
登山靴の種類を解説!選ぶときのポイントは?
登山靴選びのポイント
登山靴(トレッキングシューズ)
登山靴は、最初に買うべき登山グッズである。
スニーカーで登ることはできなくもないが、足が痛くなってしまったり滑りやすかったりと、事故につながる危険がある。
そのため、初心者の方ほど登山靴を用意するべきだと考えている。
登山靴には様々な種類があるが、日帰りで低山に登る場合には「トレッキングシューズ」という登山靴をおすすめする。
トレッキングシューズとは、軽く整備された山道を長時間歩くシーンに向いている、軽登山向けの靴のこと。普通の靴とは違い、ソールが固いため山道のようなでこぼこ道でも歩きやすく、疲れにくくなる。
軽いハイキングから、無雪シーズンの登山まで活用できる。
トレッキングシューズには、足首部分のカットの高さによってハイカットタイプ、ローカットタイプ、ミドルカットタイプの3タイプがある。
ハイカットタイプ
足首をしっかりと固定してくれるため、標高が高い山や足場の悪い山道を歩く際におすすめだ。
長時間、重い荷物を背負って、岩場などを含む山道を歩くことを想定して作られているため、靴底がしっかりと堅固に作られており、普通の靴と同じように日常的に街歩きで使用することは難しい。初心者の方は、慣れるまで歩きにくく感じる可能性がある。また、しっかりとした作りのため、ローカットやミドルカットに比べると、重量も重い。
初心者でも2000m級以上の高い山に登るなら、岩場を安全に歩くことができるハイカット、またはミドルカットがおすすめ。また、低山で経験を積んだ後、標高が高い山や長時間の山行に挑戦したいと考えているなら、ハイカットの登山靴を選びたい。
ミドルカットタイプ
くるぶしが隠れる程度の高さで、ハイカットとローカットの中間にあたるタイプである。小屋泊ありの登山などに活用できる。
ローカットの柔らかさとハイカットの保護性を兼ね備えているので、ある程度足首が固定されつつも、普段に近い形で歩くことができる。
ローカットタイプ
くるぶしが見える程度の高さになっており、標高が低い山やキャンプなどにおすすめです。柔らかく作られているため、スニーカーなどに近いイメージで歩くことができる。
ただし、足首が固定されていないため、足首への負担から怪我につながってしまうことがある。
慣れていない初心者の方は、しっかりと足首を固定することができるミドルカットかハイカットをおすすめする。

サイズ選び
サイズを選ぶ際には、以下のポイントに気をつけてほしい。
- 登山用の分厚い靴下を履いた場合に、かかと側に指一本分の余裕があること
- 自分の足の幅に合っている
登山用の靴下は分厚く作られており、歩く際の衝撃を吸収してくれる。クッション性があることで、足の疲労を軽減することができるので、登山用靴下を履いての登山がおすすめ。
近くにアウトドアショップがあれば、実際に試着してみることをおすすめする。登山用の靴下を持っていない場合は、お店で貸してくれることもあるので、お店の方に声をかけてみるといい。
お店の方に相談する際には、
- どのような山に登るのか
- どの時期に登る予定か
を伝えると、最適な一足を一緒に考えてもらえるだろう。
登山靴は色やデザインなども様々なので、ぜひお気に入りの靴を見つけてみてほしい。
▼参考記事
2025年トレッキングシューズ「ベストバイ」予想ランキング
頑丈さと安心感が売りのものか、それとも柔軟さと軽量性が売りのものか? それぞれの特性をいっそう高めて、トレッキングシューズの新作が続々生み出されている。今年ブームを巻き起こすのはどれだ!?

