昔はけもの道だった!? 絶景のパタゴニア「トレス・デル・パイネ国立公園」ハイク! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2025.12.26

昔はけもの道だった!? 絶景のパタゴニア「トレス・デル・パイネ国立公園」ハイク!

昔はけもの道だった!?  絶景のパタゴニア「トレス・デル・パイネ国立公園」ハイク!
前回の3日後、再び南米のチリとアルゼンチンにまたがるパタゴニアの「トレス・デル・パイネ(Torres del Paine)国立公園」へ。今回は「氷河」ではなく「雪山」を眺めながらのハイキングです。

同じ国立公園なのにまったく違った表情を眺めることができて、しかもこちらもまた絶景の連続でした! パタゴニア、デカいです。パタゴニア、深いです。

どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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【柳沢有紀夫の世界は愉快!山遊び王国チリ・パタゴニア旅・その2】

前回はこちら↓

南米パタゴニアで大氷河に大接近! 過酷な自然だからこそ、穏やかな日は超絶景なのだ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

見どころ満載の変化に富んだコースです!

今回もまたプエルトナタレスの街からツアーバスに乗り、2時間かけて出発地点に向かいます。

雨模様だったら前回とは異なり、今回は打って変わって朝から青空が広がります。
そして前回と同じドライブインで休憩。ほぼ同じアングルですが景色が全然違います。笑
そのドライブインから見られた山並み。「ああ、こんな風景が広がっていたのか」とビックリ。
リャマの姿も見ることができました。

チリではこのリャマとコンドルとプーマが観光客に人気の動物です。最近では「野生動物観察ツーリズム」がますます人気を呼んでいるので、プーマもある意味で「大切な観光資源」と考えられているそう。

ところがプーマという動物、お母さんは子どもたちに狩りを教えるために、牧場で飼っている羊を一晩で40から50 も殺してしまうこともあるのだとか。

牧畜業もこのパタゴニアでは重要な産業です。それでこれは由々しき事態だということで対策を練り、牧場では夜中に光と人の声を発してプーマを近づけないようにしていて、今のところそれは結構成功しているとのこと。

でもあくまでも「今のところ」で、プーマが慣れてしまう可能性もあります。観光業も大切ですし、牧畜業も大事。なかなか難しい問題です。

撮影スポットで途中下車。たまらん。
ずっとここにいても飽きない風景。

というわけですでにかなり満足度の高い状態になっている私ですが、まだトレッキングを始めてすらいません。笑 というわけで本日のコースを紹介しましょう!

地図の右のほう、ラグナ・ベルデ湖(Laguna Verde)の湖畔にあるエスタンシア・ラソという牧場からスタートします。

赤い点線を左に進んでいき、トロ湖展望台(Mirador Lago Toro)を経由。その後車道まで降りていき、車でピックアップしてもらいます。標準コースタイム4時間45分のトレッキングコース。13キロメートルで、難易度は中とのこと。

青空のなか出発するも……

11時20分トレッキングスタートです。ずいぶん出発時間が遅いと思われそうですが、チリ標準時の設定がちょっとユニークで、春真っただ中の10月中旬の日の出が6時45分くらいで、日の入りが20時半くらい。というわけで1時間半くらいの休憩時間を考慮しても、日の入りの3時間前にはトレッキングは終了する計算です。

出発地点。最初はただの牧草地で看板が立っていなかったらトレッキングルートと気づかないかも。
湖の反対岸に見える山の名前はアルミランテ・ニエト山(Mont Almirante Nieto)。標高2670メートル。

こんな感じで快調にスタートしたのですが出発から50分後、事件が起こります!

この10日くらい前から雨が多くて川が増水している中、倒木を橋に見立てて渡ります。

川の流れもかなり急。ガイドが手伝ってくれますがめちゃくちゃチャレンジングな川渡りでした。

このトレッキングルートは前回のルート以上に雨の影響で道がぐちゃぐちゃなところが多いです。

ガイドによると「トレス・デル・パイネ国立公園」のトレッキングルートのほとんどがもともと「けもの道」で、それをガウチョ(カウボーイ)が利用するようになって、その後トレッキングルートとしても使われるようになったのだそうです。

でもガウチョたちは馬に乗って通るので、足元がぬかるんでいようと関係ない。よってトレッキングルートも雨になるとぐちゃぐちゃになるところがほとんどなのです。ちなみに国立公園内で人間が一から切りひらいたトレッキングルートはまだ1箇所しかないのだとか。

踏み均されたトレッキングコースから大きく外れなければ歩けないところもあります。

ここは自然にできた水の流れで、トレッキングコースが分断されていました。で、数メートル「上流」に移動すると倒木が渡されていて何とか歩けるようになっているのです。

こんな迂回ルートがあちこちにあります。ガイドと一緒じゃなければ、どこから渡っていいのかわからないところが多いです。日本やオーストラリアの国立公園がすごく整備されていることに感謝しました。

