スロバキア・コマールノで偶然見つけたキャンプ場とアウトドア女子の暴食 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

スロバキア・コマールノで偶然見つけたキャンプ場とアウトドア女子の暴食

2022.04.27

コマールノのアイス屋さんにて

コマールノのアイス屋さんにて、この日、2個目のアイスをいただきました。このとき、袖を境目に手が日焼けしていることに気がつきました。

ひと冬で日焼けしたジョアナです

こんにちは!ドナウ川の源流地域ドイツから、エーゲ海沿いのトルコを目指して、カヤックで旅をしているジョアナです。半年くらいの放浪を予定したこのドナウ川下りの旅で、私がスロバキアのコマールノに着いたのが2022年3月の下旬でした。

ドイツを出発してから2か月近くが経ったころ、アイスを食べながら自撮りしてびっくり。上着の袖の境目に沿って、手がかなり日焼けしているではありませんか。ガビーン、ショック。かなり、ダサい。

コマールノって?

スロバキア側とスロバキア側をつなぐコマールノの橋

スロバキア側とスロバキア側をつなぐコマールノの橋。

私がコマールノに行くのを楽しみにしていた理由は、コマールノが国境にまたがる町だから。ドナウ川の北側がスロバキアで、南側がハンガリー。元々、コマールノは南北合わせてひとつの町だったのが、スロバキアとハンガリーの間に国境が定められた際、分断されてしまったという歴史があるそう。今では地図上で正式にコマールノと表記されているのはスロバキア側だけ。ただし、国を跨いで橋がかかっていて、シュンゲン協定のおかげで、いつでもパスポートチェックなしで自由に行き来することができるのです。

たまたまドナウ川ですれ違った地元カヤッカーに、どこから来たのか尋ねてみると、「サウス・コマールノ」との返事が。地元の方が「サウス・コマールノ」「ノース・コマールノ」と呼んでいるように、国境を隔てていてもひとつの町として認識されている、ちょっと不思議な町なのです。

ヨットクラブに泊まってみた

コマールノのヨットクラブ

コマールノのヨットクラブ。シーズン外で閑古鳥が鳴いていた。

この町は、毎年夏になると、ドイツからたくさんのカヤッカーが訪れる町でもあります。それはコマールノが、『TID(ツアー・インターナショナル・ドナウ)』というドナウ川をドイツから黒海まで旅するイベントのチェックポイントだから。コマールノのカヤッククラブにTIDの拠点を設けて、参加者100人規模でキャンプをするのです。

といってもこのカヤッククラブは、困ったことに、ドナウ川の本流からは少し離れているのです。脇に逸れて流れている川を2km漕いで、町の中心部から少し遠いところまで行かなければいけません。

だけど、「私はTIDと違って一人で川を下っているから、大きなキャンプ場は必要ないし、どこか町の中心部で安全にキャンプできる場所はないものか」と考えた私が目をつけたのが、このヨットクラブ。いわゆる大きな帆を張ったヨットだけでなく、ドナウ川で遊ぶいろいろなモーターボートを受け入れている施設です。仮にキャンプ場がなくとも、町を観光している間にカヤックを預かってもらうことはできるだろう、と思い、行ってみると…。ご覧の通り、かなり寂れて閑古鳥が泣いていました…。ボートのシーズンにはまだまだ早すぎたのでしょう。

ヨットクラブの母屋

ヨットクラブの母屋。

建物の方は、門にかかったチェーンと南京錠がかなり錆びています。これは夏でも営業しているのか、怪しい雰囲気です。と、そこで、テントのマークに矢印が添えられた看板を発見。どうやらこのヨットクラブの建物の裏がキャンプ場らしく、行ってみると大きなトレーラーハウスを発見。

ヨットクラブでキャンプ

ヨットクラブのキャンプ場にて。「トイレは、ここ、ぜーんぶ」とお姉さん。

柵越しに番犬に吠えられて、一体何事かと出てきてくれたお姉さん。「ここはたしかにキャンプ場だから」と中に入れてくれたものの、現在は営業していないらしく、トイレの場所を聞くと「ここぜーんぶがトイレよ」とばかりに広い芝生の広場を指さす彼女。一家でスピードボートの競技をしているらしく、彼女の役目はボートの整備。トレーラーハウスでミニマルな暮らしをしながら、ありとあらゆる情熱をボートに注ぐ一家らしく、倉庫の壁にはヨーロッパ中の大会で獲得したメダルがたくさん。スピードボートとカヤックではまったく違う乗り物だけど、同じく川で遊ぶ者同士、あたたかく迎え入れてくれました。

トラブル!カヤックの上陸に一苦労

よく滑るスロープで、上陸にひと苦労

よく滑るスロープで、上陸にひと苦労。

このヨットクラブがドナウ川に敷いてくれた上陸用のスロープは、カヤックを引っ張り上げるには少し斜度がきつすぎました。斜度がきついばかりか、鉄板を敷いて作ったスロープなので、ドイツの100円ショップで買ったフニャフニャのスリッパみたいなサンダルでは、足元が滑ってしまってカヤックを引き上げることができません。つまりはスロープが悪いのではなく、私のサンダルが悪いのです。このままで日が暮れてしまいました。真剣に、靴を買い換えようと決心した出来事です。

