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海外の旅

2026.07.01

ヨットで世界一周中の家族、座礁を経て再び海に。こんどはフィリピンへ!

ヨットで世界一周中の家族、座礁を経て再び海に。こんどはフィリピンへ!
みなさんこんにちは。「ヨットで旅する家族」の前田家です。今回は、これまでの旅の記録から少し離れて、私たちの近況をご報告したいと思います。
昨年、私たちは台湾の離島・東吉島で座礁し、船は大きなダメージを受けたところまでを、以前の記事でシェアしました。今回、ついにその続きをご報告できる日がやってきました。
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突然の旅の中断

船体を修理する夫の全さん。

事故直後は、修理にどれほどの時間と費用がかかるのか見当もつかず、とにかく目の前の現実を受け入れるだけで精一杯でした。3年間、家族の住まいであり、旅を共にしてきた船の悲しい姿を見るたびに、「本当にもう一度海へ戻れるのだろうか」という不安が頭をよぎりました。しかし、この1年は決して苦しいことばかりではありませんでした。

むしろ、旅を続けてきた中で最も多くの人の優しさに触れた1年だったように思います。

たくさんの人に支えられて

ここまでの道のりは、自分たちだけではとても乗り越えられませんでした。台湾の方々から受けた親切の数々には、感謝してもしきれません。そのほかにも、日本から駆けつけてくれた家族やセーラー仲間、そして遠くから応援してくださった皆さんに、心から感謝しています。

お世話になった台湾の方々。ここには載せきれませんが、本当にたくさんの方に助けていただきました。
座礁した東吉島で出会ったIさん(右)。旅の再開を応援し続けてくれ、出航前にはたくさんのお菓子を届けてくれました。お礼に浴衣をプレゼントしました。
 
通い慣れた港ともお別れです。

シェアハウスで過ごした特別な日常

修理期間中、私たちは台南のシェアハウスで生活していました。常に移動を続けるヨット旅をしていた私たちにとって、久しぶりにひとつの場所に腰を据える暮らしでした。

「家族でシェアハウス暮らし?」と驚かれるかもしれませんが、国籍も年齢も異なる人たちとの共同生活は、新鮮な発見の連続でした。海の上では出会えなかった人々との交流は、私たち家族にとって貴重な経験となりました。

シェアハウスのリビングスペースは、なんと和風。
子供たちはここでオンライン授業を受けたり、シェアメイトと交流したり、楽しい時間を過ごしました。
 

1年越しの再出航

そしてついに、修理を終えた船で再び海へ出る日がやってきました。最後まで作業に追われ、出航したのは、なんとビザ期限の最終日。この慌ただしさは、なんとも私たちらしい旅の再開だったかもしれません。

1年ぶりに陸から海へ。緊張の瞬間。

1年前、自力航行ができず、曳航されながらたどり着いた台南・安平港。あのときは不安と不甲斐なさでまさにどん底の気分でしたが、ついに笑顔でこの日を迎えられたことに、胸がいっぱいになりました。

1年前にも対応してくれたコーストガードと移民局の方々に見送られて。

ヨットで旅する家族、再び海へ

たくさんの思い出が詰まった台湾を離れ、次に向かったのはフィリピンです。1年ぶりに水の上を滑るように進むヨットの感覚は、どこか現実味がなく、不思議な気持ちでした。しかし、フィリピンまでの航海を続けるうちに、私たちは少しずつヨット旅の感覚を取り戻していきました。

「またこの船で旅をしたい」

その思いに支えられながら、修理を重ねてきました。そして今、その願いがようやく叶い、再び海の上へ戻ってくることができたのです。

感動にどっぷりと酔いしれたいところでしたが、海はそんな私たちに甘くありませんでした。出航直後からトラブルが続き、後半は天候が不安定になる日も。さらに長距離航海の必需品である自動運転装置が、出航直後に動かなくなるという、まったく嬉しくないサプライズまで待っていました。その結果、目的地までの4日間、夫と二人で交代しながら舵を握り続けることに。

再出航を祝うどころではない、ハードモードな航海となりました。

それでも海の上は、やはり特別な場所です。潮風の匂い。船体を伝わる波の振動。揺れる船内。そして喉の奥に広がる、あの甘酸っぱい感覚。そのすべてが懐かしく感じられました。

子供たちにとっても長い1年でした。

修理した箇所に問題はないか。新たなトラブルは起きないか……。常に気を張り続けた航海でしたが、無事にフィリピン・サンフェルナンド港に錨を下ろすことができました。

「本当に海へ戻ってきたんだ。」

その実感が、ようやく静かに込み上げてきたのでした。

フィリピンの海の玄関口・サンフェルナンドへ

サンフェルナンドは、日本や台湾など北方からやって来るセーラーたちにとって、フィリピンの海の玄関口として知られる港町です。1年越しでようやく訪れることができました。

ヨットでの入国は、空路とは少し勝手が違います。検疫、税関、入国審査をすべて自分たちで行わなければならないため、港に錨を下ろしたあと、さっそくカヤックに乗って入国手続きへ向かいました。

実はこのカヤックにも忘れられない思い出があります。座礁事故の際に海へ流されてしまったものなのですが、後日、東吉島の海岸に漂着しているところを島の方が発見し、私たちが滞在していた台南まで届けてくれたのです。

思い出の黄色いカヤック。

この1年を振り返ると、そんな心温まる出来事が数え切れないほどありました。だからこそ今は、たくさんの人の思いや応援も一緒に乗せて海を進んでいるような気がしています。

上陸して検疫を受ける様子。
続いて、移民局と税関へ歩いて向かいます。

移民局でパスポートにスタンプをもらい、すべての手続きが済むと晴れて入国が許可されます。飛行機であれば2時間の道のりですが、台湾を出てからすでに5日が経過していました(到着した次の日に手続きをしたため)。

遠回りの先にあったもの

人生も旅も、いい風が吹く時もあれば、そうではないときもあります。予定通りに進まないこともあれば、思いがけないトラブルに見舞われることもあります。今回の座礁事故は、まさにそんな出来事でした。けれど遠回りをしたからこそ出会えた人たちがいて、見えた景色がありました。そして何より、人の優しさや旅を続けられることのありがたさを、以前より深く感じられるようになりました。この経験があったからこそ、これから出会う景色や人との時間が、より一層かけがえのないものに感じられそうです。

1年前には想像もできなかった形で、私たちは再び海へ戻ってくることができました。これからも立ち止まることがあっても、家族で力を合わせながら行けるところまで進んでいきたいと思っています。

旅を通してだんだんとできることが増えて、頼もしくなってきた子供たち。

今後もヨット旅ならではの視点で、海から見える景色や旅先での出会い、日々の出来事をお届けしていきます。引き続き、一緒に旅をしている気分で楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは、また次回。

著者画像

前田家さん

旅する一家

4歳の娘と6歳の息子を連れて、セーリングヨットSANTANAで放浪中の4人家族。2022年3月、カリフォルニアを出航。寄り道をしながらゆっくりと世界一周を目指します。海の上でサステナブルな暮らしを模索中。

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