私が紹介します
石井スポーツ 商品部 松島直哉さん
栃木出身で、好きな山は地元の日光白根山。普段は家族とのゆったりキャンプや友人たちとのミート(肉)キャンプも楽しんでいる。
【第1位】レザー製の頑丈な逸品。これなら岩場でも安心だ
スポルティバ/トランゴアルパイン GTX ¥69,300
スポルティバ トランゴアルパイン GTX
岩ばかりの高山でも確実に足を守ってくれる強靭なアッパーと摩耗が少ないアウトソール。
●サイズ:38~48(EU表示)
●重量:約665g(1/2ペア)
見た目よりも軽量で屈曲性も高いので、一般的なトレッキングのときにも大活躍。
「人気のトランゴシリーズの新作です。耐久性に優れたレザーのアッパーなのに、片足665gと軽量にできています。」
【第2位】人気モデルに加えられた新機能
アルトラ/ティンプ5 BOA ¥25,850
アルトラ ティンプ5 BOA
軽量でクッション性が高く、滑りにくいアウトソール。
●サイズ:7~10.5(US表示)
●重量:286g
そのバランスのよさで評価が高い定番ティンプに、BOAフィットシステム搭載モデルが新登場。トレランから登山まで多様に活躍する。
「足との一体感がすばらしい! いつまでも履いていたいと感じさせます。」

ローカットながらダイヤルをまわすだけでフィット感を調整できるBOAシステム
アッパーの丈が低くライトな歩行感
スカルパ/ラピッドXT ミッド GTX ¥35,200
スカルパ ラピッドXT ミッド GTX
アッパーには耐久性と柔軟性のバランスがいい1.8mm厚の耐水スウェードを使用。
●サイズ:40~46(EU表示)
●重量:440g(1/2ペア)
重量は片足440gに抑えられており、軽やかに歩ける。
フックなどを使っていないため、見た目がシンプルでスマートな印象だ。
【第4位】まるでスニーカー。裸足感覚で歩ける
ゼロシューズ/スクランブラートレイルロウWP ¥24,200
ゼロシューズ スクランブラートレイルロウWP
つま先とかかとの高さが変わらない、いわゆる"ゼロドロップ"のシューズの最新型。
●サイズ:25.0cm~29.0cm
●重量(片足):277.8g(27.0cm)
滑りにくいアウトソールと防水性のアッパーは雨の日でも安心感が高く、落ち着いた色もよい。
【第5位】新素材を採用し、耐久性がアップ
サロモン/X ウルトラ 5 ミッド GORE-TEX ¥25,300
サロモン X ウルトラ 5 ミッド GORE-TEX
同社のトレッキングモデルとして初めて通気性と耐久性がすばらしいマトリックス素材をアッパーに採用。
●サイズ:24cm~30.5cm
●重量:440g
ルックス通りにタフな一足だ。アウトソールのグリップ力も強く、難路ほど得意。
「リニューアル前の捻挫を防止するサポート構造はそのままで、アッパーの耐摩耗性は大幅にUPしています。」
2025年ヒット予測について
人気アウトドアショップにお願いしたアンケートをもとに、編集部で「これは売れる!」とセレクトしたギアを紹介。
アンケートに協力してくれたアウトドアショップ17社
APORITO
アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア
石井スポーツ
WEST
Orange
CAMP DEPOT
GOOD OPEN AIRS myX
グリーンハウス
好日山荘
さかいやスポーツ
シェルパ
SWEN
秀岳荘
sotosotodays
ナムチェバザール
ベースキャンプ
WILD-1
(五十音順)
▼参考記事
アウトドアライターがおすすめする登山向けのシューズ
山登りにぴったりのシューズはまだまだある。アウトドアライターが実際に履き心地を確かめながらおすすめのシューズを紹介!
タホ MID GTX ¥33,000
アゾロ タホ MID GTX
日帰りの軽登山をイメージして開発したミドルカットブーツ。カラーはブラック×サルファーイエロー(BK/SY)とオリーブ/トランスバズ(OV/TB)の2色展開。
●重量(片足):456g(K8.0)
●サイズ:K6.0~K10.5(UK表示)
独自素材とゴアテックスをうまく組み合わせたモダンな登山靴

随所にビビッドなイエローを施したデザインで、モダンに仕上げているのが一番の特徴。化繊を使ったトレッキングウェアやレインコートなどによく馴染む。
横から見るとヒールがやや高めになっており、トゥが上に向いていることからスムーズな足運びをサポートしてくれる。


イエローの素材の上にブラックの丈夫な素材を差し込むことで、足場の悪い場所を歩く際に起きがちなぐらつきを防ぐ。また、ミッドソールにはクッション性に優れたEVAを入れており、硬い場所を歩いても衝撃を和らげてくれる。


