トレッキングにおける時計の必要性
そもそもトレッキングに時計が必要か、疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。まずはトレッキングにおける時計の必要性を解説します。
トレッキング中は時間管理が重要
トレッキングにおいては、時間の管理が重要です。予定通りにトレッキングを進めることで、体力の消耗や日が暮れることによる遭難などを防げるためです。
時間を確認するだけならスマホで十分かもしれません。しかしトレッキング用の時計には、コンパスや気圧計などの便利な機能がそろっているだけでなく、防水機能や耐衝撃機能も備わっています。一つの頑丈なデバイスで多くの情報を全て確認できることは、トレッキング用の時計ならではのメリットでしょう。
トレッキング用の時計に求める機能
トレッキング用の時計には、普通の時計にはないさまざまな機能が搭載されています。特に「コンパス・気圧計・高度計」はトレッキング用時計の3大機能といわれています。ほかにもさまざまな便利機能があるので、トレッキング用の時計を選ぶときの参考にしましょう。
求める機能
コンパス
3大機能の1つめ、コンパスは、自分がどの方角に向かうべきかを知るために必須の機能です。特にデジタル時計の場合は、スイッチを押すだけで方角をディスプレイに表示してくれるので便利です。
アナログ時計の場合は、太陽の位置とベゼルに振られている目盛りを見ることで、方角を知ることができます。アナログ時計での方位確認は、上級者向きかも知れません。
気圧計
3大機能の2つめ、気圧計の用途は、天候の変化を予測することです。現在の雲行きと今までの気圧の変化を把握することで、これから天候がどのように変わるのか予測を立てられます。
山は天候が変わりやすいので、天候を予測できることはトレッキングにおいて重要な要素です。モデルによって気圧の数値だけを確認できるものと、グラフで気圧の時間的推移を直感的に見られるものがあります。
高度計
3大機能の3つめは高度計です。気圧をもとに現在地の高度を教えてくれる機能です。高度を知ることで、自分がどれだけ進んだかが分かります。GPSと合わせて現在地を把握するのに役立ちます。
高度計を使う際の注意点は、調整が必要なケースがあることです。例えば、低気圧が近付いている場合は、同じ場所でも気圧が変わるため、高度が正しく表示されない可能性があります。そのため、登り口や山頂など高度が正確に分かる場所でこまめに調整をする必要があるでしょう。
温度計
現在の外気温を教えてくれる機能です。高度が高くなるほど気温は低くなるので、体調管理に役立ちます。特に標高の高い場所では、感覚だけで気温を判断すると服装を誤る可能性があるため危険です。温度計は単体で売っていますが、内蔵されている時計を買っておけば、いつどんな状況でも温度確認ができるのでより便利です。
注意点は、腕に装着していると体温を拾ってしまい、正確な数値を計測できない可能性があることです。正確な気温を測るには、腕から一定時間外しておいたり、リュックに装着したりすると良いでしょう。
GPS
GPSがあれば現在地を把握できるので、遭難を未然に防ぐことができます。GPS機能を使って、これまで歩いてきたルートの確認もできるので、家で見返すときも役立つでしょう。
スマートウォッチタイプや、スマホと連携可能な時計であれば、スマホの地図を使ってナビゲーションができることも便利です。GPS機能は、3大機能と合わせてほぼ必須の機能といっても過言ではないでしょう。
トレッキング用の時計の選び方
トレッキング用の時計には、登山に役立つさまざまな機能があることが分かりました。自分に合った1本を探すためのポイントを4つ解説します。
時計の選び方
欲しい機能が搭載されているか
トレッキング用の時計には数多くの機能が搭載されていますが、中でも自分が欲しい機能が過不足なく搭載されているかチェックしておきましょう。トレッキング用の時計には、上記で紹介した機能以外にも以下のような機能が搭載されていることがあります。
- バックライト
- 日の出・日の入り時刻
