彩り豊か! かみふらの八景とラベンダー園を巡るE―Bikeガイドツアー | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2019.09.10

    彩り豊か! かみふらの八景とラベンダー園を巡るE―Bikeガイドツアー

    「富良野」と言えば、ラベンダーを思い浮かべる人も少なくないのではないでしょうか。一面紫色のラベンダー畑はもちろんのことですが、上富良野町民に選ばれた「かみふらの八景」という8つの絶景ポイントも必見です。

    今回は、ラベンダーとかみふらの八景を、富良野地域を中心とした地域で体験ツアーを企画する『ウレシパ・フラノ』の後藤由美子さんに、E-Bike(電動アシスト付き自転車)のガイド付きツアーを実施していただきました。

    後藤さんは、富良野へ来て18年。出身は関西ですが、「行ってみたことのない場所へ」となんとなく旅行先として選んだ富良野で、そのまま定住することになったそうです。最初の15年は、たまたま求人があった一般社団法人ふらの観光協会で富良野の国内外観光客誘客事業に係る事となり、結婚を機にウレシパ・フラノを立ち上げました。「もともと、もっと踏み込んだ体験ツアーを企画したいと考えていて、それで踏ん切りがついた感じです」(後藤さん)。

    「ウレシパ」とはアイヌの言葉で「互いに育て合う」という意味。幼稚園や小学校名などにも使われている言葉なのだそうです。

    後藤さん、ちゃきちゃきとしたお姉さんという佇まい

    スタートは、自転車のレンタルを行っている『トコトコサイクリング』。「自転車ツアーの時はいつもここから出発しているんです」(後藤さん)と、普段からとても仲良くしているのだそう。さらに、ラベンダー畑からもとても近く、見晴らしもとても良い、という最高のロケーションです。

    電動アシスト付きの自転車は漕ぎ出す時に少し注意が必要です。ペダルを踏み込むと、「ぐんっ」と一気に前に進んで、体だけ置き去りにされてしまいそうです。

    かみふらの八景「パノラマロード江花」で麦稈ロールに遭遇

    「かみふらの八景」は、上富良野町にすむ人たちの推薦によって、1999年に選定された町内の絶景ポイント。全部で8つあり、それぞれに違う魅力を持っています。

    1:ジェットコースターの路

    全長が2.5kmもある直線道路で、ジェットコースターのような激しいアップダウンが続く。一番標高の高いところからは、十勝岳連峰と田園の眺望を見渡せる。

    2:深山峠

    ラベンダー畑と十勝岳連峰の山並みを楽しめる絶景スポット。近くには観光スポットも多くついでの楽しみがある。

    3:千望峠

    十勝岳連峰と富良野盆地を一望できるスポット。夜は星空や遠くの富良野市街地の夜景を楽しめる。冬季は見学不可。

    4:パノラマロード江花

    十勝岳連峰に向かってのびる、全長5kmに及ぶ下り坂。ドライブやウォーキング、サイクリングでも満喫できる。

    5:日の出ラベンダー園

    小高い丘に一面が紫色になるラベンダー園。近くにはオートキャンプ場があるので、アウトドアも楽しめる。冬季は見学不可。

    6:和田草原とどんぐりの郷

    十勝岳連峰、上富良野市街と日の出公園も一望でき、晴れた日には富良野盆地の向こうに芦別岳、夕張岳も見ることができる、なだらかな草原。冬季は見学不可。

    7:旭野やまびこ高地

    このスポットに向かう道中では、ハンドルを切るたびに景色が変わる。十勝岳を間近に見られる迫力が楽しい。冬季は見学不可。

    8:十勝岳温泉郷

    標高1280m以上の高地で、いち早く紅葉を楽しめる温泉郷。周囲には4軒の温泉施設と天然露天風呂がある。

    今回は、ラベンダー畑からアクセスのよかった「パノラマロード江花」を案内していただきました。

    パノラマロード江花の入り口までは、裾野のなだらかな道を抜けていきます。右手には麦畑が広がります。富良野で見た小麦のなかにはすでに金色になっているものもあればまだ青々としているものもあります。金色になった穂が風に揺れる様子はとてもキレイだし、薄い緑色の麦畑と深い緑の木々のコントラストもまた美しいもの。秋にはどんな彩りになるのでしょうか。

