"ダクロン・スリーピングバッグ"を原点に進化と躍進を続けるモンベルの魅力とは | アウトドアブランド 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.05.05

"ダクロン・スリーピングバッグ"を原点に進化と躍進を続けるモンベルの魅力とは

"ダクロン・スリーピングバッグ"を原点に進化と躍進を続けるモンベルの魅力とは
アウトドアライフを語るうえで欠かせない日本ブランドといえば、ご存じモンベル。辰野 勇会長に、ブランドの原点である寝袋を中心とした歴史と哲学を語っていただいた。
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アウトドア神ブランド大辞典 モンベル

創業 :1975年 
問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス TEL:06(6536)5740

モンベル会長 辰野 勇さん

高校卒業後、登山用品店、商社を経てモンベルを設立。21歳でアイガー北壁を登攀、黒部川カヌー初下降などさまざまな記録を持つ冒険家。7つのミッションに基づく功績から2025年度『アカデミア賞(社会部門)』受賞。

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1975年、28歳にしてモンベルを設立した、現会長の辰野勇さん。その翌年発売されたのが、モンベルの原点となる“ダクロン・スリーピングバッグ〟だ。

「もともと日本の寝袋は頭が三角になったマミー型が定番でした。当時はその形を踏襲し、前開きのデザインを採用。その方が出入りしやすかった。登山でしか必要とされなかったからね」
 
と、辰野さんは語る。当時は綿を詰めるのも手作業で行なわれていた。

「製法でいうと、日本の布団を作る技術で作っていました。表と裏生地の間に綿を入れてステッチで押さえているんですけど、綿が逃げないようにしつけ針で、手縫いで縫い付けていましたよ」
 
モンベルの知名度をグンと上げたのが、その“綿”だ。

「会社を設立する前、繊維商社で働いていて、素材知識を培いました。その縁で、米国のデュ
ポン社が開発した“ダクロンホロフィルⅡ”という中空ポリエステル繊維に出会いました」
 
これまでは羽毛の寝袋はあったが、濡れるとぺちゃんこになり、なかなか乾かない。化繊もあったが、疎水性はあって濡れてもぺちゃんこにはならないものの、かさ張って小さくならず、携行に不向きだった。それを一気に解消してくれたのが、ダクロンホロフィルⅡだったのだ。

「軽量でコンパクトになって、なおかつ濡れてもすぐ乾き、温かい。まさに魔法の素材でした」
 
即座に200〜300㎏の綿の塊を船便でアメリカから輸入して、奈良県の桜井市にある打綿工場で綿を打ってもらった。ポリエステルはコットンと違い、スルスル滑りやすく、打つのが大変だった。それを積層して一定の厚さにし、寝袋に装着。

「とにかく体に密着したほうが温かい。無駄をなくして体に密着させるため、前から入るデザインに。余分に開かないので保温もある。これが大ヒットに」

時代の変化に合わせて軽さだけでなく快適性を追求

 
そうこうするうちに、登山という限定された市場から、アウトドアという市場が確立されていった。なるべく軽量でコンパクトなものを担いで山に登っていたのが、フレーム付きのザックが登場し、その流行にみんなが傾倒していったのだ。

「我々はあくまで軽量コンパクトで、より効率よく保温できるような形を継承していきました。それがどんどん進化し、体に密着して空気が動かないほうが温かい、ということになったんです。余裕があると寝心地は快適だが、保温力が損なわれる。だからシェイプを削っていって、非常に狭いけど、保温性を維持しつつ、1gでも軽くできるということを体現していきました」
 
次第にアウトドアという言葉が普及し、アメリカのキャンプ需要に合わせるようにレクタングラー(封筒型)モデルが登場。ファスナーも横開きになり、連結モデルなども登場していった。

「そんななか我々も、軽量コンパクトだけでなく、ある程度快適さもいるよね、となり、狭くても体が動きやすいように、ストレッチ性のある素材を導入し、特許も取得しました。中綿もダクロンからより快適な自社開発のエクセロフトに変更しました」

〝Light&Fast〟(軽量と迅速)
〝Function is Beauty〟(機能美)というブランドコンセプトはそのままに、50年前から進化し続けているモンベル。

「これからは、進化のための進化ではなく、本当にニーズに合わせたものが求められていく気がします。テーマの価値が変わってきている。我々は“モンベル 7つのミッション”を提唱しています。これを社会使命とし、万人に受け入れられなくても、本当に必要なものを必要な人に。いいものを安く、親切に。欲しいものを形にしていきたいと思います。“Buy me〟ではなく、“Love me”を広めていきたい」

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1975
大阪にモンベル設立

1976
第1号の寝袋を開発・販売

1977
世界進出をスタート

1986
モンベルクラブ発足

2025
モンベル創業50周年

ロゴの変遷

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1976年

寝袋の既成概念を覆す画期的なアイテムが誕生

ダクロン・スリーピングバッグスタンダード

発売年:1976年
当時の価格:¥9,800
POINT:中空ポリエステルを中綿に採用

繊維の中が空洞になった新素材"ダクロン・ホロフィルⅡ"を中綿に採用。空洞に温かい空気を溜め込み、少ない綿量でも高い保温効果を発揮する。シリコーン樹脂で繊維の表面をコーティングし、滑りをよくしているため、小さくコンパクトになり、使用時はすぐに広がるのも特徴。綿量でモデルが分かれた。

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ダクロン・ホロフィルⅡのタグ。登山者が"小さな"寝袋を担いでいる。

1993年

ロフト復元力に優れた"エクセロフト"を開発

バロウバッグ3

中綿を高い保温性を持ちながらロフト復元力に優れた"エクセロフト"に変更。’88年に開発された生地のステッチにゴム糸を使う"ギャザードキルトシステム"も採用。

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2009年

ステッチを斜めに配したスパイラルストレッチシステム

ダウンハガー800

2009年に生地の伸縮を妨げないよう斜めにステッチを入れた"スパイラルストレッチ"を開発。’10年にゴム糸使用の"スーパースパイラルストレッチシステム"も登場。

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2020年

隔壁を不要にし、縫い目がなくなった画期的モデル

シームレスダウンハガー

ダウンを絡めとる特殊な糸を寝袋内に張り巡らすことで、ダウンの片寄りを抑えた"スパイダーバッフルシステム"を開発。ダウンが均一に膨らみ気密性も向上。

1980年代

ユニークな寝袋も開発

モンスター

ビバークのときに手を動かしたい、という発想から誕生した逸品!? 「これなら突然何が起こっても、靴を履いたまま動けるでしょ!」

日本初のフリースを製品化!

’77年に乾式アクリル「オーロン」製フリースも開発。右はダクロン・ホロフィルⅡを中綿に使ったジャケット。オレンジのMは山をイメージ。

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モンベル 7つのミッションとは。

1 自然環境保全意識の醸成
2 野外活動を通じて子供たちの生きる力を育む
3 健康寿命の増進
4 自然災害への対応力
5 エコツーリズムを通じた地域経済活性化
6 第一次産業(農林水産業)への支援
7 高齢者・障害者のバリアフリー

※構成/大石裕美 撮影/奥田高文

(BE-PAL 2026年4月号より)

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