
ところが選択肢は大きくわけて2つあるのです。はい、スキーのオリンピック種目は「アルペンスキー」と「ノルディックスキー」に二分されるわけです。
さてどっちを取るべきか? どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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「北ヨーロッパ」か「アルプス」か。それが問題だ。(雪遊び王国フィンランド旅・その1)
「アルペンスキー」は「滑降」とか「回転」とか「スラローム」など、つまりは「ゲレンデを滑り降りる系」。「アルペン」というくらいだから当然、「アルプス」が本場なわけです。
一方「ノルディックスキー」のほうはというと、これまた「ジャンプ」と「クロスカントリー」にわけられる(オリンピックではその両方で競う「ノルディック複合」という種目もあります)。「ノルディック」とは「北ヨーロッパの」という意味なので、こちらは北ヨーロッパが本場です。
「アルペン」「ジャンプ」「クロスカントリー」の3つの中でどれを楽しむかと考えたとき…まず選択肢から外したのは「ジャンプ」。「体当たりライター」を自称していますが「体当たり芸人」でさえチャレンジしているのを見たことがないスキージャンプ。体当たりの当たりどころが悪いとK点越えで天国に行くことになりそうだからです。
で、残されたのは「アルプスでのアルペンスキー」か「北ヨーロッパでのクロスカントリースキー」か。そして出した結論が「両方行けば良くね?」
この旅の前、日本に滞在していた私。そして日本からヨーロッパはそれなりの距離があります(南半球のオーストラリアからほどではないですが)。
でもいずれもヨーロッパにある「北ヨーロッパ」と「アルプス」はそれほど遠くない。しかもたとえば「トランジット系エアライン」(勝手に命名)の雄である(個人の感想です)フィンエアーを使えば、ヘルシンキ到着後フィンランドで「北ヨーロッパの雪遊び」を楽しんだあと、そのヘルシンキからオーストリアに飛んで「アルプスの雪遊び」が楽しめるという寸法です!
はい。「タヒチ」でも「フィジー」でもよく知られた海浴びや水上バンガロー「じゃない」アクティビティを紹介してきた「じゃない旅ライター」の私。スキー以外の「雪アクティビティ」もたっぷりとお伝えしていきます。
てなわけで「北ヨーロッパ」と「アルプス」の冬を両取りします!
さてそのフィンエアーが行きの羽田発・ヘルシンキ行きのフライトで用意してくれたのは、私には分不相応なプレミアムエコノミークラス。


で、オーロラも見られました。とはいえ目視できたのはうっすらとした白っぽいもの。

ちなみに今回同行をお願いしたフォトグラファー田所優季氏によると、機内でオーロラをうまく撮るコツはカメラやスマホの手前をブランケットなどで覆うことだそうです。


まずは完全及び腰の「北極浮遊」でしたが…
というわけでまずは「ノルディック系の雪遊び王国」のフィンランド。早朝ヘルシンキ空港に到着。空港駅から長距離列車の乗換駅までまず移動し、そのあと長距離列車を一回乗り換えてやってきたのかヤムサ駅(Jamsa。フィンランド語では両方のaの上に点々がつくのですが環境依存文字で表示が崩れる可能性があるので省略。以下同)。
そこで今回のガイド役を務めてくれるユヴァスキュラ(Jyvaskyla)地区観光局のパイビ(Paivi)さんと合流。約10キロ、車で約10分のところにあるこのエリアを代表するウィンターリゾートであるヒモス(Himos)リゾートに到着です。

で、最初に体験するアクティビティはガイド役のパイビによると「アークティックフローティング」、直訳すると「北極浮遊」。
水が浸入しない着ぐるみ系ボディースーツを着込んで、凍った湖の氷がない部分に浮かぶというアクティビティ。そう聞いたときの第一印象は「このアクティビティ、要る?」。「水が浸入しないボディースーツ」と言われても…ダチョウ倶楽部さんがお得意とする「熱湯風呂」の逆バージョンの匂いがプンプンします。

