
キャンピングカーの達人、伴 隆之のニューモデルレビュー
機動性の高いタウンエースバンをベースにしたロングセラーモデル

トヨタのコンパクト商用ワンボックスであるタウンエースをベースに、2014年に登場したコンパクトバンコンの「シュピーレン」。
製造は長野に拠点を持つビルダーの「フロット・モビール」で、「軽自動車以上ハイエース未満」というコンセプトと仕上がりのいい家具類、ベース車の扱いやすさと相まって瞬く間に人気となりました。
現在は、セカンドシートに1人掛けのバタフライシートや2人掛けのバタフライシート、分割式1+1人掛けバタフライシート、3人掛けバタフライシートなど、ユーザーの使い方に応じたモデルをラインナップしています。そんなデビューから10年を超したシュピーレンに待望の車載用クーラーを搭載したモデルが登場したので紹介したいと思います。
車載用クーラーには低消費電力が特徴の「Camcool」を採用

キャビングカーに搭載される空調設備としては、RV車やトラック向けのルーフエアコンやクーラー、家庭用のエアコン(ウインドウタイプ含む)、DC12V車載用クーラーなどがあります。シュピーレンに搭載されるクーラーは車載専用の「Camcool(キャンクール)」。世界的な自動車部品メーカーとして知られる「デンソー」が企画開発し、産業用電装機器を製造する「大和電業」が製品化し、販売しています。
キャンクールは、室内機・室外機が一体型なので取り付けがしやすいのが大きな魅力で、重さもわずか12kg。一体型になっていることで室外機を車外に設置する必要がないだけでなく、最近よく見られる床下に室外機を設置するにあたり危惧される、縁石、障害物による外傷また、 雨水、埃、冬季の融雪剤などによる室外機の故障を避けられるというメリットがあります。
シュピーレンは発売当初から「毎日の通勤・買い物にも普通に使えるキャンピングカー」というこだわりがあり、スペアタイヤを外してまで室外機を車外床下に取り付けすることを避けたいこともあり、 キャンクールを採用しています。
クーラーの電源はDC24V仕様で発熱のリスクを低減していることに加え、消費電力も定格300Wなのでポータブル電源でも稼働が可能。走行中でもクーラーの利用ができます。ちなみに冷却能力は700W。運転は冷却能力の高いパワーモード、通常モード、エコモードの3モードから選択ができ、風量も状況に応じて3段階から選べるようになっています。


家具内にクーラーをすっきり収めて使いやすさそのまま

今回取材したのはシュピーレンの1人掛けバタフライシートモデルで、2人掛けの横座りシートを備えて5人乗車が可能。就寝は2人までに対応。
荷室の左サイドにキャビネットを搭載し、ここにはシンクのほかキャンクールも内蔵されており、車内の圧迫感はまったくありません。またキャビネットにはテーブルがセットできるためキャビネット天板と合わせ、食事もしやすい作り。休憩や食事時は反転させた1人掛けバタフライシートと荷室のベッドマットでキャビネットを囲むことができます。
ほかにも、バタフライシートの座面を跳ね上げてスライドを手前にセットし、荷室のベッドを跳ね上げれば広大な荷室としても使えるので、キャンプ道具や遊び道具を満載して移動することも可能となっています。



装備面では断熱施工に加え、13L給水タンク&12L排水タンク、105Ahサブバッテリーに走行充電システムなどが標準装備。コンパクトな空間ながらも使いやすく、機動性の高い2人旅ができる仕様。おまけにキャンクールで快適さもアップしています。価格は484万円〜(クーラーなしは382万8000円〜)。




