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第20回 里山Wonder通信
今月の里山クイズ

冬のタンポポが葉を土に密着させる理由は?
①光の確保 ②動物対策 ③昆虫への合図
答えはこの記事の一番下にあります。
ついにタンポポコーヒー初体験! byコバユカ
ビーパルに来る前は17年間ずっと図鑑の部署にいました。植物図鑑で「食べられる野草」も多々紹介しましたが、取り上げなかったのがタンポポコーヒー。子供のころから図鑑に載ってたけど「ホントかよ」と訝しんでいました。ついに巡り来たタンポポコーヒーを飲める機会! さて、お味は……記事の最後にて!
手軽で、面白くて、味は本格的! 焚き火でコーヒー焙煎
今や世界的飲料のコーヒー。大好きな人も多いことだろうが、そもそも焙煎って何? その疑問、キャンプで解明しましょう。
名付けて「金ザル2丁合わせ焙煎器」
エチオピア発祥とされるコーヒーは、今や世界的な嗜好品。ネット通販で生豆が買いやすくなってからは、日本でも自家焙煎の人気が高まっている。
身近になったぶん、こだわりのある人も増えた。なので、何かとマウント合戦も起きやすい。でも安心を。焚き火焙煎なら、経験値の差なんてあっという間に縮められるのだ。
コーヒー豆にはチャフと呼ばれる薄皮がある。熱で豆が膨れると、このチャフがはがれて飛び散る。自宅のガス台で焙煎する場合は、チャフ対策を施した専用焙煎器を買うか、大掃除をする覚悟で挑戦するしかない。焚き火なら、チャフは燃えて灰になるので気にならない。
生豆は小石のように硬くて青臭いが、焙煎による熱膨張で砕けやすい多孔質状態になる。青臭さを消して特有の色と風味をもたらすのは、メイラード反応やカラメル化などの化学変化による褐変。こうした豆の変化を炎のゆらぎとともに五感で察知できるのも直火式の魅力だ。
焚き火焙煎には、金網製の銀杏煎り器を推奨する人が多い。だが、里山ワンダー通信班は発見したのである。銀杏煎り器をしのぐ性能で、コスパにも優れたツールを。名付けて「金ザル2丁合わせ焙煎器」。まずは驚きの性能に注目していただこう。
生豆から買うコーヒーはコスパも最高

豆と呼ばれるが、じつはマメ科植物ではなくアカネ科。液果の中にふたつ入った半球状の種がコーヒー豆。
1 焙煎用具
取っ手付き金ザルが驚くほどいい仕事をする
これが手作り焙煎器だ!

銀杏煎り器も焙煎には良いが、底がフラットで浅いため半球状のコーヒー豆が均一に転がりにくい。そこで丸くて深い取っ手付き金ザルを2丁組み合わせる。

ふたつあるつまみ状の突起の穴に合うネジを探し、ストッパーにする。金ザルに生豆を入れたら、すき間が生じないように合わせてネジで固定する。

これは革命的アイデアかも

柄には竹を使う。まず取っ手がぴったり入る内径の竹を探す。両手持ちが楽なので長さは約60㎝。次に木の枝を2つ割りし、取っ手のガタつきを抑える差し込み具にする。
2 焙煎のコツ
手を休めずに豆を転がし続けよ!

じっくり煎り生豆が黄色くなったら強めの炎で。休まず動かし豆が転がる状態を保つ。
Rolling Beans!
(転がる豆はムラ焼けしない)

炎の熱で豆の状態が変化する様子をライブで見られるのが、金ザル2丁合わせ焙煎器の魅力。焼けムラは銀杏煎り器よりかなり減る。
今たしかにパチッと聞こえたよ!

焙煎が進むと「はぜ」と呼ばれるパチパチという音が聞こえ始める。ここまでくればあと少し。

仕上がりは色で判断。自家焙煎なら浅煎りから深煎りまで自由自在だ。焙煎を終えたらザルに広げて余熱を取る。
アウトドアらしさを味わうなら石挽き&パーコレーター抽出

キャンプで飲むコーヒーも最近はドリップ式が主流だが、ポットで煮出すパーコレーター式もオールドキャンパーを中心に根強い人気がある。ミルを持ってくるのを忘れても、バンダナに豆を包んで石で潰せば、煮出すのに頃合いの粗挽き粉になる。

パーコレーター向きの豆は深煎り、粗挽き。厳密さが生み出すクオリティーより、雰囲気を重視するコーヒーなのでアバウトな人向き。「私のことだわ」(担当編集コバユカ)

コーヒーバスケットと呼ばれるパーツに粗挽きした粉を入れて蓋をし、水を入れたポットに設置する。

沸騰すると支柱状の管からお湯が上昇しバスケットに注がれる。循環が始まり抽出が進む。でき上がりは透明なつまみから見える液色で判断。

一部ではワインのようなストイックな世界になっているコーヒーだが、本来は庶民が焚き火を囲み楽しんでいた飲み物。焚き火焙煎は原初の姿を思い出させてくれる。
簡単なのに美味しすぎ!

"琥珀色の熱い液"への渇望が生んだ
戦時中の代用コーヒーを作ってみた
日本で広くコーヒーが飲まれるようになったのは西洋料理が普及した明治維新以降。都市で流行したカフェは、たちまち新しい文化拠点になった。
コーヒーの虜になった日本人が大いに困ったのは第二次世界大戦時だ。輸入頼みのコーヒー豆が途絶し、喫茶店はたちゆかなくなった。苦肉の策として登場したのが色や風味を似せた代用コーヒーだ。大豆などの豆類、麦の仲間にサツマイモ。ユリ根やタンポポやドングリ。ネズミモチを使ったという話もある。欲していたのは琥珀色の輝きか、それとも苦味か。再現して実際に確かめてみた。
タンポポコーヒー

西洋ではハーブティーの一種として人気があり、漢方でも生薬である。全草にキク科特有の苦味がある。根を切ると出る乳液にはほのかなコクがある。


右は掘り取ったタンポポの根。よく水洗いして泥を落としたら天日で乾燥させ(左)、フライパンで褐色になるまでカラ煎りする。
ドングリコーヒー
上:シラカシ
下:スダジイ(シイの実)

どの種類をどう使ったかまで書き残した記録は見つからなかったので、シラカシ(苦味あり)とスダジイ(苦味なし)を褐色になるまで煎った。
大豆コーヒー
上:黒大豆
下:青大豆

戦時中の代用コーヒーとして多く名前が上がる材料は大豆。青大豆と、色がよく出そうな黒大豆の2種を煎り豆の要領で深煎りしてみた。
気になるその味わいは?


⚪︎左上:大豆(黒豆)
△下:シイの実
「カシは苦味が強すぎ論外。シイは間の抜けた味だね」(ライター鹿熊)。「大豆はお茶という感じかな」(コバユカ)。満場一致はタンポポ。「これならコーヒーと呼んじゃっていいかも」
里山クイズの答え
正解は①光の確保。タンポポのように冬のうちから地面すれすれのところで放射状に広げた葉は、ロゼットと呼ばれる(ロゼットとはバラの花の意味)。冷たい風をかわす意味と、太陽エネルギーを少しでも多く吸収しておき、競合する植物を出し抜いて一気に花茎を伸ばすためだとか。
※構成/鹿熊 勤 撮影/藤田修平
(BE-PAL 2026年4月号より)




