キャンプしながらポプラの新芽を収穫!ユーコンの森には楽しみがいっぱい | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.06.14

キャンプしながらポプラの新芽を収穫!ユーコンの森には楽しみがいっぱい

キャンプしながらポプラの新芽を収穫!ユーコンの森には楽しみがいっぱい
2026年4月、マイナス40度を下回る日々が続き、大雪にも見舞われた記録的な冬が終わりを告げました。ユーコンで迎える8回目の春夏シーズンの始まりです。今年はどんなソト遊びをしようかな。ロードトリップに出かけるのか、はたまたカヌー旅にするのか。いずれにしても資金が必要ですね。今回はユーコンでソト遊びしながらお小遣いを稼ぐ、そんな夢のような方法をみなさんにご紹介します。

ユーコンでソト遊び暮らしを実現! 7年の軌跡 第7回

2026年初キャンプへ出発

ホワイトホースからキャンプ場に向けての道中の町、カークロスでひと休み。青空と雪山のコントラストが美しい。

4月下旬の週末、2026年の初キャンプに出掛けました。今回もソロで、行きつけのコンラッド・キャンプ場のテントサイトへ。いいロケーションなのにいつも誰もいないという、穴場中の穴場です。自宅からクルマで約1時間のドライブ、思えばこんなに遠くへクルマを走らせるのも昨秋以来でした。さて、キャンプ場の入り口に到着しましたが、サイトへ続く道路には雪が残っています。まぁ、行けるやろうと思ってそのままクルマを進めてみましたが、2メートルも行かないうちにスタック。前にも後ろにも動けなくなってしまいました。

(最悪や。ガソリンもそんなに残ってない。動かせなかったらここで一晩明かすことになる!?)。そんなことを考えながら車体の下の雪をシャベルでかき出していると、一台のキャンピングトラックがやってきました。

「出られないのかーい?」と、ブリティッシュアクセントの英語のおじさん。

「困ってるんだよぉ」と、日本語訛りの英語で返します。

結局その親切なおじさんがトラックと私のクルマをロープで繋ぎ、雪の中から引っ張り出してくれました。聞くとスコットランドからの観光客とのことでした。「長年ここに暮らしていても、まだまだ学ぶことがあるんだね」と笑顔で言い残し、おじさんは去って行きました。確かに、雪の深さを確かめてからクルマを進めるべきでした。ユーコンでの生活、8年目もまだまだ学ぶことはいっぱいです。結局その日のキャンプは断念しました。

お気に入りのキャンプサイトで止まっていた時計が動き出す

昨年幾多の時間を過ごしたサイトに到着。今は裸に近いアスペンの木々も、あと1週間もすれば一斉に芽吹き、森の姿を一変させる。 

雪に行く手を阻まれたあの日から2週間、連日気温は10度付近まで上がり、街中の雪はほとんど解けてしまいました。これならキャンプ場ももう大丈夫でしょう。現地に向かってみると道を覆っていた雪もすっかり解け去り、駐車場まで無事にたどり着くことができました。ここからテントサイトまでは、荷物を背負って3分ほど歩きます。

「あるやーん! やったー!」

愛してやまないお気に入りのサイトには、前回自分が積み上げた薪がそのままの形で残っていました。焚き火台の横には、火をいじるための枝が、自分が置いたままの角度で立てかけてあります。あの厳しかった冬を超えて、サイトに再会できたことに歓喜しました。

ポプラの新芽を収穫

キャンプ場の案内板の様子。場内のマップやインフォメーションが掲示されている。キャンパーは備え付けの封筒に個人情報を記入し、利用料(1サイト20ドル・約3,200円)とともに$マークのポストに投函する仕組み。
 

話は変わりますが、私の現在の主な収入源は、スクールバスのドライバーとして毎日午前と午後に子どもたちを学校や家に送迎することです。その他、細かい仕事もいくつかしていますが、春夏限定でできる仕事があります。それが、「foraging」や「Harvesting」と呼ばれている植物採集です。簡単に言うと、木や草の新芽や花、葉などを採集して街のアロマショップに納品し、お金に換えるという仕事です。と言ってもさすがにそれだけで生計を立てるのは難しく、あくまでも小遣い稼ぎの範囲。だけど、私自身にとっては森の中で一人黙々と緑に触れ、何よりもピースフルな時間を過ごすことのできる仕事なのです。