アウトソールは「アゾロクロス」という独自素材を使っており、たしかなグリップ力を備える。底面は細かいラグがきれいに並んでおり、ぬかるみのある場所を歩いても抜けやすくなっている。

このアウトソールは以前に紹介したアゾロの「エルド MID レザー GV」と異なっている。「エルド MID レザー GV」は岩場でのグリップ力を重視しており、比べるとラグの深さからパターンのデザインまでまったく異なる印象。タホ MID GTXのほうがラグが深く、泥はけがいいので土のトレイルで威力を発揮しそうだ。

インソールは、有名シューズメーカーでも使われているオーソライトを採用。オープンセルPUフォームという軽くてクッション性のある素材が使われており、洗濯できるので衛生面もバッチリ。
タホ MID GTXを実際に履いてみた

では、フィールドで履いた感想をお伝えしよう。普段スニーカーは25.5cmを履いているが、中厚手のソックスを履くことを想定して少し上の26.0cmを選んだ。
靴に足を入れると、親指や小指の付け根あたりはゆったり設計ということもあり、その点は快適。ただ甲がやや低いせいか、中厚手のソックスを履いているとじゃっかん窮屈に感じた。


窮屈に感じたのは最初で、歩いて慣れていけば快適。ラグがアウトソール全体に配しているためか、ブーツがしっかりと地面をつかみ、足先に力を入れなくても楽に蹴り出しができた。

街中を歩く際も違和感はなく、濡れた上を歩いても滑ることはほぼなかった。デザインに凝っていることもあり、街中からアウトドアフィールドまで広く使えて便利だと感じた。
甲高の足の人は、一度試着してみたほうがいいかも

個人的に気になったのは、前述した甲がやや低いかなという部分。シャープな見た目でおしゃれに感じられる一方で、足の痛みは時間が経つにつれてストレスに変わってしまう。購入に失敗しないためにも、気になる人はモンベル直営店など、アゾロの取扱店へ足を運んで試着したほうがいいだろう。
スタリッシュなデザインの登山靴をお探しならこれで決まり

タホ MID GTXは、天然皮革を使用しなかったり、同社独自のアウトソールを取り入れたりなど、今までにないデザインを取り入れた新作。機能美を重視したい人にぴったりのブーツだ。
▼参考記事
ホカ カハ 3 GTX ¥42,900
ホカ カハ 3 GTX
アメリカのフットウェアブランド・ホカの、2025年春夏の目玉シューズである「カハ 3 GTX」。今回で第3弾となり、従来品と比べて機能面がさらにパワーアップ。
●重量:567g
●サイズ:25.0〜30.0cm
今回紹介する「カハ 3 GTX」は、日帰りのハイキングから長距離まで使えるように開発された全天候型ハイキングシューズ。ローカットとミドルカットの2種類があり、いつもホカを購入するときはローカットを選ぶが、今回はハイキングをすることを想定して初めてミドルカットを選んだ。
カラーは、メンズは2色展開でブラック/ブラックとシー モス / オート ミルク(グリーン系)、レディースも2色展開でブラック/ブラックとマウンテン フォグ / ドゥルージー(ブルー系)があり、自分はブラック/ブラックをチョイスした。ここからは、写真と一緒に同商品の魅力を深掘りしよう。まずは外観から。





アッパーの両サイドは、山肌のような波打ったカッティングデザインになっており、前作とはまた違ったルックスをしている。またヒール部分は、前作はプルタブが独立して付いていたが、本作は一体になっているところも変更点だ。




アウトソールは、つま先からかかとにかけて緩やかな湾曲を描くことで推進力を高めるメタロッカーシステムを搭載。また、かかとを二股にしたデザインも採用しているが、この2点は前作と同じ。
前作との大きい違いは、本作には成形TPU(熱可塑性ポリウレタン)という別素材が採用されていること。つま先とかかとに、アッパーの本革とは異なる部品が使われている。これがあることで、つま先が岩場などの硬いものが当たっても保護することができ、かかとは歩行のぶれを抑えて捻挫などを起こしにくくしてくれる。


