テントもタープもいらない! スズキサトルさんの「ミニマムDIY野営術」とは | キャンプのコツ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

キャンプのコツ

2023.08.11

テントもタープもいらない! スズキサトルさんの「ミニマムDIY野営術」とは

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シンプル装備で自然をキャンプを楽しむ

自然と対峙する野外活動がしやすい環境を求め、東京から長野県松本市に移住したという画家でイラストレーターのスズキサトルさん。普段から、ザックひとつを背負って北アルプスなどの山へ入り、山岳画を描いている。またあるときは、枝や蔓など天然素材を使って新しい道具を作るために、野営場に繰り出すこともあるという。

この日、スズキさんは、松本市から北アルプスまでを一望にする美鈴湖もりの国オートキャンプ場にやってきた。

「今日の常念岳はきれいだな。最高の景色ですね。このキャンプ場は、地元の林業を営む会社が運営しています。僕の活動に理解をいただいていて、丁度、敷地内の間伐が行なわれたと聞き、生木に近い枝を分けてもらい、それで何かを作りながら野営をしようとやってきました」

この日のスズキさんの装備は、使い込まれた40ℓほどのザックひとつ。到着するや、キャンプ場から譲り受けた枝を3本、適度な長さに切りそろえ、持参したアケビの蔓をよった紐をかけ、トライポッドを作り出した。

「ザックなどの荷物をここに吊るせば、地面が濡れていても濡らさないですむんですよ」

続いてザックからタイベックシート、ウレタンマット、サーマレストを取り出し、順に敷いた。その上に10年ほど前にアメリカのガレージブランドに特注したというビビィサックを置いた。これが、スズキさんのテントとなる。山に出かけたときにもペグは打たず、石を四つ角に置いて飛ばされないように工夫しているそうだ。

朝晩が冷え込む時季のため、ビビィサックの中には、ウールのブランケットとシュラフを仕込んだ。続いて、キャンプ場から借りた端材の板をテーブルとし、アルコールストーブやピコグリルなどをセット。ものの数分で設営が完了した。

「もちろん、テントやタープも使いますが、設営のスピードを重視していくと、装備がどんどんシンプルになり、今ではビビィサックで寝ることが増えました。山に着き、美しい稜線を見ると、すぐに絵を描きたくてうずうずしちゃうんですよ」

使い込まれたビビィサックに腰掛け、生木の枝を手に取るスズキさん。さて、どんなクラフトが始まるのだろう?

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イラストレーター スズキサトルさん。 1973年生まれ。長野県松本市を拠点にイラストレーター、画家、絵本作家として活躍する。スズキさんの野営術は、著書『森のブッシュクラフト図集』(笠倉出版社)で紹介されている。

スズキさんのキャンプ道具を拝見!

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POINT 1 ビビィサック

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ボーラギアという、アメリカのガレージメーカーに特注したもの。透湿防水生地、e-Ventで作られているので雨もしのげる。

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中に入ってます

冷気と湿気をブロックするため、タイベックシート、ウレタンマット、サーマレストを重ねて敷く。

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この日は防寒のため、冬用のシュラフとクリッパンのウールブランケットを使用。

POINT 2 道具を吊るすトライポッド

もともとはアイヌのチセ(家)の屋根に使われた技法で組んだ「ケトゥンニ(アイヌの三脚)」。

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枝を少しだけ残しておくと、カップやバッグを吊るすフックとして使える。

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アケビの蔓をよった長さ50㎝ほどの紐を手に巻き、3本の枝の上から通す。

紐を支点に、中央の枝を上から下に回転させるだけで、トライポッドが組みあがった。

POINT 3 ピコグリルの焚き火台

軽く、たたみやすく、火力が強い。そんな理由で選んだピコグリル239。「コンパクトだけど、薪がタテに入るんです」

POINT 4 自作のアルコールストーブと五徳

「煮炊きは、アルコールストーブを使うことが多いですね。山に着いたら湯を沸かし、山専ボトルで保温しながら使います」

ビール缶を切って、親指で押しただけ。穴をあけていないが、かなり強い火力が得られる。

ビール缶を切って、親指で押しただけ。穴をあけていないが、かなり強い火力が得られる。

アルミのチューブ2本に、コの字型に曲げたワイヤーで作った五徳。収納性もいい。

POINT 5 2~3種類のナイフ

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用途に合わせて使い分けてます

手前はスズキさんが監修し、松田菊男さんが製作したスカンジブレードの野槌。上は穴あけに使うブッシュンブレード/ヴァリス。

POINT 6 荷物はザックひとつに納める

「無駄なポケットなどがなく、シンプルで軽くて使いやすい。それが一番です」。モンテインのULザック(廃番)を長らく愛用。

キャンプで役立つグリーンウッドワーク

「木は、乾燥すると堅くなります。切ったばかりのグリーンウッド(生木)は、水分を豊富に含んでいて、形を整えるのが簡単なんです。入手方法は限られますが、ウッドクラフト入門には扱いやすい素材ですね」

この日、スズキさんは、キャンプ場内の間伐作業で出た生木の枝を譲り受け、2種類の道具を作った。

「ネズとかヒノキなどの針葉樹は、よくしなるので、その反発力を利用してセルカスティック(自撮り棒)を作ります。枝1本とナイフとノコギリがあればできるので簡単ですよ。本来、ケズリバナには、ニワトコやヌルデの木を使いますが、焚き火用なら木はなんでもOK。短いストロークで作れるので、初心者にもぴったりです」

枝をイメージどおりにカットしたらナイフを使ってスイスイ。あっという間に、実用的で風合いのいい作品が生み出された。

まずは生木を探す

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キャンプ場の許可を得て、敷地内を歩き、間伐されたばかりの枝を探すスズキさん。

セルカスティック

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枝の先にスマホより少し小さめの溝を作り、そこを少しだけ広げてスマホを挟む。生木特有のしなやかさを応用したクラフトだ。

道具と材料

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枝は、途中から曲がっているものが自撮りしやすくて良い。愛用のアルスコーポレーション/コンパクト鋸は、重量35gと軽い。

枝にスマホを当て、ナイフの先で印をつける。

印をつけた部分と、その間の3か所ほどに、枝の半分ぐらいまでナイフを入れる。

ナイフを立てて切れ目に沿って切り落としたら表面を仕上げ、スマホを挟めば完成。

ケズリバナ

ケズリバナは、東北、群馬などの神事の供え物として古くから使われたもの。これをフェザースティックに見立て焚き火の着火材に。

材料

材料は、生木を50㎝ほどにカットして用意。道具はブッシュクラフト用のナイフを使う。

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枝の先端から10㎝あたりにナイフを押しあて薄くスライスする。枝1周分のフェザーができたら手で押し広げる。これを繰り返し、枝の上部まで数個のフェザーを作る。

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鉛筆を削るように先が細くなるように削る。ナイフでケズリバナをひとつずつ切り落として焚き火台に入れて着火する。削った直後からすぐに乾燥しはじめるのでよく燃える。

POINT

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ナイフを使って作業するときには、誤って手を切ってしまわないように、必ず厚めの作業グローブをつける。

BE-PAL的 ACTIVE POINT

  1. シンプルな道具で時間を節約

  2. 簡単なことから試してみる

  3. 自然素材の特徴を活かす

※構成/山本修二 撮影/花岡 凌 協力/美鈴湖もりの国オートキャンプ場、柳沢林業

(BE-PAL 2022年6月号より)

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