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キャンピングトレーラーとは
『キャンピングカー』と『キャンピングトレーラー』の違いをご存知でしょうか。まずはキャンピングトレーラーの定義を確認しておきましょう。
運転席がない「旅する家」
キャンピングカーとキャンピングトレーラーの大きな違いは、『運転席があるかないか』です。
キャンピングカーは寝泊りできる設備が揃った車です。ベッドやキッチンが備わっており、手軽にオートキャンプやアウトドアライフを楽しむことができます。
一方キャンピングトレーラーは居住に特化した空間で、移動の際はほかの車両でけん引します。広々としたスペースが確保できる、『移動する家』といえるでしょう。
キャンピングカーより居住空間が広いため、海外ではキャンピングトレーラーで生活する人もいます。
小型キャンピングトレーラーのメリット
キャンピングトレーラーの中でも、小型のタイプは特に多くのメリットがあります。具体的にどのようなおすすめポイントがあるのか見ていきましょう。
メリット
750kg以下ならけん引免許は不要
キャンピングトレーラーを移動させるには『けん引免許が必要』と考えている人が多いのではないでしょうか。実のところ、重量が750kg以下のトレーラーであれば免許は不要です。
実際、小型のキャンピングトレーラーの多くは750kg以下に抑えてあるので、普通免許があればけん引できるのです。
キャンピングトレーラーは、見た目が大きくても、大人が手で押して移動できるほど軽いのです。
『小型』は、小さくて不便そうという印象を受ける人もいるかもしれませんが、750kg以下でも4人家族がゆったりと過ごせるモデルが多々あります。
乗用車でもけん引が可能
けん引というと、パワーがある4WD車が必要なのでは?と考えてしまいがちです。
しかし、750kg以下の小型キャンピングトレーラーは普通車でも問題なくけん引が可能です。実際、1200ccや1600ccクラスの普通車でけん引してキャンプを楽しむ事例もあります。
さらに、軽量タイプのキャンピングトレーラーの中には、軽自動車でけん引できるものもあります。
気をつける点があるとすれば、『どんな車両でけん引するか』よりも、けん引に使うためのフック、『ヒッチメンバー』を正しく取り付けることでしょう。
アウトドアを意識した車を所有している場合は、専用設計のヒッチメンバーが販売されている場合があります。しかし、そうした専用ヒッチメンバーがない車両は、ショップでオーダーして製作してもらう必要があるでしょう。
運転は比較的簡単にできる
けん引車両の運転は難しいといわれますが、これはトラックや大型車両の話です。実は小型車両のけん引はそこまで難しくありません。
多くのキャンピングトレーラーはタイヤが車体の中央に付いているため、車体を大きく振らなくても曲がることができます。走る・曲がる・止まるは少し練習するだけで簡単にできるようになるでしょう。
バックや車庫入れはやや難易度が高くなります。しかし、750kg以下の小型キャンピングトレーラーは大人が手で押せば容易に動かせるので、必要に応じてけん引用車両から切り離し、手押しで対応することもできます。
購入価格が安い
キャンピングカーと比較すると、キャンピングトレーラーは購入価格を大幅に抑えることができます。
たとえば、それなりに広いスペースが確保できるキャンピングカーの場合、300万〜500万円程度必要になりますが、同じくらいの大きさの居住空間を持つキャンピングトレーラーを購入する場合、費用は150万〜300万円ほどで済みます。
また、車検などのランニングコストもキャンピングトレーラーのほうが安く抑えられるのがメリットです。
小型キャンピングトレーラーのデメリット
小型キャンピングトレーラーには多くのメリットがありますが、デメリットが全くないわけではありません。キャンピングトレーラーのデメリットを確認しましょう。
デメリット
高速料金は割高になる
高速道路を走る場合、キャンピングカーは車と居住空間が一体になっているので、車両の料金だけで済みます。
しかし、キャンピングトレーラーの場合、けん引区分の料金もかかるため、高速料金はキャンピングカーより割高になることがあります。
料金は有料道路がどのような区分をしているかによって変わりますが、場合によっては2つ上の区分で料金が請求されることがあり、大きな出費となります。
また、キャンピングトレーラーをけん引するためのヒッチメンバーを設置した場合、ETCを再度セットアップする必要があり、これにも費用がかかります。