靴紐にも注目。ねじれが付いた特殊なものが使用されている。これは他のシューズにも前作にも採用されていないもので、触ると少しうねっているような感触。
外見をまとめると、ヒールデザインや靴紐、成形TPUなど、前作と比べると随所に変更点が見受けられ、確実にバージョンアップしていた。
細かい機能にも注目

「カハ 3 GTX」には、GORE-TEX Invisible Fitというファブリクスを採用している。従来は表地と裏地にGORE-TEXファブリクスを挟んでいたが、今回は表地の裏にピッタリ接着させているため、シワや折り目がなくなり、圧迫感がないため快適に歩けるようになった。

履き口には肌触りのいい別生地が付いている。見た目以上に厚みがあり、圧迫感がなく歩いていても足首が痛くなりにくい。前作は別部品が付いていて、アキレス腱にピッタリ付くような構造だったが、本作のほうがアキレス腱を覆うようにできているためフィット感が高いように感じた。

ミッドソールはサトウキビ由来の二層EVAを使用。中敷は50%植物由来の素材を使ったポリウレタンを使っており、ともにクッション性や衝撃吸収性をアップさせながら、環境にもしっかり配慮している。
オフセット(つま先とかかとの厚みの差、ドロップとも言う)は8mm。この数字はほかと比べるとやや高く、足が着地してから前へ推進する際の重心移動がしやすいことから、安定して歩くことができる。
機能面をまとめると、環境に配慮した素材を随所に使いながら、前作よりクッション性や快適性が向上し、たしかな進化が感じられる。
実際に「カハ 3 GTX」を履いてみた

ここからは、実際に履いてみた感想を紹介しよう。履いているパンツはレギュラーフィットのモンベル「O.D.パンツ ライト」で、立っている状態ではくるぶし部がちょうど隠れる。幅はややワイドに設定されており、幅広甲高である筆者の足ならピッタリで、所感としてはひと言、快適だ。
また、特徴的な靴紐は一度結ぶと解けにくく、終日歩いていても1回も解けることはなかった。これは革新的!

階段を上がっていても、フィット感があり不快感は感じなかった。履き口に付いている別生地により、ほかの商品でよくあるアキレス腱の擦れがほぼなく、スイスイと登っていける。今回は簡単なハイキングで試してみたが、終日かけて登り降りする長距離トレイルでも活躍しそうな気がした。

斜面を歩くと、グリップ力が弱いシューズだと踏ん張る力に欠け、足が疲れやすくなる。「カハ 3 GTX」はビブラム社のメガグリップを装備していることで、地面をしっかりつかみ、斜面でも楽に踏ん張れて疲れることはなかった。

シューズを履く際に役立つプルタブはゆったりしていて指を引っかけやすく、足を楽に入れることができた。また、かかとに付いている成形TPUがあることで、かかとのフィット感も良く、歩いていて左右にぶれることがほぼなかった。
総括して、今まで履いたハイキングシューズの中でトップレベルのいい履き心地だった。
▼参考記事
アゾロ/エルド MID レザー GV ¥34,650
アゾロ エルド MID レザー GV
イタリアのアゾロ社が手がけた最新アプローチシューズ。
●サイズ:6.0~10.0(UK表示)
●重量(片足):415g(UK8.0)
●カラー:全2色
イタリアのアゾロ社が手がけたアプローチシューズ。「アプローチシューズ」というのは、長期遠征登山隊やクライマーがベースキャンプまでの移動に使うもの。長距離を楽に歩けることやどんな環境でも使える汎用性が重視される。
このモデルの特徴はフルレザーなのに片足415グラムと軽量なことだ。アウターソールも薄くてフラットなので一般的な登山靴にありがちな腰高感がなく、安心して歩ける。なんというか「地に足が着いた感じ」がとても強いのだ。もちろんゴアテックス内蔵の完全防水仕様で、タンの部分までカバーされているから水深10cm程度の水たまりならザブザブ入って行ける。
またつま先部分にはクライミング用の高グリップなコンパウンドが奢られているから岩登りだって得意である。
フルスペックを備えながら軽くてシンプル。低地のハイキングから本格登山に挑戦してみたい人にもおすすめだ。
スウェードレザーとフルカバーのランド

ソールは薄いがハイグリップだ

ゴアテックス内蔵で荒天を寄せ付けない

※撮影/中村文隆
▼参考記事