今回のキャンプは、ポプラの新芽を収穫するという意味合いもありました。

森のルールを守りながらの作業

ポプラの新芽。雄大な景色の中で作業ができるというのもうれしいところ。

テントの設営などを行なった後、さっそくお目当てのポプラを探し始めました。長時間の作業に備えて、動きやすいTシャツ姿に。気温は10度付近でも日差しは強いので暑く感じます。イヤホンはクマなどの野生動物の接近に気付けるように、片耳にだけ装着します。

試しにポプラの新芽を枝からもぎ取ると茶色い殻が破れ始め、鮮やかな黄緑色の芽が覗いています。これが取りどきの印です。新芽はベトベトの樹脂で覆われているので、手袋が欠かせません。それでも樹脂が絡みつくので、時折アスペンの木の幹で拭き取っていきます。

自然豊かなユーコンでの植物採集とはいえ、むやみやたらに取っていいというわけではありません。新芽をいくらか取ってしまっても生き延びられるように、その個体全体の1割から2割に抑える。それがユーコンでの常識となっています。黙々と、黙々と。時にはしゃがんで、時には背伸びして。木から木へと移動しながら、持ってきたバケツを少しずついっぱいにしていきます。

植物採集の足元はダナーのマウンテンライトで

私との相棒歴4年目になるダナー・マウンテンライト。この冬の間にバンクーバーのショップでソール交換をしてもらい、生まれ変わった。

植物採集をする時には、靴選びが重要です。場合によっては木々や茂みの奥深くに分け入っていく必要があるので、当然スニーカーやサンダルでは不適切です。私は夏のソト遊びの際には主にダナーのマウンテンライトを履いていますが、これが植物採集に出かける時にはさらに重宝します。分厚いレザーとがっしりとしたビブラムソールがしっかりと足元をホールドしてくれます。どんな姿勢になっても体を支えてくれるので、心強く感じています。

春夏シーズンは森がオフィスに

バケツいっぱいに集めたポプラの新芽。スーッとした独特の香りを放つ。一体いくらになったかは、下の本文にて!

今回の一泊二日のキャンプでは計6時間ほどかけて収穫し、2㎏半ほど集めることができました。収穫させてもらった森や木に対して「ありがとう、大事に使わせてもらいます」という気持ちが湧いてきます。そして、収穫した森は季節が過ぎても思い出の場所として心に残っていきます。春夏の間は、森がオフィス。なかなかいいでしょう? 

肝心のキャンプの方は、リップクリーム、みそ汁の具などの忘れ物がチラホラとありました。それだけなら良かったのですが、二重にする予定だった寝袋のうちインナーのものしか持ってきておらず、凍えながら眠った2026年初キャンプとなってしまいました……。シーズン初キャンプって、そうなりがちですよね。

後日、収穫したポプラの新芽をアロマショップに持って行くと「まぁ、きれいな芽をこんなにたくさん!」と大変喜んでもらえました。彼らはこれを、エッセンシャルオイルや軟膏に加工し、店頭に並べていきます。ちなみに今回の買い取り価格は77ドル(約1万2300円)でした。収穫には約6時間を費やしたのでタイパは大したことなく、そもそもキャンプ場の利用料金を差し引けば、収益は微々たるもの。でも、自分が楽しんで収穫したものが喜んで受け取られ、それが商品になるということは何物にも代え難い喜びがあります。むしろ収穫してキャンプ代+αを稼げたのですから、十分お得かも!?

※文中のドル=円表記は2026年6月8日時点の為替レートに基づいています。

著者画像

すけのゆうたさん

ライター

カナダ・ユーコン準州ホワイトホース在住。大阪府豊中市出身。アウトドア初心者ながら、大自然と日常が地続きのユーコンで暮らす。ポッドキャスト「すけのゆうたのYou来ん!?ユーコン」も配信中。

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