都心の失われた山々をめぐる縦走ルートとは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.5】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2023.09.08

都心の失われた山々をめぐる縦走ルートとは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.5】

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東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。第5座目は、芝公園一帯の幻の山を訪ね歩く「芝丸山ノスタルジック縦走」です。
これまでの記事はこちら

第5座目「紅葉山」ほか

前回の第4座目の芝丸山古墳を調べた時に参考にしたのが、手島宗太郎さんの著書「江戸・東京百名山を行く」でした。丸山の項目を読み進めていくと、増上寺や東京タワーを含めた芝公園一帯には「山」という古地名が多くあるそうです。現在の東京タワーの駐車場近くは「小松山」と呼ばれていたそうですし、その隣には「紅葉山」、増上寺の安国殿裏には「地蔵山」、ザ・プリンス パークタワー東京の裏には「観音山」と呼ばれていた場所もあったようです。

地図を見てみると、どうやら「山」がありそうな予感がします。そこで、地図上で登山ルートを模索するよりも先に、実際に芝公園一帯を歩いてみました。歩いてできたオススメの縦走路が下のルート図に記された道のりです。はたして、「紅葉山」「小松山」「地蔵山」「観音山」は今も存在するのでしょうか。

東京タワーに見守られながらの縦走

今回は御成門駅登山口をスタートし、芝公園駅登山口までの縦走になります。この日は時間が空いたのが14時で、炎天下の中を歩き始めました(以下、飛び飛びで点在してる芝公園を紹介しますが、位置関係などは同園のマップを参照してください)。

御成門駅登山口からスタート。

御成門駅登山口からスタート。

御成門駅を出て直ぐ、左側にある横断歩道を渡り芝公園4号地方向に進みます。芝公園4号地内には、水場(水道)やトイレもあります。ただし、今回のルートは芝公園4号地へは入らず、左に曲がり道路を進んでいきます。公園の最初のエリアは、街路樹が多く日陰がちらほらあります。こんなに暑く、日差しの強い日には、街路樹の有難さを実感します。ちょっと進むと歩道橋を渡るのですが、街路樹もなく、夏の厳しい日差しが差し込むので、登るのに躊躇してしまいます。

近辺は公園が多いのでトイレと水場(水道)は確保できます。

公園ではトイレと水場(水道)は確保できて助かります。

銀杏坂を芝公園23号地まで登ると、少し小高い丘に出てきます。右手を見ると、丘の一番高い所の近くに「平成末広稲荷社」が見えて来ました。

平成末広稲荷社。

平成末広稲荷社。

寺島さんの著書にも、「観音山」はプリンスホテルの裏辺りにあったと書かれています。もしかしたら平成末広稲荷社の上の方で一番高い所が「観音山」なのかなと少し探して見ましたが、特に「山」を特定する何かは見当たりませんでした。この辺にかつては「観音山」があったのかなと想いを巡らせつつ、芝公園23号地を抜け、芝公園19号地、もみじ公園へと進んでいきます。

芝公園にある人工の渓谷「もみじ谷」に差し掛かると、東京タワー方向は小高い丘になっていました。山らしき形跡がないか周辺を調べてみると、「如意輪観世音」がありました。この辺では一番高い場所のような気がします。山らしい形跡はありませんでしたが、もしかしたらこのあたりが「紅葉山」なのかもしれません。

もみじ谷。

もみじ谷。

また、手島さんの本によると、「小松山」の位置は調べなかったそうですが、さらに上の方に東京タワーの駐車場があり、台地としてはこの辺りが一番高いようです。おそらくそれが「小松山」なのかもしれません。「紅葉山」とその周辺に「小松山」があったのでしょう。開発が進んだ現在は位置を特定できませんが、そこに存在したであろう山を想像するのも面白いですね。

芝公園内の木陰から望む東京タワー。

芝公園内の木陰から望む東京タワー。

芝公園から横断歩道を渡り、増上寺西通用口を登っていきます。進むと、左手に幼稚園と大きな増上寺の納骨堂が見えてきました。増上寺の中でも一番高い位置にありそうでした。もしかしたらこの辺に「地蔵山」があったのかもしれません。

増上寺西通用口。この看板を見落とさないように注意してください。

増上寺西通用口。この看板を見落とさないように注意してください。

もともと増上寺は、現在の千代田区平河町から麹町にかけてあったそうです。江戸城築城により、慶長3(1598)年には、現在の芝の地に移転。江戸幕府の成立後には、徳川家の菩提寺でもあったことから、増上寺は大いに栄えたそうです。家康公は、増上寺にて葬儀を行うようにとの遺言を残し、元和2(1616)年、75歳で亡くなりました。ちょっと寄り道をして、増上寺を見学しても面白いかもしれません。

今回は縦走なので、寄り道をせずこのまま進みます。通路を右に曲がると、ザ・プリンス パークタワー東京内にあるプリンス芝公園に入ります。プリンス芝公園に入ると、多くの人が芝生の上の日陰で休んでいました。ふと振り返ると、東京タワーが綺麗に見えました。少し想像をたくましくすると、東京タワーやビルがなかった時代には、ここから今日は見ることが叶わなかった山々が見えたのかもしれません…。今日は暑いので、日陰で軽く休憩します。

振り返ると東京タワー。

振り返ると東京タワー。

プリンス芝公園を抜けると、右手に急登の階段が現れました。雰囲気の違う階段を一気に登っていくと、そこはなんと芝丸山古墳の頂上でした(芝丸山古墳(丸山)の詳細は、前回の記事をご覧ください)。

期待が高まる急登の始まり。

期待が高まる急登の始まりだが…。

「伊能忠敬測地遺功表」。

「伊能忠敬測地遺功表」。

その芝丸山古墳(丸山)から芝公園登山口まで歩くと、御成門駅からのたった一駅分の縦走が終わりました。東京タワー近辺を歩いたわけですが、予想に反して多くの緑豊かな景色に出会うことができました。残念ながら今も残る山は芝丸山古墳(丸山)だけでしたが、東京が現在のように開発される以前は多くの山があったことが起伏などから実感できました。土地開発に伴う造成で失われた山々に想いを馳せながら歩く縦走も、東京ならでは。まさに「ノスタルジック東京ハイキング」です。

次回は「え?入山料のいる山が東京にあるの?」を予定しています。

なお、今回紹介したルートを登った様子は、動画でご覧いただけます。

私が書きました!
プロハイカー
斉藤正史
2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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