
なんて書くと「空中浮遊」のような怪しい雰囲気を漂わせてしまいますが…。じつはかのイエス・キリストもイスラエルの北部にあるガラリヤ湖を歩いて渡ったという「奇跡」を起こしたことが聖書で描かれているのです!
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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「湖の上」を歩いてる体験をしましたよ(雪遊び王国フィンランド旅・その4)
前回はこちら↓
フィンランド旅は2日目を迎え、ヒモスという場所のスキーリゾートからユヴァスキュラ地方の中心地であるユヴァスキュラに移動しました。そこにあるユヴァスキュラ湖畔のレストランでランチを食べていると、とても気になるものが目に入ってきました。なんと湖の上を歩いている人たちがいるのです!
初っ端に種明かしをすると湖が「凍っていて」、さらにその上に雪が積もっているのでツルツルすべらずに歩けるのです。
かつてカナダで「馬ぞり」に乗ったときも、近くのホテルに宿泊している人たちが「凍った氷の上につくられたウォーキングコース」を歩いている人を見ました。
そして日本でも北海道の湖などで「氷上ウォーキングツアー」などがあったりします。
ここフィンランドのユヴァスヤルヴィ湖では、観光客ではない住人たちが凍った湖を横切ってこちらの岸に来たり、逆に対岸に向かったり。そして湖の真ん中を両岸に沿うような形でウォーキングしている人もいるんです。

しかもここ、大自然の中ではなく、人口約15万人の中都市のどまんなか! そんなところで「氷上ウォーキング」が楽しめるところにフィンランドの「自然と人との近さ」を感じるのです。大自然の中で自然が楽しめるのはあたりまえ。でも都市でも自然を楽しめるところがすごいなあと。
てなわけでランチタイムが1時間半取られていたこともあり、早めに切り上げて氷の上に一人で向かいました。ガイド役のパイビさんによると「岸の近くでは氷になっていない部分もある。でも人が通ったあとがあるところならどこを歩いてもだいじょうぶ」とのことです。
さて湖の入口には柵がありました。

…注意しないとやるヤツがいるんでしょうね、どの国にも。笑

そしていよいよ湖の中央へ向かいます。ところが意気揚々、威風堂々とした気分の反面、「充分分厚いはずなのに氷が突然割れて、氷の下に流れさて戻れなくなったらどうしよう」というネガティブイメージが頭に浮かびます。
じつはこれ、1978年に公開された名作恐怖映画「オーメン2/ダミアン」の名場面の1つ。アイスホッケー中に湖の氷が突然割れて、主人公のダミアンの敵である人物が氷の下に入ってしまい、そのまま氷の下を流されて溺死していく様子を描くシーンがあるのです。
氷越しに外は見えるのに逃れられないということに焦り、絶望する人物の表情を、氷の上からの撮影で追った見事なカメラワーク。それで見ている自分も恐怖に陥れられたことを今でも覚えています。


雪がおそらく20センチほど積もった氷の上を歩いていると、変な恐怖心も消えていきます。


そんな街中なのに凍った湖の上を歩いている。それがなんだかとてつもなく爽快なのです。





なんで相棒のフォトグラファー氏に同行をお願いしなかったのか深く後悔。でも言えませんわな。「氷の上歩きたいからいっしょに来て」とは。笑
来たときとは別のルートをもどることにしました。ルートと言っても他の人たちが歩いてできた轍(わだち)的なものがあるだけですが。

ファットバイクとはタイヤの幅が10センチくらいある自転車で、それだけ抵抗も多い分グリップ力もあるため、雪の中でも運転できるというもの。カナダでフィンランドでも体験したかったのだけど、前者は寒さで、後者はスケジュールの都合で泣く泣く断念。
突然やってみたくなったのは…
また両岸の中間地点に来ました。ここで突然したくなったのがふかふかの雪の上に寝っ転がること。だって「雪の上」ってだけでなく、「氷の上」、そして「湖の上」。三重の「上」で寝っ転がるなんて、この先の人生でもう二度とできないかもしれないですから。
で、すぐに実行です。

残念ながら青空は広がっていなかったけれども、「ああ、フィンランドの冬に包まれているんだな」。そんなことを実感しました。
やっていることがまるでガキンチョです。でもいいんです。大人がちゃんと遊ばないと、子どもたちはちゃんと遊んでいいのわからなくなります。ちゃんと遊ぶのが大人の仕事。ちゃんと人生を楽しんでいることを見せるのが大人の役割です。

そういえば昔、パリのルーブル美術館の天井画に圧倒されて、他に客がいないのをいいことに大の字に寝そべって眺めていたら、その部屋にはいなかった監視員らしき人がどこからか現れたことがあります。
てっきり叱られるのかと思ったら「この見方がいちばんよく見られますよね。そこまで満喫してくれて私もうれしいです」と逆に褒められたことを突如思い出しました。
旅っていうのは刺激が多いからか頭の片隅にたくさんの記憶を貯蔵してくれて、あるときふと思い出すことがあります。それもまた旅の楽しみ。


旅の楽しみはそういうものなのかもしれません。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
Visit Finland
https://www.visitfinland.com/ja/
Visit Jyvaskyla Region(ユヴァスキュラ観光公社)
https://visitjyvaskyla.fi/ja/
フィンエアー/Finnair
https://www.finnair.com/jp-ja
「日本から一番近いヨーロッパ」であるヘルシンキ経由で、欧州約70都市へ。羽田・成田・中部・関空の4空港就航。