アウトドア女子、暴食に走る

コマールノの街で食べ歩きの旅

美しい街並みのコマールノへ食べ歩きの旅に。

そんなコマールノでの滞在初日。私は、アウトドア女子定番のあの悩みに直面していました。毎月のアレです。私の場合はまず、食欲が爆発するタイプで。女性ならきっとわかってくれるでしょう。そういう毎月のサイクルとうまく付き合うことが、アウトドアや長旅を楽しむうえで不可欠なスキルなのです。毎日テント泊の川旅の最中、外食ができる町に滞在できたのはかなりラッキーなことでした。

よく歩きよく食べる

今回、川下りをしながらキャンプする旅の出費の大部分はなんといっても、食費。

ありがたいことに、スロバキアの物価はかなり安いのです。ドイツ、オーストリア、スロバキアと移動してきて、みんなユーロ通貨だけど、スロバキアが群を抜いて安いのです。ドイツは全体的に物価が高いながらも、食に関しては観光地でなければ比較的良心的だったのが、オーストリアに入って食の物価も上がって困ってしまった私。それがスロバキアに入って急にドーンと下がったのです。

食べ歩きのスタートは、一個80円のアイスから

食べ歩きのスタートは、1個80円のアイスから。

このアイスは約80円。町中のアイス屋さんが似たような価格設定で、1日に2回もアイスを食べてしまいました。よく歩き、よく食べる1日の始まりです。

体力作りに食べた肉料理

体力作りに、やっぱり肉でしょ!

これはチキンカツとガーリックライスにサラダが添えられたワンプレート。私の手よりずっと大きなカツが2枚載って、約500円。

1枚持ち帰り、川を下りながら食べたチキンカツ弁当

川を下りながら食べたチキンカツ弁当。

1枚残しておいて、自分でトンカツソースをかけてカツ丼風の弁当を作り、翌日カヤックに乗りながら食べたのは良い思い出。

1日のシメのピザ

1日のシメにピザ。

それからピザ。この大きさでチーズもたっぷり載って約700円はお得。ちなみに近くの喫茶店で150円くらいだったココアにもビックリ。なぜならホイップクリームがこれでもかとこんもり載っていたから。しかもそのココアは、チョコ味のプリンを砕いて入れたみたいな、濃厚でトロける食感で、もはや飲み物というよりデザート。興奮して飲み干してしまったため、写真はありません。

これだけ1日中好きに外食しても1,500円くらだから、驚きの物価。だけどなにより驚いたのは、この1日中外食した値段が、スロバキアの首都ブラチスラバの観光の中心地にある一般的なレストランで1食、お腹いっぱい食べた値段とあまり変わらないということ。

パドルデイズと物価の推移

ブラチスラバとコマールノは、私がカヤックでかなりのんびり漕いで3日分の距離でした。川下りの旅の場合、1日にどれだけ進むかは距離の問題ではなく、どれだけのスピードで川が流れているかということに左右されます。なのでここでは仮に、ブラチスラバとコマールノの間をkm換算の距離ではなく、漕いだ日数に換算して「3パドルデイズ」と表現します。

右も左もずーっと林が続いているドナウ川

右も左もずーっと林が続いているのは、ドナウ川もミシシッピ川も似ているところ。

3パドルデイズは、私の著書『ホームレス女子大生川を下る』の前半部分、アメリカのミズーリ川をカヤックで下ったときの出発地スーシティからオマハ間に相当します。どちらもネブラスカ州という同じ州内で、物価は同じ。なんなら、km換算の直線距離でいえば、ブラチスラバ・コマールノ間の方がずっと近いのです。

ヨーロッパ内の物価の移り変わりというのは、本当に不思議です。EU加盟国内、関税もなければ人材も物資もほぼバリアフリーで行き来しているはず。同じユーロ通貨でも、国と地域によって物価がこれだけ違うのは一体どうしてなのか?

私がコマールノの外食で豪遊したのには、以前書いた記事の最後に紹介したように、旅をしているおばあさんが私のカヤック旅に関心を持って20ユーロを握らせてくれたのが理由でもありました。ハンガリーに出るとユーロ通貨ではなくなるので、その前に使ってしまおう。というつもりだったのに、好きに飲み食いしても結局20ユーロは使いきれず。

私が少し貧乏性で派手な外食の仕方を知らないせいもあるかもしれません。反対に、お金持ちというのはお金のいろいろな使い方を知っているからこそ、お金持ちなのでしょう。

川に浮かぶPのサインは、大きな船の係留スペースの目印

川に浮かぶ「P」のサインは、大きな船の係留スペースの目印。大きな船と一緒に、ドナウ川を下る毎日です。

お金を使えるようなお店がない自然の中を進むのが、川下りの旅。たまにこうして町で散財できると、値段以上に満足度があります。そして、お金を持つ意味があるという当たり前のことを再確認して、川下り中の私は実質無職でありながらも、「よし、働かねば」と思うのです。どこか地味に思われがちな川下りの旅。だけど、少しのお金で値段以上に満足して、そして働くモチベーションにも繋がるという点では、若い人こそ一度は川下りの旅を体験してみるべきなのかもしれません。

私が書きました!
剥製師
佐藤ジョアナ玲子
フォールディングカヤックで世界を旅する剥製師。著書『ホームレス女子大生川を下る』(報知新聞社刊)。じつは山登りも好きで、アメリカのロッキー山脈にあるフォーティナーズ全58座(標高4,367m以上)をいつか制覇したいと思っている。
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