- 心拍数メーター
- 消費カロリー
一般的に、搭載機能が多いほど値段は高くなる傾向にあります。必要以上に高スペックの時計を買ってしまうと、値段の割にうまく使いこなせない可能性があるでしょう。自分に必要な機能のみが搭載されている時計を選ぶことが理想です。
水や衝撃に強いものを選ぶ
トレッキング中、意図せず岩場に時計をぶつけてしまったり、急な雨で時計がぬれてしまったりすることが考えられます。何らかの衝撃で時計が壊れてしまうと、時間や現在地を把握できず遭難してしまう恐れがあります。
万が一のリスクに備えて、できるだけ衝撃や水に耐えられる時計を選んでおくと安心です。目安としては、10気圧以上の防水性能を備えたものを選ぶと良いでしょう。
10気圧とは、100mの水圧に耐えられることを意味します。10気圧の防水能力があれば、雨にぬれたり手を洗ったりする程度では壊れません。
川遊びで水中に潜りたい人や10気圧では心配な人には、20気圧以上のモデルがおすすめです。
簡単に操作ができるか
機能面も大事ですが、操作のしやすさも重要なポイントです。トレッキング中は体を激しく動かすシーンも多いので、時計を確認するときに手間がかかっては使いづらいと感じてしまうでしょう。
操作が簡単とは、ワンタッチで必要な情報が表示されるか、グローブをはめたままでも操作しやすいかを指します。そのため、ボタンが小さすぎるものは使いづらい可能性があります。失敗を防ぐなら実際に店舗に行き、グローブをはめた状態での操作性を確かめると良いでしょう。
文字盤が見やすいか
トレッキング用の時計にはアナログやデジタルだけでなく、スマートウォッチタイプもあります。視認性が高いのはアナログタイプで、大雨などで視界が悪い状況でも時間を把握しやすいでしょう。液晶画面では目がチカチカしてしまう人には、アナログタイプがおすすめです。
液晶画面が気にならない人には、色使いも鮮やかなデジタルタイプやスマートウォッチタイプが向いています。アナログタイプよりも搭載機能が豊富な傾向にあるので、機能面重視の人にもおすすめです。ただし、スマートウォッチは充電が必要なので、長時間の使用には向いていません。
人気のトレッキング用時計
ここからは、おすすめのトレッキング用の時計を紹介します。まずは人気のモデルを4つ紹介します。
スント「コアアルファ ステルス」
ミリタリー風な見た目が特徴で、軍用規格のテストにクリアした堅牢な設計で作られたデジタル時計です。3大機能はもちろん気象情報を教えてくれる機能も搭載しています。バックライトが赤色に光るのも特徴的で、暗視ゴーグルをしていても視認可能です。
時間はディスプレイの中央に大きく表示されており、視認性も問題ありません。防水機能は水深30mまで使用可能なので、ほとんどの場面で不便なく使えるでしょう。バンドはテキスタイル素材でできており、耐久性もバッチリです。
スント コアアルファ ステルス
カシオ「プロトレック PRG-340SC-5JF」
同メーカーで人気の『プロトレック』シリーズのラインナップです。薄型化した液晶の採用により、厚みを抑えながら二層構造化を可能にしています。樹脂製品の製造工程で発生した端材をバンドとして再活用。石や砂などをイメージしたデザインで、表と裏で異なる二層仕上げになっています。アウトドアギアにふさわしい素材と機能を備えています。
ディスプレイは視認性に配慮されており、時刻は判読性の高い太いフォントを採用することで、バックライトを点けたときも簡単に視認可能です。防水機能は10気圧、3大機能も搭載されています。ソーラー駆動のため、トレッキング中に電池が切れてしまう心配も少ないでしょう。
カシオ プロトレック PRG-340SC-5JF
シチズン「プロマスター『ダイレクトフライト』AT8195-85L」
アウトドアでも街でも使えるスタイリッシュなデザインに加え、定期的に電池交換をする必要のないエコドライブ機能、そして独自のチタニウム技術により堅牢さを誇るプロマスターシリーズ。20気圧の防水機能も嬉しい限りです。夜や暗闇でもはっきりと文字盤が見える夜光仕様なので、ボタンを押したりする手間も省けます。
