ユキホオジロ、エゾフクロウ、そしてエゾモモンガも!冬の北海道で初めての生き物たちと出会った | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2026.03.14

ユキホオジロ、エゾフクロウ、そしてエゾモモンガも!冬の北海道で初めての生き物たちと出会った

ユキホオジロ、エゾフクロウ、そしてエゾモモンガも!冬の北海道で初めての生き物たちと出会った
野鳥に興味を持つ人にとって、冬の北海道は憧れの地と言っていいのではないでしょうか。雄大な景色に映えるオジロワシ、オオワシなどの大型猛禽類はもちろん、オス、メスが優雅な舞いを繰り広げるタンチョウ、雪の妖精とも称されるシマエナガなど、本州では叶わない野鳥との出会いが想像できます。2月の中旬、その冬の北海道に出かけてきました。今回は「旬の推しドリ」の番外編。野鳥以外の生き物も含め、写真とともにルポをお届けします。
※生き物の生息地はデリケートな情報です。今回は特に多くの人が集まり易い北海道であることも考え、撮影地等の記載を控えていることをご理解ください。
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北の森で最初に出会ったのはあのキュートな動物

前回、今シーズンは冬鳥が多いとお伝えしましたが、北海道も例外でなく、事前のリサーチではベニヒワやユキホオジロといった小鳥類の観察情報を複数確認していました。というわけで期待に胸を膨らませて北海道入りし、空港から早速レンタカーで向かったのは、事前に書籍などでたくさんの冬鳥の情報を確認していた公園です。

最初に現れたのはエゾリス。人間にはあまり関心がない様子。

ふつう、野鳥が集まる場所にはいくつかの条件があります。餌となる実をつける樹木などがあり、水場があり、安全が確保できる森がある、などです。特に公園には花や実をつける樹木が人為的に植栽されていることが多く、自然豊かな印象の北海道でも野鳥にとって魅力的な場所であることに変わりはないようです。

事前のリサーチでは、今回訪れた公園にはズミやナナカマドといった実のなる木が揃っているはずでしたが、実際はほとんど実をつけていませんでした。とりあえずはスノーシューズに軽アイゼンを装着して園内の遊歩道を歩き始めました。すると、木立の方から茶色い小動物が雪の上を弾むように駆けてきます。エゾリスでした。

ミヤマカケスは本州で見かけるカケスと違って、どことなくおっとりした印象。

興奮を抑えつつ、エゾリスが駆け上がった松の木に近寄ってファインダーを覗くと、ちょうど松の実を齧っているところでした。林の中ではカケスの亜種のミヤマカケスも姿を見せてくれました。普段観るカケスは警戒心が強い印象ですが、こちらはじっくりと観察できました。

ここで、地元北海道の方から予想外の生き物情報をいただきました。この公園で早朝にエゾモモンガが観られるというのです。夜行性のエゾモモンガが明け方に寝床の樹洞(うろのこと)に戻ってくるところが観察しやすいとのことで、その樹洞の一つを教えていただきました。翌朝の再訪を楽しみに、とりあえず宿へ向かったのでした。

朝の森にエゾフクロウとエゾモモンガが登場!

森の積雪は約30〜50センチほど。このどこかにエゾモモンガが。

翌朝の6時前、公園の駐車場に車はありませんでしたが、私が到着してすぐにカメラマンと思しき車が続々と入ってきました。前日に教わった樹洞のある木の前に三脚を据えて待ちます。ところが、後からやって来るカメラマンは皆50メートルほど離れた開けた場所に集まっているように見えます。しかも、ほとんどの人は三脚を持たずカメラのみ(手持ち)です。後になってその訳が分かります。

この時点で集まってきていたカメラマンは軽く20人ほど。きっと、皆エゾモモンガに魅せられた人たちですね。野鳥好き、あるいは生き物好きがこれだけ集まったせいでしょう、森のシラカバにカモフラージュしていたエゾフクロウがすぐに「見つかって」しまいました。

フクロウの亜種であるエゾフクロウの色はシラカバの幹とそっくり。寝ているようでいて時折、薄目を開けている様子。

エゾフクロウはフクロウの亜種で、やはり夜行性の野鳥です。そして、エゾモモンガをはじめとする小動物の捕食者でもあります。シラカバの枝の上で目を閉じていますが、驚異的な聴力をもつ耳は小動物のわずかな気配も察知しているに違いありません。

初めてのエゾモモンガ。地元のカメラマンが狙うシーンとは?

エゾフクロウを撮影していると、最初にカメラを構えた木とは別の樹洞のある木にカメラマンが集まり始めました。なんと、エゾモモンガが樹洞から顔を覗かせているではないですか!樹洞の穴の高さは約3メートル。その木のそばに寄ってズームレンズをいっぱいに伸ばすと、可愛らしい顔がフレームいっぱいになりました。その特徴的な黒く大きな瞳が、白い冬毛を纏ったぬいぐるみのようなエゾモモンガの顔からはみ出そうな可愛らしさでした。

早朝、樹洞から顔を出したエゾモモンガ。冬眠はせず、主に夜間に食事をする。

この樹洞でもともと眠っていたのか、あるいは戻ってきたところなのかは分かりません。顔を覗かせていた一匹が樹洞から出ると、続けてもう一匹出てきました。直径5センチほどの樹洞の奥がどのような構造になっているのか想像できませんが、元はアカゲラなどの啄木鳥が巣穴として彫った樹洞の中は想像以上に広く深いようです。

