毎日移り変わる景色、文化や習慣の違い、思いもよらない出会い、そして時にはヒヤリとする体験と、バンライフは毎日が小さなドラマの連続です。
今回はそんな3年間の旅で体験した、おもしろエピソード&心に残った出会いをお届けします。どれも、旅の中でしか味わえないユニークな出来事ばかり。3年間の旅で出会った、笑いと驚きと感動の瞬間を、ちょっと覗いてみませんか?
見知らぬ人のキャンピングカーに窓から侵入?!

それは、フランスとイタリアの国境付近にあるスキーリゾートに滞在していた時の出来事です。そこはキャンピングカー専用の駐車場で、国境付近ということもあり、フランス、スイス、ドイツとヨーロッパ各地からのキャンピングカーがズラリと並んでいました。
周辺を軽く散策し、私たちの車に戻ろうと駐車場を歩いていると、見知らぬ女性が突然声をかけてきました。ドイツ人の彼女はドイツ語で何やら一生懸命話しかけてきましたが、こちらはチンプンカンプン。英語とジェスチャーを混ぜながらなんとかコミュニケーションを取り、状況を理解すると。
どうやら、鍵をキャンピングカーの中に置いたまま外に閉め出されてしまった。ケータイは車の中。夫はスキー中で当分戻らないようで、車の中に入れなくなって困っている。とのことでした。

そして私の背丈を見て「あなたは小さいから、この小窓から入れると思うの!チャレンジしてみて!」と言われてしまいました。「えぇ?まさかの理由そこ?!」(笑)と思いましたが、困ってそうだったので手伝うことに…。しかし、窓を見ると思っていた以上に小さく、しかも結構高い位置…。「え、これ登れるかな」「土足は悪いし、靴は脱いでおこう」と少し戸惑っていると、彼女は「大丈夫よ!」と言いながら、私の体をヒョイッと持ち上げて窓枠までのせあげてくれました。(笑)
あまりの勢いに完全にされるがままで、私はそのまま窓をよじ登って車内に侵入。全く知らない人のキャンピングカーに窓から入るなんて、何だか妙な気分です。中を見渡すとすぐに鍵を発見し、無事にドアを開けてあげることに成功!ドイツ人の女性は大喜びで「本当に助かったわ!」と何度も感謝してくれました。
まさか旅先で小窓から他人のキャンピングカーに“潜入”することになるなんて、まったく予想もしなかったおもしろエピソードとなりました。
ヨーロッパは狭い?思わぬ場所でまさかの再会!

イタリアの地中海に浮かぶ、サルディーニャ島を旅していたときのこと。観光地で賑わう海沿いを離れ、あえて選んだのは、のんびりした小さな田舎町にあるRVパーク。そこで給水をしようとしたのですが、慣れない給水仕様に戸惑っていると、1人の女性がニコッと微笑みながら近づいてきて、困っている私を手助けしてくれました。言語はもちろんイタリア語。私は必死に慣れないカタコトのイタリア語を使いながら、なんとかコミュニケーションを取り、彼女は水道ホースまで貸してくれるほど親切で、おかげで無事に給水完了!
ほっとして夫とポルトガル語で話していると、突然その彼女が驚いた顔で一言。「ちょっと待って!あなた達もしかしてブラジル人?!」とポルトガル語で話しかけてきたのです。なんと、ずっとイタリア人だと思い込んでいた彼女は、まさかの私たちと同じブラジル出身!しかも、私たちと同じように、夫婦でキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅しているというのではありませんか。
地中海の島の片隅で、まさか私たちと同じ境遇のカップルに出会うなんて…そんな偶然あります?その日は一緒に食事をし、旅の経験をシェアしながら仲を深め、お互いの旅路へ戻るため、名残惜しくも別れました。
しかし、驚きはここで終わりません。サルディーニャ島で別れてから6カ月後…なんとそこから約5000kmも離れた北極圏に位置するノルウェーのロフォーテン諸島で、偶然にも再会することになったのです。

これも何かの縁、ということでノルウェーの幻想的なフィヨルドを一緒にハイキングし、ここでしか味わえない絶景を共有。旅はやっぱり出会いと巡り合わせの連続です。別れ際には、「きっとまた、どこかで会えるよね」と言葉を交わし、またお互いの道を進んでいきました。

ヨーロッパは広いようで、旅人にとっては意外と“狭い”。だからこそ、こんな奇跡のような再会が起きるのだと思います。そんな“旅の巡り合わせ”こそ、バンライフの最大の魅力なのかもしれません。
ノルウェーの北極線上で幻想的な車中泊体験

北欧ノルウェーを旅していたある日、雨模様が続く予報のため、5日間ほど車内でパソコン作業に専念するつもりでした。ただ、せっかくキャンピングカーで自由にどこでも泊まれるのだから、絶景の中で過ごそうと考え、訪れたのが、北極圏ラインにあるSaltfjellet高原。ここは、どこまでも続く“北極圏の荒野”で、野生動物がひっそりと息づく場所です。北欧らしい景色と静けさの中、ただ車窓を眺めながら過ごす時間は、忘れられないのんびりした滞在となりました。
そして何よりも感動したのが、毎日のように現れるトナカイの群れです。数十頭のトナカイがキャンピングカーの周りを、優雅に通り過ぎる様子は、まるで自分たちだけの自然劇場にいるかのようでした。

特に驚いたのは、めったに出会えない白いトナカイを見れたことです。地域によっては「数百頭に1頭」と言われる希少な個体で、「見られたらかなりラッキー!」。静寂の高原に浮かび上がる白い毛並みはどこか幻想的で、思わず息を呑むほどの美しさでした。

野生動物の気配をすぐそばに感じながら、ただ自然と向き合うように過ごした4日間は、旅の中でも特別で、忘れられない体験となりました。
キャンピングカー旅は一期一会の出会いでできている
旅の魅力は、ただ移動して景色を楽しむことではなく、こうした“思いがけない出会い”や瞬間が積み重なって、旅そのものを豊かにしてくれます。まさに、旅の中で生まれる一期一会の体験です。
これからも一瞬一瞬を大切にしながら、私たちの旅は続きます。次回は、ハラハラドキドキの「ハプニング編」をお届けします。どんなトラブルやヒヤヒヤ体験が待ち受けているのか、お楽しみに!








