
キャンピングカーでヨーロッパを巡っている私たちにとって、車内は40度C超えになり、まさに”動くサウナ”状態。さすがにこれでは旅どころではありません。
そんな私たちが毎年のように行なっている”暑さ対策”が「避暑地へ逃げる!」ことです。今回は、実際にキャンピングカーで訪れて「ここは涼しくて最高だった!」と感じた避暑スポットを5つご紹介。
ヨーロッパの夏は”灼熱”だった!

旅の前は「ヨーロッパの夏はカラッと爽やか」なイメージを持っていましたが、でも実際に巡ってみると、フランスやイタリア、スペインなどでは連日35度C越え、場所によっては40度C近くまで気温が上がり、外での観光が過酷になってきます。
しかも、キャンピングカー旅ともなると、その暑さはダイレクトに影響してきます。断熱がそこまで効かない車内はまさに”灼熱地獄”…。温室のようになり、調理なんてとんでもないし、夜も寝苦しくてうなされることもありました。そこで大事になってくるのが、涼しく過ごせる場所選びです。
選ぶポイントとしては:
- 標高を上げる:標高を100m上がるたびに気温が0.6度C下がるとされており、山間部や高地に行くだけで気温はぐっと下がります。標高1,500m~2,000mのエリアでは、昼間でもひんやり快適です。
- 緯度を上げる:北へ行けば行くほど気温は下がるので、ノルウェーやフィンランドなどの北欧の国へ行くのがおすすめ。
- 水辺の近く:湖や川、滝などの水の近くは空気が冷たく、気温が1~2度C低く感じられることも。水浴びや泳げる場所があるとさらに涼しくなります。
- 車でのアクセス:キャンピングカーや車でのアクセスのしやすさ、滞在のしやすさも重要です。オフロードや狭すぎる道、キャンピングカーを停めにくい場所はNG。
このような点を踏まえ、2年半以上にも及ぶキャンピングカー旅で私たちが見つけてきた「最高の避暑スポット」をお届けします。
【イタリア・ドロミテ】標高2,000m超の”天然クーラー”で過ごす夏

北イタリアに位置するDolomiti(ドロミテ)は、3州にまたがる広大な山岳地帯で、世界自然遺産にも登録されています。ゴツゴツした彫刻のように尖った岩塊が特徴的で、世界各地からハイカーや観光客が集まる、人気のハイキングスポットです。
標高は、1,500〜2,300mあり、日中は日差しがあってもカラッとしていて気温は20度C前後ととても快適で過ごしやすいです。朝晩は10度C台まで下がることもあり、ジャケットを羽織るくらいの涼しさでした。
何よりの魅力は、大自然の中でアクティビティ三昧が楽しめること!数えきれないほどのハイキングやトレッキングコースが豊富にあります。また、登山に慣れていない人でも楽しめる整備されたルートや、ロープウェイを利用して気軽に登れるスポットもたくさんあり、ファミリー層にもおすすめです。

ドロミテ周辺にはたくさんの小さな山間部の町があり、どれもホテルやロッジ、山小屋の宿泊施設が充実しています。そのほか、オートキャンプ場やRVパークもあるので車中泊旅にも優しい環境が整っており、さまざまな滞在方法の旅が楽しめます。
【スイス・ベルニナ地方】氷河に抱かれた”別世界の涼しさ”

スイスのベルニナ地方は、暑さを忘れるどころか、冬にワープしたかのような涼しさと静けさが広がる場所で、「これ本当に夏?」と思わずつぶやいてしまうほどです。私たちが訪れたのは6月中旬で、日中でも気温は5〜8度C程度と、冬のような気温でした。
この地域を象徴するのが、イタリアのティラーノからスイスのサン・モリッツを結ぶ鉄道の「ベルニナ急行」です。真っ赤な列車が氷河や湖などの山岳地帯を通る観光列車で、世界遺産にも登録されています。列車の窓から絶景を鑑賞するだけでなく、途中下車していきながら周囲をハイキングしたりと自然を思いっきり楽しめます。

私たちが行ったのは、鉄道が通る最高標高2,253mのOspizio Bernina(ベルニナ峠)。小さな駅の目の前には大きな湖のラゴ・ビアンコと雪に覆われた壮大な山々が広がり、圧巻の景色です。湖の氷が溶け始め、白とエメラルドグリーンが交差する幻想的な風景が広がっていました。
また、ベルニナ峠周辺には、ホテルやレストランもあり、車でも電車でもアクセス可能のため、滞在にもとても便利です。
【アンドラ】夏でもひんやり!ピレネー山脈に囲まれた山あいの小さな王国