さてこのトレス・デル・パイネ国立公園、この数十年で3回大きな火事があり、その都度かなりの面積を焼き尽くしたとのことです。このあたりは風が強いことがほとんどなので、山火事はすごく広がるのです。

出火原因は様々で1つはイスラエル人がトイレットペーパーを燃やして、それが広がったもの。もう1つは日本人が料理用のバーナーを倒してしまってそこから火がついたもの。もう一つはチェコ人が投げ捨てたタバコからとのこと。

正直言うと日本人のバーナーは事故ですが、そのほかの2つは言語道断ですよね。特にイスラエルのトイレットペーパーを燃やしたのなんて、行動として不可解。

でもその後ここの植生の回復のためにお金を出したのはチェコ政府だけで、イスラエルと日本の政府は何もしなかったと、ガイドからちょっと恨み節を聞かされました。

というわけで私は「約束する。サナエに言っておくわ」と豪語しました。「サナエってだれ?」とガイドが聞くので、「今度の日本の首相の名前はサナエ・タカイチっていうんだよ」。もちろん笑われただけです。

ちなみに私自身も決して安請け合いしたわけではありません。「サナエに言う」と約束しただけで「高市早苗首相に伝える」とはひとことも言っていません。

ただこの辺はむずかしい問題ですよね。チリという国に日本人が迷惑をかけたのは申し訳ないけれども、一人のミスのために巨額の血税を使うのもどうか、と。

そういえば日本でも岩手県大船渡市や岡山県岡山市、愛媛県今治市などで2025年は大規模な山火事がありました。火の始末には本当に気をつけましょう。

絶景の高台へ

歩いていて「なんだかタスマニアに似ているな~」と思いました。

この記事です。高い木々がない感じがですね。やっぱり緯度が高くて風が強いからでしょうか。

写っている山のどれかが「世界で一番登頂が難しい山の一つ」だそう。

というのは今まで登頂に成功した人は5人しかいないのだとか。ちなみにこの湖の名前はトトラ湖(Lago Totora)。日本人、特にジブリ好きには非常に惜しいと感じる地名です。

13時半、高台でランチ休憩。眼下に臨むのはHonda湖。

今度は日本人としてドンピシャな名前だと思ったのですが、スペイン語での読みは「オンダ」ですね。笑

対岸の先に見えるのはこの「トレス・デル・パイネ国立公園」最高峰のパイネグランデ山。

視線を右にずらしても絶景が広がります。

45分ほどランチ休憩を取って、14時15分に出発です。

下は川ではなく水たまりですが、ここもなかなかチャレンジングな倒木の橋。
ちなみにルートを示すサインがまったくと言っていいほどありません。このコースでもまだ一箇所だけしか見ていません。

360度の展望台のトロ湖展望台

16時ごろ丘の上にあるトロ湖展望台(標高559メートル)に向かって登り始めます。

そして16時13分到着。北西のパイネグランデ山方面。
南西はトロ湖。
遠くに見える峰々と雲もいい味を出しています。

ずっとこのままここにいたいと思うほどの360度の絶景です。ところがじつはものすごい突風が吹き荒れています。

手袋とネックウォーマー、そして乱れまくりの髪の毛が風の強さを表しています。

というわけでこの絶景を楽しめたのもせいぜい10分ほど。でもたった10分でもこの光景は目に焼きついて一生離れないと思います。

ぐいぐいと高度を下げたあと草すらほとんど生えていない山の中腹を歩きます。

これがたまらなく気持ちよかったです。さっきの展望台と比べて全然名所じゃないのでしょうけど、「ああ、ここ好きだな」と思える場所が見つかった幸せ。

雲がさらにいい味を出してきました。……というか風雲急を告げる?

嵐に遭うかと思いましたが、問題なく17時20分一般道に到着。10分ほどのドライブでその日の宿泊場所に到着です。

無茶苦茶オシャレなグランピング施設。右の白いのがツインの部屋。

各部屋のすぐ外に、その部屋専用のバストイレが付いています。写真の左側に見えるような建物です。これは別の部屋用のバストイレですが。

ちなみにこの建物、別名「ニンニク」とか「ダンプリング」と呼ばれているとのこと。「ダンプリング」は餃子も含めたひき肉などのタネを小麦粉でつくった薄皮で包んだものの総称ですが、確かに「小籠包」そっくり。笑

「小籠包」の室内。ヒーターも完備していて暖かかったです。
ダイニング&リビングエリアもオシャレですね。

リャマを見て、チャレンジングが川渡りなどアドベンチャーなトレッキングをして、絶景を楽しんで。本当に盛りだくさんな一日でした。明日は今日とは別のトレッキングコースに向かいます。おやすみなさい。

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

Chile Nativo (今回のハイキングツアー催行会社)
https://chilenativo.travel/

CHILE TRAVEL(チリ政府観光局の旅行者用サイト)
https://www.chile.travel/en/

ATTA (ADVENTURE TRAVEL TRADE ASSOCIATION。アトベンチャートラベルに関する世界的な業界団体。今回のイベントを主催)
https://www.adventuretravel.biz

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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