チベット文化圏スピティの村で遭遇した、収穫祭と神託の儀式 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • チベット文化圏スピティの村で遭遇した、収穫祭と神託の儀式

    2022.11.29 #北インド・ラダック〜デリー1800キロ悪路旅山本高樹

    デムル村に訪れた晴天の朝。

    標高4200メートルの村、デムル

    スピティの中部、標高4200メートルに達する険しい山々の間に、ひっそりと隠れるようにして存在する村があります。デムルと呼ばれるこの村では、東に開けたすり鉢状の斜面に、数十軒の民家が身を寄せ合うようにして集まっています。

    牧草が屋根に積まれた家々。

    僕がデムルを訪れた時、村ではちょうど、村人総出による牧草の収穫が終わったところで、家々の屋根にはたっぷりと牧草が積み上げられ、長く厳しい冬への備えが行われていました。

    デムルでは、牧草の収穫が終わった後に、ナムガンと呼ばれる収穫祭が催されます。その際、村のシャーマンによる珍しい儀式が行われるということで、その一部始終を見学させてもらうことにしました。

    神下ろしの儀式を始める、マネ村から来たシャーマン。

    水差しから酒を直接飲み、ラーを降臨させるデムル村のシャーマン。

    二人のシャーマンによる神下ろし

    村にある一軒の大きな民家の中で、二人のシャーマンによる儀式が始まりました。一人は、近隣のマネ村から来た「チョフラン」と呼ばれるシャーマン。もう一人は、デムル村の「チェタプ」と呼ばれるシャーマンです。二人はそれぞれ、ラーと呼ばれる神を自らの身体に降臨させ、一種のトランス状態に陥ります。

    ラーからの神託を村人たちに告げるシャーマン。

    頭から酒を注ぎ、トランス状態を深めていく。

    それぞれがブツブツと神託を呟き続ける。

    酒をあおり、頭から酒を注ぎ、身体を小刻みに震わせながら、二人のシャーマンはブツブツと神託を呟き続けます。曰く、「今年の村での収穫はあまりよくなかったが、来年はよくなるだろう」「村人たち全員、争わずに仲良くし、力を合わせながら日々の仕事に取り組むように」など。その一言一言に、村人たちは頷きながら、真剣に耳を傾けていました。

    シャーマンから酒を注がれる家畜たち。

    トランス状態のまま、家畜たちに加護を授けるシャーマンたち。

    やがて二人のシャーマンは屋外に出ると、村人たちが連れてきた、ヤク(雄の毛長牛)やヤギ、羊といった家畜たちに、酒を振りかけながら加護を授けるような儀式を行いました。こうした儀式を受けた家畜たちは、その後も村で大切に飼われ続けるのだと言います。

    忙しくて短い夏の終わりに、デムルの村の人々はほっとした笑顔を浮かべながら、年に一度の収穫祭のにぎわいを楽しんでいました。

    私が書きました!
    著述家・編集者・写真家
    山本高樹
    1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。最新刊『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)発売中。

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