最初に顔を出した個体が樹洞を出ると、すぐに別の個体が顔を出した。二匹はカップルのようだ。

この二匹のエゾモモンガはカップルのようです。調べてみると、夜間に活動するエゾモモンガは何度か樹洞と外を行き来しているようで、繁殖期を控えたこの時期は「帰宅」時刻も遅くなり、外出時間も長くなる傾向なのだとか。つまり、観察しやすくなるということです。

二匹は樹洞のある木の幹をどんどん登って行きます。やがて20メートル以上の高さまで到達した後……身体をいっぱいに広げて滑空したのです。その距離は30メートルほどでしょうか。エゾモモンガが飛び移った木はハンノキです。するするっとハンノキの幹を登った先で、その花穂を歯で切って集め、それを大事そうに咥えると再び滑空しました。エゾモモンガは元の木に戻り、ハンノキの花穂を一心不乱に食べていました。

手足の間の飛膜を広げて滑空するエゾモモンガ。辛うじてピントが合っていた。

エゾモモンガのカップルは、登っては飛び、また登っては飛ぶを何度も繰り返して食事を続けるのですが、カメラマンが集っていた場所が、まさにこの飛翔コースの真下だったのです。つまり、皆飛翔のシーンを撮影すべく待機していたのです。朝の森でカメラマンの熱い視線を集める二匹なのでした。

エゾモモンガにとって、自分が飛ぶたびにその下を人間がゾロゾロと右往左往する様は果たしてどう感じているのか気になるところですが、手足の間の飛膜をいっぱいに広げて舞い降りてくるエゾモモンガの飛翔場面には目を奪われました。私も何度か撮影してみましたが、三脚や一脚は必要ないということはよく分かりました。それで成果の方は……辛うじてカメラのAF機能の助けで撮れた写真が2枚ありました。

ハンノキの花穂を食べる様子。エゾモモンガは季節によって植物の葉や花、実などを食べている。

真っ白な雪の浜で会えたユキホオジロとキタキツネ

次の目的地は札幌近郊の浜辺。今回、最も楽しみにしていたユキホオジロは、日本ではふつう道東を中心とした北海道(一部、東北地方等にも飛来例あり)でしか会えない野鳥です。ユーラシア大陸やアメリカ大陸の北極圏で繁殖し、日本で越冬することが知られています。

初めての野鳥との出会いはいつもワクワクするものです。事前のリサーチで、ユキホオジロは砂浜などに自生するハマニンニクという植物の実を採餌すると分かっていました。ところが、目的の浜を歩き出してハマニンニクと思しき植物の実の部分を見ると、種子が入ってないのか、スカスカです。嫌な予感が頭をもたげてきます。

砂浜の陸側は波の侵食を受けて2メートル程度の崖状になっていて、比較的積雪が浅いその縁の部分を歩いて探索を続けます。すると、前方から四つ足動物が歩いて来るのが見えました。キタキツネでした。

キタキツネは人間を認識してもなお接近して来た。

こちらに気付いているのかいないのか、どんどん近付いてきます。この距離でこちらに気付いていないはずはなく、相手がキツネとはいえ、野生動物との対面にちょっと不安を感じてきました。やがて30メートルほどの距離になった時、キタキツネが歩を止めました。約5秒間、目を合わせた後、彼はまわれ左をして雪の上をゆっくり歩いて去って行きました。後から聞いた話ですが、もしかしたら餌付けされて人慣れしている個体だったのかもしれません。

しばし目が合ったので、しゃがんでキタキツネと同じ目線で撮影してみた。

さて、お目当てのユキホオジロは意外にも砂浜ではなく、近くの雪が溶けた砂利道で見つかりました。この数日の札幌の気温は0℃を上回る日が続き、交通量の多い幹線道路は溶けた雪でグチャグチャの状態で、ユキホオジロは砂利道の路面に落ちている(と思われる)草の実などを採餌していたようなのです。

ついに会えたユキホオジロ。「おてもやん」のような顔が愛らしい。

ユキホオジロの第一印象は少しふっくらした姿で、トレードマークの頬の橙色はまさに「おてもやん顔」を連想させる可愛らしさです。採餌に夢中になっているせいか、姿勢を低くして撮影しているとどんどんこちらに近付いてくる人懐っこさを感じました。

雪に寝そべってユキホオジロと同じ目線で撮影。4羽の群れは1時間経っても採餌し続けていた。

いかがだったでしょうか。ベニヒワやシマエナガなど、まだまだ会いたかった野鳥はたくさんあったのですが、タイミングの不運や予想外の高温になったり、地吹雪になったりの天気の変化もあり、思い通りの探索が叶いませんでした。その代わり、エゾモモンガやキタキツネという北海道ならではの野生動物との嬉しい邂逅(かいこう)もありました。

ユキホオジロが越冬するのは寒さがひときわ厳しい砂浜などで、餌となる植物の種子があることが条件の一つだ。

次の機会への教訓としては、冬鳥はシーズンど真ん中に会いにゆけ、ですね。冬の北海道の探鳥は、3月より2月、2月より1月のお出かけをお勧めします。

中村雅和さん

野鳥好き編集者

幼少期から生き物や鉄道に親しむ。プロラボ、住宅地図会社の営業マン、編集プロダクション、バス運転士、自然保護団体職員などを経てフリーの編集者に。現在はライターの仕事をしながら、バードウォッチングと野鳥撮影に勤しんでいる。

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