    この道の途中で見かけたのは金色の麦。後藤さんいわく、麦には春植えと秋植えのものがあるそうなので、今金色になっているのは、冬を越して収穫期を迎えた秋植えの小麦でしょうか。ちなみに、春植えの小麦はパン、秋植えの小麦はうどんをつくるのに向いているのだそうです。

    道を漕ぎ進めていくと、ふと「かみふらの八景」と書かれた支柱が現れます。ここが、パノラマロード江花。周りの小麦畑はすでに収穫がおわり、麦稈(ばっかん)ロールが畑に転がっていました。めったに見られない光景に、テンションも上がります。

    麦稈ロールは牛の寝床に敷く麦の茎をロール状にしたもの。「これができる様子も見ると面白いですよ」(後藤さん)。一気に刈った稲の茎がトラクターに取り込まれ、ロール状に成形されます。これが一つ一つ出てくる様子を想像するだけでも楽しくなりませんか?

    点在する麦稈ロール

    道路も期待どおりにまっすぐで、その先には十勝連峰の山並みがうっすらそびえています。坂になっているこの道路を、山を目の前に一気に下っていくのがとても気持ちよかったです。

    実はこのかみふらの八景、存在する範囲が、JR上富良野駅近くから冬季は通行禁止になるほどの山奥までととても広く、自転車で回るのはとても大変です。そのため、今回おとずれることのできた場所はパノラマロード江花のみとなりました。

    ツアーの後に十勝岳温泉郷へと車で行ってきましたが、その道程は片道40分。『カミヒル』という本格的はロードバイクの大会も8月末に開催されるこのルートは、後藤さんいわく「体力に自信のある方向けすぎて、E-Bikeでのんびりと行くツアーや、一般的なサイクリングツアー としてはちょっと過酷」とのこと。また、盆地になっている富良野を横切るルートだと、どうしても変化のないサイクリングルートに……。E-Bikeの威力を発揮できず、平凡なサイクリングになってしまうそう。適度に心地良いと思えるぐらいのアップダウンを含んだ楽しいルートをいかにつくっていくか、四苦八苦して取り組まれているそうです。

    秋の紅葉が待ち遠しい

    富良野を見下ろす中富良野町営のラベンダー園

    ラベンダー園は、E-bikeで巡れる3カ所を紹介していただきました。木立を抜けて、最初に訪れたのは中富良野町が運営するラベンダー園。こぢんまりとした場所ですが、ここからは町内を一望できます。大地には濃い緑と薄い緑色、黄色、紫色、と四角いマスが1マス1色ずつ彩られ、モザイクのように並んでいます。その奥には、山の麓が灰色がかった緑色の帯となって見えます。

    「本当は、向こうに富良野岳が見えるんですが、今日は霞んでいますね」

    空気はカラッとしていて、湿気がまるでありません。それなのに、山が霞んでいるのはとても不思議で少し幻想的。

    「ラベンダーは、じつは長い穂と短い穂の2種類があって、短い穂のラベンダーのほうが先に全盛期を迎えるんですよ」

    富良野を訪れるまで、私にとってのラベンダーは芳香剤のバリエーションの一つでした。ラベンダーには何種類もあるなんてもしかしたら一生知ることもなかったかもしれないなぁ、と思いつつ、一息ついたら次のラベンダー園に向かいます。

    ゆっくりと写真撮影を楽しめる彩香の里

    長い長い坂を下って15分ほど。今度は、観光農園のラベンダー畑『彩香の里』に到着しました。

    こちらでは、ラベンダー以外の花も植わって、黄色やオレンジ、白、赤など色とりどり。後藤さんによると、富良野では7月のラベンダーが終わっても引き続き楽しめるように、春は5月から、秋は10月初旬頃まで訪れる観光客の方々が楽しめるよう、花の種類は数種類を植えるところが多いのだとか。たくさんの色をいっぺんに楽しんでもらうため、咲く時期が同じになるよう調整しているところもあるのだそう。

