
一方でインド洋沿いにはホテルやバケーションアパートメントが並び、リゾートエリアの一面をもちます。イギリスやモナコのロイヤルファミリーや、世界的なセレブが宿泊したことも!
そんな日本人にはなじみの薄い南アフリカのリゾート地の知られざる魅力を紹介します。
ホテルの裏に広がる森と海
ウムシュランガ自然保護区(uMhlanga Nature Reserve)は、高速道路と海に挟まれた26ヘクタールほどの小さな自然保護区。川の河口にあり、ラグーンや砂丘があります。この砂丘では、1万8千年前(石器時代)の貝塚の遺跡が発見されています。
ハイキングルートは全長約2キロメートル。ときどき立ち止まって自然を観察しながらでも1時間~1時間半程度で戻ってこられる距離です。子どもを連れた家族や、おばあちゃん同士の団体が歩いているのもよく見かけます。入場無料で予約不要、季節によって開門時間は変わるものの年中無休で、いつでも気軽に訪れることができます。
ホテルから徒歩0分で自然保護区へ
ハイキングルートはホテルが並ぶ通りの北端、ブレイカーズホテルからスタート。隣接する保護区の入口からピクニックエリアを抜けると、緑に覆われた湿地帯の中にボードウォーク(木道)が現れます。




木道を渡ると、デューンフォレスト(砂丘の森)へ。案内板が非常に紛らわしいですが、ここは左へ進みます。


多少上り下りがありますが、迷うこともなく、歩きやすい道。大きな木が多いので、夏は涼しく感じます。朝や夕方は、斜めに差し込む太陽の光で幻想的な雰囲気になることも。
耳を澄まさなくても聞こえてくるのは、たくさんの鳥たちの鳴き声。ここには200種以上の鳥類が生息するため、自然のBGMが楽しい気持ちにさせてくれます。素人の私でも5種類以上の鳴き声を聴き分けられるほど。言うまでもなく、バードウォッチャーにとっては天国。本格的な双眼鏡をもった人を見かけたこともあります。


野生動物に遭遇できるのか
ここに生息するのは鳥だけではありません。レイヨウ(アンテロープ・ウシ科の動物)のブッシュバックやブルーダイカーなど、約10種類の哺乳類も暮らしています。
ブッシュバックやブルーダイカーは、人の気配を感じるとすぐに隠れてしまうので、見つけづらいかもしれません。初めて訪れたときにブルーダイカーを見つけたのですが、見つけたとほぼ同時に木の中へ隠れてしまい、カメラを出す隙もありませんでした。
でもやっぱりBE-PAL.netの記事に動物の写真を載せたい! 見つけられることを願いながら午後4時頃に行ってみたところ、なんと、ブッシュバックにもブルーダイカーにも遭遇!




壊れない?落ちない?スリル満点の橋
ハイキングに戻ります。10分ほど森の中を歩くと、このハイキングのハイライト、ラグーンに架かる木製の橋が見えてきます。
距離は20~30メートルと短いですが、幅が60センチほどなので、人とすれ違うのはかなり気を遣います。手すりはなく、木の板は不規則に並べられているので、ほぼ必然的に下を見ながら歩くことになるのですが、木の隙間からは水面が見えてスリル満点! ラグーンは海とつながっているため、潮の干満によって水位が上下します。水面が遠いのも怖いけれど、水面が間近なのも怖い。


橋を渡り、一気に砂丘を上ると、今度は波の音が聞こえてきます。すぐそばは海です。木の隙間からは、先ほど渡った橋を見渡せます。5分ほど歩くと、正面にビーチが現れます。

帰りは砂浜ウォーキング
ホテルが集まるエリアのビーチはたくさんの人で賑わっていますが、ここまで来ると、とっても静か。時間帯によっては貸切です。この日は、ちょうど砂州に波がかかり始めるところでした。太陽の光を浴びて、波打ち際は、キラキラと輝いています。ハイキングはここで折り返し。歩いて来た森の中の道を再び通ってもいいのですが、せっかくなので海岸を歩いて戻ることにします。

実は、ダーバン近郊はホエールウォッチングでも有名な町。季節とタイミングが良ければ、ビーチからクジラやイルカを見ることもできるのです! 残念ながら私はまだ見つけられたことがないのですが、7月中旬にはクジラが尻尾で海面をたたいて遊んでいる様子や、イルカがジャンプしながら泳いでいるのを見たという話を複数から聞きました。

砂浜なので多少の歩きづらさはありますが、10分ほどで遊歩道と繋がるウッドデッキに着きます。ウッドデッキを上がると、ハイキング途中の休憩にぴったりなフォレスト・カフェが現れます。店員さんに「サウボーナ!(こんにちは)」とズールー語で挨拶すると満面の笑みに。コーヒーやジュースのほか、スナックやマフィンがあることも。




ボードウォークの終わりが、ウムシュランガ自然保護区ハイキングの終わり。遊歩道はこのまま南に2.5キロメートル続くウムシュランガ・プロムナードにつながっています。
プロムナードは時間を問わず多くの人で賑わっていますが、実は自然保護区まで行く人は少ないのです。1時間半程度あれば、自然いっぱいのハイキングを楽しむことができるので、ウムシュランガを訪れた際にはぜひ足を延ばしてみてください。