まるで飛行機のコックピットのような時計で、日中米欧の世界4エリア電波受信機能が搭載されているのも、大きな特徴です。
シチズン プロマスター AT8195-85L
セイコー「5スポーツ フィールドストリートスタイル SBSA167」
「5スポーツ」は1968年にスタートし、「自動巻き」のほか、「防水(10気圧)」「3時位置のデイデイト表示(曜日と日付)」「4時位置のりゅうず」「耐久性に優れたケースとバンド」という機能を基本としつつ、さまざまなデザインのものがラインナップされています。SBSA167はリュウズが3時位置のマットな質感のオールブラックモデルです。
アナログタイプなので、時計を見れば直感的に時間を把握できます。機械式時計なので電池の寿命の心配がないのも特徴の一つです。防水は10気圧なので川遊びなどには注意が必要です。
セイコー 5スポーツ フィールドストリートスタイル SBSA167
GPS搭載のおすすめのトレッキング用時計
GPSは3大機能と合わせてほぼ必須ともいえる重要な機能です。GPS機能を搭載した、おすすめのトレッキング用時計を3つ紹介します。
ガーミン「フェニックス 5 サファイア」
トレッキングだけでなく、あらゆるスポーツに対応したスマートウォッチです。充電式の時計ながら、ウォッチ機能と心拍計機能だけなら最大14日間稼働できることが特徴です。防水性能は100mなので川遊びをするときも安心でしょう。
ディスプレイは1.2インチと十分な大きさで、半透過技術によりどんな環境下でもはっきりと視認できます。3大機能の搭載はもちろん、スマホアプリと連携すれば音楽の制御やメールやメッセージの通知を受け取ることも可能です。アプリを通じて、ソーシャルメディアへの投稿もできます。
バンドもレザーやシリコン、メタルと幅広いラインナップから選べ、簡単に着脱可能な点も魅力的です。
ガーミン フェニックス 5 サファイア
カシオ「プロトレックPRT-B50T-7JF」
3大機能に加え温度計と歩数計を搭載した、同メーカー人気シリーズの一つです。時計はアナログタイプで、文字盤の数字を大きくすることで視認性を高めています。ベゼルはグローブをはめながらでも操作しやすいよう大型に設計されており、メタリックなボディと組み合わせることでワイルドな印象を与えています。
屈強な見た目とは裏腹に、バンドは軽量のチタンでできているため、重量は軽く日常で使っても違和感はありません。防水性能は10気圧、さらにスマートフォンと連携して時刻設定も可能です。ベゼルに刻まれた方角を表すオレンジ色のNがアクセントとなっています。
カシオ プロトレックPRT-B50T-7JF
スント「9 BARO」
最大14日間稼働可能な、長時間バッテリーと高い耐久性が売りのスマートウォッチです。GPSをオンにさせた状態でも最大170時間稼働できるので、数日間の旅行でも安心です。米国国防総省軍用規格をクリアしており、極限温度や衝撃、砂塵などあらゆる状況下でも問題なく使用できます。
スマホと連携することで、毎日の睡眠時間を計測できたり、メッセージなどの通知を送れたりするので、日常でも活躍するでしょう。防水性能は100m、ディスプレイはタッチでの操作が可能なのも便利な点です。
スント 9 BARO
まとめ
手足がふさがっていることも少なくないトレッキングにおいては、一目で時間を確認できる時計を持っていくことをおすすめします。トレッキング用の時計は、アウトドアの過酷な環境でも使えるよう頑丈に作られているだけでなく、普通の時計にはないさまざまな便利機能を搭載しています。
特にコンパス・気圧計・高度計は3大機能と呼ばれており、トレッキング用の時計には必須の機能です。3大機能に加えGPS機能もあるとより便利です。
トレッキング用の時計を選ぶときは、まずは自分が求めている機能を搭載しているものを選びましょう。防水性や衝撃耐性などの耐久力も見逃せません。視界が悪いときでも、一目で情報を確認できる視認性も重要です。この記事を参考に、自分にあった1本を探しましょう。