で、こういうのは若い人に任せようと今回の相棒であるフォトグラファー氏に「お願いできる?」と聞いたところ、「私、写真撮らなきゃダメじゃん」。ぐうの音も出ないとはこのこと。すごすごと、いや、意気揚々と「ボディースーツ」に着替えました。

重要なのはここで完全にボディースーツ内の空気を抜くこと。
いよいよ湖上浮遊へ
ま、とにかく凍った湖に向かいます。木道の先には学校などのプールにあるようなハシゴ。それを後ろ向きに4段降りたところであとは自然にカラダを後方に投げ出せば浮くということです。

で、やってみると…まあ、不思議な感覚です。確かに寒さは感じない。あいにくの曇り空ですが大空をながめながらの浮遊。

ああ、来たなあ、雪の王国。まあ、今は氷水の上だけど。いつまでもこのままでいたい。フィンランドの自然と一体になっていたい。
そんな静寂を破ってくれたのがガイドのパイビ。「どう、ユキ。気持ちいい?」。そう聞かれて「サイコー」と答えながら手を振りました。すると手についた水が着ぐるみの顔の隙間から入り、背中まで浸していきます。「うわっ、背中に水が入った。水の重みで沈んだらどうしよう」とパニックになる私。「熱湯風呂」から脱出を計るダチョウ倶楽部のみなさん以上の真剣さで「ハシゴ」まで泳ぎます。
一度地上まで上がったところ、このアクティビティのインストラクター氏は「ボディースーツ内の空気がちゃんと抜けていなかったんだね。だから水が入っちゃったんだよ」。
「撮れ高足りない視線」で「裏ワザ」に挑戦するも…
さてそんなこんなでこのアクティビティも終了かと思いきや…インストラクター氏がこんなことを言い出します。
「次は氷の立ってみましょう。割れて水になっている近くの淵まで行って立っているとゆっくりと氷が割れて、カラダが水に入っていくのですが、入っていくのもゆっくりなので脇の下あたりで止まり、そのあと自然にカラダは氷の上で浮かびます」
すでにスーツの中に水が浸入して背中は濡れているし、これは別にいいかなあとフォトグラファー氏の顔色をうかがうと明らかに「撮れ高足りない顔」。
てなわけでこれもやってみることに。一応最初にインストラクター氏が「見本」を見せてくれました。なるほど。
次は私の番。氷の上を歩いて淵のほうに向かいます。ところが全然、氷が割れる気配はない。

フォトグラファー氏のほうを見ると見事な「なにやってんの? 写真撮れないじゃん顔」を披露してくれます。
で、もう少し淵ぎりぎりまで行ったほうがいいのかなと2歩ほど進んで立っていると…。



まあ、すぐに浮かびはしたのですが、今度はマジで「熱湯風呂」以上のパニック。だって水没ですから。しかも凍った湖で。
「早く氷の上に上がって!」とインストラクター氏は急かすのですが、手助けはしてくれません。まあ、そこに立ってひっぱりあげようとしたら割れる可能性があるからなのかもしれませんが…。
とにかく自力で氷の上にたどりつきひと息ついていると「氷が薄すぎるところに行ったんで一瞬で割れちゃったんだね。もう少し薄くないところだとゆっくり落ちるんだけど」とインストラクター氏。
撮れ高充分で満足げにフォトグラファー氏は「有紀夫さん。ドリフみたいだったよ」と絶賛してくれました。そうかなあ、私はどっちかっていうと「落とし穴ドッキリ」に近い感覚だったけど。…とにかく「氷水浮遊」に文字通りハマった貴重な体験でしたよ。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
Visit Finland
https://www.visitfinland.com/ja/
Visit Jyvaskyla Region(ユヴァスキュラ観光公社)
https://visitjyvaskyla.fi/ja/
Himos Holiday
https://himoslomat.fi/en/activities-2/arctic-floating/
フィンエアー/Finnair
https://www.finnair.com/jp-ja
「日本から一番近いヨーロッパ」であるヘルシンキ経由で、欧州約70都市へ。羽田・成田・中部・関空の4空港就航。
写真/田所優季
旅行写真家、トラベル・ライフスタイルライター、ファッションデザイナー。