高速道路を利用した長距離の移動が多い場合、購入前に通行料を確認しておくとよいでしょう。
【参考】首都高速 けん引自動車のETC無線走行について
https://www.shutoko.jp/fee/etc/towing/
走行中はトレーラー内にいるのはNG
キャンピングカーの場合、移動中も居住スペースにいることが可能ですが、キャンピングトレーラーは走行中にトレーラー内にいることはできません。
これは走行中のトレーラー内に乗車することを禁じる法律があるためです。移動中はけん引車に乗ることが定められています。
つまり、移動中にはキャンピングトレーラー内の設備を使用できないことになるので、キャンピングカーと比較するとデメリットのように感じるかもしれません。
しかし、居住スペースにいることができるキャンピングカーであっても、走行中はシートベルトをつける義務があります。同乗者がベッドで寝たり、立って移動したりできません。
走行中にトレーラー内にいられないとしても、実際には大きなデメリットではないといえます。
保管する駐車場を用意しなければいけない
けん引する車を保管する駐車場とは別に、キャンピングトレーラー専用の駐車場が必要です。
敷地内や家の近くに土地があり、駐車場を自前で用意できる人にとっては大きなデメリットではありませんが、駐車場を借りる場合は駐車場代が維持費としてかかります。
また、駐車場は家から直線距離で2km以内の場所でなくてはいけません。これはキャンピングトレーラーにも車庫証明が必要なためです(自治体によっては車庫証明が不要なところもあります)。
けん引する車とキャンピングトレーラーとを連結するためのスペースがあるかどうかも確認したいところです。狭い駐車場や斜面がある駐車場は、けん引したり切り離したりするのが難しい場合があります。
駐車場の使い勝手を確認するためにも、購入前にキャンピングトレーラーをレンタルして確認してみるのも一案です。
小型キャンピングトレーラーの維持費
小型キャンピングトレーラーはキャンピングカーに比べ、比較的維持費が安いとされています。どのような維持費がかかるか確認しましょう。
維持費
車検代・自動車税
キャンピングトレーラーにはエンジンやシャシーといった駆動装置が付いていませんが、車検は必要です。小型キャンピングトレーラーの場合、2年に一度車検を受けます。
また、普通乗用車と同様に、車検時には重量税と自動車税がかかります。
金額は市町村ごとに異なりますが、重量税は8000円前後です。自動車税はけん引自動車として納付し、1万円前後になります。
また、車検の際は検査手数料の約2万円に加えて、自賠責保険料として4600円程度が必要になります。
1年に換算すると、最低でも約3万円の維持費がかかることになるでしょう。
しかし、ハイエースなどをベースとした8ナンバーのキャンピングカーは車検に11万円程かかります。けん引車の車検費用がいくらくらいかかるのかにもよりますが、キャンピングカーと比べてキャンピングトレーラーの車検費用がとりたてて高いわけではありません。
自動車保険料
自動車保険は、万が一を考えて、できるかぎり加入しておくことをおすすめします。保険をかける場合、必ず加入する自賠責保険のほか、必要に応じて任意保険も検討してみましょう。保険料は賠償や補償の範囲・金額などによって変動します。
トレーラーのけん引中に事故を起こしてしまった場合、一般的にはけん引車の自動車保険が適応されます。しかし、事故発生時の車両修理費を保障する車両保険は、トレーラーが適応範囲外であることも少なくありません。
そのため、トレーラーに車両保険をつけたい場合、キャンピングトレーラー自体に自動車保険をかけることが必要です。
また、けん引車が自動車保険に加入しており、なおかつその保険がトレーラーの事故を保障する内容であっても、『けん引車から切り離した後の事故』には保険が適用されません。
さまざまな状況を考えて、キャンピングトレーラーにも保険をかけておくと安心でしょう。任意保険料は、車両保険付きで約5万円前後が相場です。
おすすめの小型キャンピングトレーラー
小型キャンピングトレーラーにはさまざまな車種があります。その中でも今回は、初めて小型キャンピングトレーラーを買う人におすすめの車種を紹介します。
おすすめの車種
Happier Camper「HC1」
Happier Camperが販売する『HC1』は、レトロチックな外観と、全長が3050mmで車重は500kgを切るという、超軽量コンパクト車体が特徴です。