    パステルカラーで可愛らしいチマチョゴリを着るグループや、ポーズをとるカップルたちもいて、写真撮影を行っていました。

    後藤さんは、ラベンダーや富良野について、いろいろと教えてくれます。

    「山肌でいくつか削られているところが見えたと思います。昔、石綿(蛇紋岩)の採石を行っていた所があり、今でも、富良野市内にはいくつも採石場があります。採掘された砂利は様々な用途に使用されています。道路を作るときにも、その基礎に砂利を使ったり。もっと身近なところだと、家の駐車スペースなどに、砂利を敷いたり……」

    富良野スキー場がある夕張山地付近で表出している地層は、地球上で最も繁栄していた生物が恐竜だった時代のジュラ紀と白亜紀の地層で、学術的に価値の高い地層だとも話してくれました。その頃の富良野は、少し深い海底でした。地層には、その証拠となる海底火山でしかできない枕状溶岩やプランクトンなどの化石がみられます。恐竜の骨が出てくるなどはありませんが、世界中から温暖化を研究している著名な学者たちが富良野を訪れているそうです。

    鮮やかな花の色が飛び込むファーム富田

    「彩香の里」は観光客もほどよく落ち着いていましたが、人にあふれかえっているのが、中富良野町にある「ファーム富田」です。

    E-Bikeを漕ぎ、ファーム富田に近づくと、静かだった雰囲気ががらりと変わります。道路を歩くたくさんの人や、次々と入場していく大型観光バス……。「24時間空いているからいつでも入れますが、早朝に来てもすでに誰かしらいるんですよね」(後藤さん)といった人気ぶり。

    大勢の人の間をすり抜けて畑へと入ると、これまでに見たラベンダー園でもとりわけ広々としているのが印象的。端の方にはすでに収穫を追えた一画があります。

    「ポプリなどに利用される場合は、ラベンダーはつぼみの状態で収穫します。茎や葉の部分はラベンダーオイルを産出するための原料として使われます」

    観光地としても充実していて、敷地内に複数ある売店には、お菓子や入浴剤など、ラベンダーのいい香りがするグッズが置いてあります。実際に香ってみることができて、観光の合間のリフレッシュの時間となりました。

    ソフトクリームも販売していたので早速購入してみます。まずは一口。ひんやりとした食感のあとに甘みとほのかなラベンダーの香りが口の中に拡がります。旅のよい思い出になりました。

    後藤さんが案内してくれたルートでは、ラベンダーの紫、麦の金色のほか、玉ネギの深緑や、ラベンダー園や住民の方が育てる花の赤や黄色など、とてもたくさんの色を楽しむことができました。当日は空気が霞んでいたため、山の雄大さを見る事はできませんでしたが、E-Bikeを漕いでアップダウンを体感したり、近所の犬や厩舎を見たりしたことがとても刺激的。「ここの厩舎には最近子馬が生まれたんですよ」や「メロンとネギは共栄作物なので、一緒に植えると成長を促しあいます。お互いの農作物にとって有益だそうです」など、地域ならではの話が聞けるのは、ガイド付きツアーならではの醍醐味です。

    北海道というと車での移動がメインになってしまいがちですが、目的地だけではなく向かうまでの過程も楽しめて、その土地の空気も一緒に味わえるサイクリングは旅の醍醐味を増します。E-Bikeで行けば、富良野エリアの魅力、丘に広がる農村景観や眼下に広がる田園風景も、少しの脚力で気軽に楽しむことができます。さらに、地元をよく知るガイド付きツアーだから道迷いなどの心配なし!

    かみふらの八景もラベンダー園も、入場無料で楽しめます。気軽に立ち寄ってみませんか?

    ——
    ウレシパ・フラノ

    住所:〒076-0053 北海道富良野市東町9-5
    TEL:090-6261-9668 (SMSの送受信可能)
    MAIL:inquiry@urespa-furano.jp
    URL:https://www.urespa-furano.jp/

     


    取材・構成:松本麻美

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