フランスとスペインの間、ピレネー山脈にひっそりとたたずむアンドラ公国(Andorra)は、面積468km²と東京23区よりも小さな国です。国全体が山岳地帯にあり、首都のアンドラ・ラ・ベリャは標高1,000m越えの、ヨーロッパで最も標高の高い首都でもあります。
冬はヨーロッパ屈指のスキーリゾートとして有名ですが、夏のアウトドアもかなり本格派です。リフトの動く高原エリアでは、ハイキングやサイクリング、クライミングなどアクティブに楽しめる環境が整って、初心者から上級者まで楽しめるルートが豊富にあります。
私たちもアンドラ最高峰のコマ・ペドローザ山に挑戦!5月中旬の夏前に登ったのに、上部はまだ雪に覆われており、冬山のような景色が広がっていました。

ぎゅっとコンパクトな国でありながら、都市と自然が近いため、ショッピングや街観光、アウトドアも一度に楽しめちゃいます。免税の国なので、物価も周辺国より少しお得感があり、長期滞在にも向いています。山に囲まれて、国全体が避暑地になっているアンドラは、夏のヨーロッパの隠れた穴場スポットとしておすすめです。
【北欧・ノルウェー】手付かずの大自然に“ひんやり絶景”のアウトドア体験を楽しむ

避暑地を探すならやっぱり「北へ逃げる」のが王道です。緯度が高く、気温も低めの北欧はまさに理想のサマーデスティネーション!デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドとどの国も夏はさわやかな気候で旅がしやすいのが魅力です。
その中でも、特におすすめしたいのがアウトドア天国のノルウェーです。夏の平均気温は20度C前後で、北に行けば行くほど気温は下がり、北極圏に入ると“肌寒い”と感じることすらあります。フィヨルドや山岳地帯、手つかずの自然が多く残るこの国は、まさに「涼しさと絶景、そしてアウトドア」を一緒に楽しめる贅沢な避暑スポットです。

ノルウェー中央部に位置するJotunheimen National Park(ヨトゥンヘイム国立公園)は、ノルウェー最高峰の「ガルフピッゲン山」を含む、広大な山岳エリアです。初心者から上級者まで楽しめるトレイルが多く、氷河や透き通るような湖の景色を眺めながらのハイキングは、まさに非日常体験です。

もうひとつのお気に入りは、北極圏に位置するLofoten Islands(ロフォーテン諸島)です。切り立った山々とエメラルドグリーンの海の幻想的な景色が広がり、「海上のアルプス」とも呼ばれています。
夏は日照時間がとても長く、ほぼ一日中太陽が沈まない「白夜」体験もできる特別な場所です。ダイナミックな自然の中で、体を動かしたり、のんびり風景に癒されたりと、北欧らしい心豊かな時間が流れるノルウェーの夏を体験してみてください。
【フランス・エクラン国立公園】涼みながら夏のヨーロッパアルプスを堪能

いつか、夏のヨーロッパアルプスを歩いてみたい——。
アウトドア好きなら、一度はそんな憧れを抱いたことがあるのではないでしょうか。フランスの南東部に広がるParc national des Écrins(エクラン国立公園)は、知る人ぞ知る穴場のヨーロッパ・アルプスで、比較的観光地化されておらず、混雑とは無縁の静かな旅が楽しめるのが魅力です。
私たちが滞在したのが、標高約2,000mのロータレ峠周辺で、周りは標高3,000〜4,000mのアルプスの山々に囲まれた絶景が広がっていました。日中でも気温は20度C前後と涼しく、快適に過ごせます。特に夜は周囲には人工的な明かりがなく、満天の星空の下で、風の音と自然の静けさだけが響く、贅沢なひとときを体験することができます。

エクラン国立公園内には、レベルに応じた多彩なハイキングルートが整備されていて、私たちは Lac du Pontet(ポンテ湖) までのハイキングに挑戦しました。湖までは約1時間と距離は短めながらも、言葉を失うほどの絶景が待ち受けています。湖に到着すると、まるで絵画のような景色が広がり、澄んだ湖面には壮大なアルプスの山々が反射し、幻想的な雰囲気が漂っています。

夏のヨーロッパは暑さと人混みから逃れ、自然の涼しさに癒される旅へ
年々暑さが増すヨーロッパの夏。観光地はどこも混み合い、街歩きはなかなかハードに感じることがあります。でも実は、ヨーロッパにはまだあまり知られていない魅力的な避暑スポットがたくさんあるのです。山や森、湖、川に囲まれた“涼しい楽園”に逃げて、自然の中で心も体もリフレッシュしてみませんか?