レイアウトを自由自在に配置できるため、キッチンやクーラーボックス、トイレなどを取り外すことが可能で、フルフラットのスペースにすれば大人5人が横になれるスペースを作れます。
キャンプに行った際のテント代わりにしたり、キャンピングトレーラーとして単体で活用できたりする自由度の高さが魅力といえるでしょう。
また、車体のカラーバリエーションが豊富なのも嬉しいポイントです。
インディアナRV「エメロード406Vエディション プレミアム」
フランスに本社を持つトリガノ社のキャンピングトレーラーを輸入する、インディアナRVがオリジナル装備を搭載させたモデルが『エメロード406Vエディション プレミアム』です。
インディアナRVが日本の使用環境に合わせてカスタマイズしているので、日本でのキャンプに最適といえます。
キッチンやコンロといった基本的な装備が整っているうえ、大人5人が横になれるスペースの広さが魅力的です。バッテリーと充電用ソーラーパネル搭載で、電源がない場所や災害時も数日間は過ごせるのも魅力です。
バンショップミカミ「CORO」
軽自動車のキャンピングカーを中心に販売している、バンショップミカミの軽キャンピングトレーラーが『CORO』です。
車重が550kgを切る軽量な車体で、軽自動車でもけん引できます。また、全長は3400mm、高さが1905mmと非常にコンパクトで、高さが2m以内の駐車場にも停められます。
コンパクトでありながら設備は充実しており、ベッドをフルに展開すると大人4人で寝ることが可能です。シンプルでかわいいデザインも人気です。
日本のキャンプ事情に合った、おすすめの1台といえます。
ADRIA「Aviva 360 DD」
50年以上の歴史を持つADRIAの定番車両が『Aviva 360 DD』です。
キッチンやトイレ、コンロなどの基本的装備が全て揃っているほか、シャワールームまで付いた充実度の高い車両です。
また、テーブルや椅子のあるくつろぎスペース『ダイネット』をベッドルームにすることができ、全部のベッドを展開すると大人3人がゆったりと眠れます。この合理的な設計のおかげで、全長5530mmというコンパクトさながら、広々とした印象が強い車両です。
長い歴史だけでなく、キャンピングトレーラーが日本より一般的な欧州のブランドだけに、その実力は折り紙付きといえるでしょう。
キャンプ以外の使い方もおすすめ
キャンピングトレーラーの購入を迷う理由の1つに、『普段は使わない』ということが挙げられます。用途が限られる車両ではありますが、キャンプ以外にも生かせる場面は多くあります。
キャンプ以外の使い方
普段は部屋、災害時は避難場所として使用
キャンピングトレーラーは車と切り離して保管するため、普段は1つの部屋として使用することが可能です。リモートワークのための仕事部屋・作業用の書斎・子どもの遊び場など、さまざまな使い方ができそうです。
万が一、大型地震や台風・洪水などの災害が発生した際には、シェルターや避難先としても使用可能です。
さらに、一時的な物置として使用する人も少なくありません。車を保管する以外には用途がなかった駐車場を有効活用できるでしょう。
ペットと一緒に旅行も楽しめる
最近ではペット同伴が可能な宿も増えてきましたが、その数はまだ十分とはいえません。また、ペット連れの旅行は荷物が多くなることや、宿泊先での環境変化にストレスを感じるペットもいることから、旅行自体を諦める人も少なくないでしょう。
しかし、キャンピングトレーラーをけん引できれば、十分な荷室スペースを確保することができます。また、普段からペットをキャンピングトレーラーに慣らしておき、宿の代わりにトレーラーを使えば、ペットの負担も軽くできます。
ちなみに、走行中にトレーラーの中に乗ることはペットも含めて法律で禁止されています。旅行に出かける際は、ペットもけん引車に乗せてあげましょう。
まとめ
アウトドア好きで旅行やキャンプによく出かける人であれば、一度は憧れるキャンピングトレーラーですが、『けん引免許が必要で、高価である』と思われがちです。
しかし、小型のものであれば特別な免許は不要で、比較的簡単に手に入れることができます。
今回は選ぶ際の注意点やおすすめの車種、キャンプ以外の使い方までさまざまなポイントを紹介しました。
キャンピングトレーラーの購入を考えている人はもちろん、欲しいと思いながらも諦めていた人もぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。