はペットNG。夫と交代で参拝しました。
滝壺までの落差は133m。「一段の滝」としては日本一だそうです。力強く荒々しい自然は、人間が決して太刀打ちできない凄味がありました。しばし滝に圧倒されていると、私たちの隣で粘っこい関西弁で説明していたガイドさんは、「このところの雨続きでいつもの倍の水量があります。ラッキーですよ!」みたいなことを言っていました。そうなんですねー。ちなみに自然豊かな那智山には、この那智大滝をはじめ48もの滝があるそうです。滝のハシゴをしつつ山道を歩いても気持ちよさそうですね。
那智勝浦の町へ降りてマグロを食す
那智滝から、ふたたび大門坂を下り、キャンピングカーを停めている無料駐車場へ。6kmくらい歩いたでしょうか。お腹ぺこぺこです! 那智勝浦の町に急行しました。目指すはマグロが食べられるお蕎麦屋さん、「十割そば森本屋」。勝浦港から1本入った場所にあります。
私がよく知っている千葉県勝浦市はカツオの町ですが、和歌山県の那智勝浦町はマグロ漁業が盛んな場所。
熊野那智大社のトレッキング疲れにしっかりタンパク質補充したのでした。お蕎麦もキュッと締まってコシがあり、おいしかったです。
十割そば森本屋
- 所在地:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦451
- 電話番号:0735-52-4578
- 営業時間:11:00~14:00
- 定休日:火曜
那智勝浦の町でよく見かけるこのガラス玉は、かつてマグロ漁で使われていた「ウキ」です。土曜の夜やイベントの日にはライトアップされます。前の晩、土曜日だったこともありちらっと通りかかってみました。
「マグロ欲」爆発
お蕎麦屋さんでいただいたおいしいマグロに目がハートになりました。もう少し食べたいなー。那智勝浦にはなんとマグロの「無人販売所」がいくつかあると聞いて、買い付けに行ってきました。「十割そば森本屋」から600mくらいの距離の「片原魚店」へ。
この日はガラスケースに「キハダマグロ」が並んでいました。夕飯はキャンピングカーのなかで「葱鮪鍋」と「ポキ」を作りましょう。
片原魚店は基本的に業者向け(県内外の鮮魚店や飲食店)の「卸売り」をメインとしている魚店だそうです。大々的にまぐろを並べてはいないとか。とはいえ店頭で解体作業などもして冷蔵庫に保管しています。対応できるスタッフさんがいれば、「量り売り」にも応じてくださるそう。不定期での休業もあるようなので、行かれる方はあらかじめ電話で確認したほうがよさそうですね。
片原魚店
- 所在地:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字天満878-8
- 電話番号:0735-52-1065
- 営業時間:9:00~17:00
- ホームページ:https://maguromap.jp/shop/katahara-syouten/
熊野古道に熊野那智大社。滝もよかったですね。ド迫力の水量は、眺めているだけで私の奥底にあるドロドロした部分が洗い流されるようでした(笑)。那智勝浦。遠いだけあって、とてもおもしろく魅力的な場所でした。行ってよかったー。